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世界最強の魔族殺し  作者: TuMiReDaYo
2/9

#2 初陣

(最悪だ。空気が悪い・・・)


(なんで馬車の座席が俺と眼鏡とルークなんだ?)


ルークと眼鏡の青年は馬車に乗り始めてもう1時間位無言の状態が続いている。


(もう一つの馬車には他の勇者が3人・・・)


(俺もあっちに行きたかったなー)


そんな事を思っている矢先に事件は起きた。


「ふぅ・・・なんでお前みたいな陰キャ眼鏡と乗らねぇと行けないのかねぇ・・・」


ブツブツと小さい声でルークの嫌味が飛び始めた。


「折角の晴れ舞台がこんな始まりとはな・・・ついてねぇな・・・」


「あーあ、魔物でも襲ってこねぇかなぁ・・・ドーンとよぉ・・・」


「そうすれば少しは楽しめそうなになー」


ルークがそんな不吉な事を言っていると急に馬車が急停止した。


「痛ってぇ・・・」


どうやら今の急停止でルークは壁に頭を強くぶつけた様で文句を言いながら痛めたとこを撫でていた。


「ぷっ、ダッサ・・・」


「あ?んだとてめぇ・・・!」


「事実じゃん、ダサかったし」


眼鏡の青年がルークを煽り始め、喧嘩がまた始まってしまったと思ったその時、馬車を動かしていた男が慌ててドアを開けた。


「大変です皆様!」


「あ?どうした?」


「魔物が・・・魔物の群れがこちらにやって来ています!」


「はぁ!?目的地はここじゃ無いだろ!」


男の胸ぐらを掴んだと思うと馬車の壁に強く叩き付けると、ルークは怒鳴り始めた。


「ふざけんなよ!俺様は今から戦場に行って功績をあげなきゃ行けねぇんだ!こんなところで足踏みしてる暇は無いんだよ!」


胸ぐらを掴まれていた男はとてもブルブルと怯えた表情をしていて萎縮してしまっていた。


「そんな事言われましても私にはどうしようもありません!」


「落ち着きなよ君、だから単細胞なんだよ」


また何故そう煽るのかが陽炎には理解出来なかった。今は喧嘩している暇では無い。それよりも今どうやってこのピンチを切り抜け戦場に向かうかを考えて欲しかった。


「あぁ?てめぇ、いい加減にしねぇとぶっ殺すぞ!」


「やれるもんならやってみなよ単細胞君」


もうすぐそこまで魔物の群れが来ているというのに何時までも喧嘩をしている二人に腹が立ち、つい口が滑ってしまう。


「いい加減にしろよお前ら!」


さっきまで喧嘩していた二人がさっきまで静かにしていた陽炎にいきなり怒鳴られ、ビックリした様子で陽炎の事を見ていた。


「今はこんなとこで喧嘩してる場合じゃ無いだろ!魔物の群れが来ているんだぞ!」


「何お前?いきなりさぁ?」


「この人の言う通りです。魔物の群れが来ているというのにガミガミと、小さい男ですね」


怒った事で少しは冷静になったと思えば、火に油を注いだだけで、ルークは暴走を始めた。


「こんな使えねぇ奴らなんか要らねぇよ。俺一人で殺ってくる」


「ルーク!一人じゃ無理だ!」


「うるせぇ!大体知らねぇ奴に指図される覚えなんてねぇんだよ!」


止めるには時すでに遅し。ルークは自分の持っていた大剣を持って勢いよく魔物の群れに走って行った。

その後も手柄を横取りされたくないと別の馬車に乗っていた他の勇者と、ルークなんかに負けたくないと言って、眼鏡の青年も馬車を飛び出してしまった。


「おい!お前ら!」


皆が群れに勢いよく突っ込んでいくのが見えた。勢いよく剣を振ったり魔法を使って敵を殲滅していた。


(以外にあいつら強いのか・・・?)


馬車で様子を見ている陽炎をお構い無しにルーク達は暴れ回っていた。剣を振り回し一匹二匹とゴブリンなどの魔物を蹂躙していく。


「おいおい、こいつら弱過ぎて歯応えねぇな!」


「そんなでっかい剣といかにも硬そうな鎧があれば勝てるに決まってるでしょ」


「おらおら!ルーク様のお通りだァ!!」


戦闘に行った皆は敵の群れの奥まで突っ込んでいく、まるで"誘われる"みたいに。


異変に気が付いたのは群れの奥に突っ込んで行って少し過ぎたとこだった。さっきまでの聞こえていたルークの甲高い声が突然聞こえなくなったのだ。


「どうした?急にみんなの声が聞こえなくなったけど?」


気になって陽炎も魔物を倒して行った後を追う。だが着いた頃には魔物はすっかり消えてしまっていた。それと他の勇者も居なくなっていた。


「あれ?皆どこに行ったのかな?」


周りを歩いていると足元に何かが当たった。下の方に目をやるとそこには、ルークが使っていた大剣が置いてあった。大剣は血まみれでとても持って行こうと思わない位だった。


「なんでこんなのがここに・・・」


周辺の屍をよく見るとそこには見覚えのあるものが目に入ってきた。それはルークや眼鏡の青年、他の勇者の遺体だった。その姿は酷いものだった。内蔵は飛び出し眼球は潰れ、体や顔は原型すら留めていない者もいた。だがあんなに優勢に見えたのに何故負けたのかがよく分からなかった。


「・・・なんで、なんで皆が?」


「でもルークはあんなに硬そうな鎧を着てたじゃないか」


ルークの遺体をよく見ると鎧の隙間に剣かなんかの武器で刺された後があった。


それと同時に仲間の遺体を見て現実に引き戻される感覚が襲って来るのと一緒に吐き気も襲ってくる。


「うっ・・・」


手で口を塞ぎこんで吐きそうなのを何とかこらえて馬車に戻ろうとした時だった。


「嘘だろ・・・皆死んでる・・・」


少し様子を見に行った間に馬車の操縦をしていた男の人達がいつの間にか死んでいた。多分ルークを殺した奴と一緒だと思われる。何故なら、刺し殺されていた跡が一緒だったからだ。


突然目の前に称号のバフが発動した通知が出てきた。不覚にもその瞬間、後ろから奇襲を掛けられてしまった。


だが陽炎はその攻撃が来るのを分かっていたかのように華麗に躱した。


「今、体が勝手に動いた様な・・・」


不思議な感覚だった。攻撃が来るのは何となく分かっていた。恐らくそれはこの魔族殺しの称号のバフによりステータスが通常の何十倍いや、何百かも知れないが、上がっているからだろう。


だけど体が勝手に動くのは謎だった。初めてやった事なのに、いつもやっているかのように動けた。例えばペンを持って字を書くのと同じ様な感覚。そんな当たり前の事ができる感覚が何故かあった。


だが相手も相当な手練の様だった。体こそ大きくは無いが、何度も死線を乗り越えてきた証が体には刻まれていた。手に持っていたのはナイフで、血が着いていた。どうやら彼らを殺ったのは間違いなくこいつだ。


(俺はこいつに勝てるのか?)


少しの迷いが生じる。あっちは勇者を5人も屠った猛者。陽炎は転生したばっかの若輩者。誰がどう見ても勝てそうに無い戦いだった。


(でももうここまで来ちゃったからなぁ・・・)


「しょうがねぇ・・・」


「やってやらぁぁ!!」


拳を握りしめ相手に真正面からものすごい速さで突っ込んでいった。相手はあの勇者5人を屠っただけの事はあった。バフで能力値が向上している陽炎の攻撃スピードについて行っている。


(強ぇ・・・流石は勇者殺しの猛者だぜ・・・)


陽炎も劣ってはいなかった。相手の繰り出してくるナイフの攻撃を上手く捌いて躱していた。それがずっと続いていた。ナイフを躱し、拳を入れる。それを躱して、ナイフを刺す。そんな戦いが続いている時、相手の異変に気付いた。


(どうした?急に攻撃して来なくなったな・・・)


そう思っていると、相手は空いている手を後ろの腰に回し、戻してくるとその手にはもう一つナイフが握られていた。


(二刀流か!一本でも普通に厄介だって言うのに!)


本気モードに入って来たのか、さっきまでの重い空気が更に重くなっているのを感じる。


(来る!)


ものすごい速さで二つのナイフを器用に操り、更に攻撃のバリエーションを増やしてきた。


少しづつだが攻撃が陽炎の体にかすり始めてきた。ナイフの軌道を調整してきたのだ。角度を付けて確実に急所を狙ってくる。


(危な!あと少しで当たるとこだったぞ!まじでこいつ厄介過ぎ!)


速い連撃を躱すが精一杯で攻撃を出す暇がほとんど無い。


そこで陽炎は一つの作戦を思いつく。今相手は幸いにも何故か急所を狙う事にシフトチェンジして攻撃が単調になりつつある。だからそこにカウンターを入れ込み一撃で倒すという作戦だ。


だがこの作戦にも穴はある。まずカウンターを入れ込むタイミングと一撃で沈めるパンチ力、それと反射神経が必要だった。まだこの力を完璧に使いこなせている訳では無い。ほとんど体が勝手に動いているだけだ。


(ここでやるか?いやでも、もし失敗したら・・・)


失敗すれば間違いなく死ぬだろう。カウンターはあくまでも相手の攻撃に合わせてやる攻撃だ。相手はナイフ使い。ミスをすれば確実に刺し殺されるのは目に見えている。


(でもここでやらなねぇと、いつ出来んだよ!!!)


覚悟を決めた時相手のナイフ攻撃が丁度自分の首を目掛けて刺し込んできた。その瞬間頭に電気が走ったような現象が起きた。


(ここだ!)


ドンピシャのタイミングで右のストレートを相手のナイフに被せるように繰り出した。


相手は対応しきれず、まともにカウンターを食らってしまう。相手の体は勢いよく吹き飛び、向こうにあった岩に勢いよくぶつかった。


「くそっ!」


カウンターは決まったが腕にはナイフが刺さってしまっていた。相手はカウンターが来た際に軌道を変えて右腕を瞬時に刺したのだ。


「まじで痛すぎる・・・」


ナイフを抜き取り、刺されて出血している所を左手で抑え相手の元に近寄ると、カウンターをまともにくらった筈の相手が立っていた。だが立っていてもそれがやっとの様で体はフラフラしていた。多分右手にナイフを刺すことで少しだけ攻撃力を下げたのだろう。


「くそっ!まだやるってのか!?」


もう右手は使えないから左手で戦おうとした時だった。バタリと相手は急に倒れ込み、急いで近付いて見るとその時はにはもう死んでいた。


「勝ったのか・・・?」


「勝った・・・勝ったぞ!俺は勝ったんだ!!!」


死闘の末、陽炎は何とか相手を倒し、その場に座り込んでしまった。


「もう疲れた・・・」


座り込んだとき丁度、ピロリンっと音が鳴った。なんだと思ってステータスを見てみるとそこには新しい称号が増えていた。


歴戦の猛者と書かれた称号が魔族殺しの下にあったのだ。歴戦の猛者の称号は相手が魔族の幹部以上をたった一人で倒した時に貰える称号らしい。


「歴戦の猛者か・・・」


「これでまた強くなったかな?」


立ち上がると近くに丁度いた馬に乗り、帰路を辿った。


(流石にこの体じゃあもう戦えないな)


(一旦戻って回復をしないと・・・)


そうして陽炎の初陣は輝かしい勝利で収めた。












前回は使い方が分からずに紹介がありませんでした!だからこの場で紹介させていただきます!趣味で小説を書いてるTuMiReDaYoと申す者です!まだまだ使い方があやふやなので教えてくれたら幸いです!

面白い、続きが見たいと思った方はぜひ評価などお願いします!自分のモチベーションに繋がります!まだまだ新米ですがお願いします!!

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