演説
ダリアの国会にあたる、ベル・バッフェム宮殿にある貴族院議場を占拠した魔術使たちは、演壇にいるダリア統一魔術協会の会長と、太陽教の数人の教職者を前にしている。
会長が話し出す。
「多くの魔術使が最善を尽くして対処していた。多くの魔術使がマーラニアに行き、エルゲン率いる冒涜的政府組織を口封じで殺害し、反政府勢力を叩きのめした。
マーラニアのメディアを壊し、通信網を破壊し、結界を張って外に情報が洩れないように尽力した。
なんとかして、ことが外に出ないようにと努力していた。
そしてその努力は、ゆっくりと実り始めていた。」
「──けれども、それを、あいつらは、科学者は壊したのだ。
愚かで、浅はかで、美的意識のないあいつらは、それを根底から壊したのだ。
マーラニアで死んだ我ら魔術使の遺体を見つけては、解剖し、解析した。
そんなことをしても、非魔術使には何も知ることができないのにだ。
そんなことを、考えることもせずにあいつらはただ自分の好奇心と、敵愾心とともに、我々魔術使をひたすらに冒涜し続けた。」
「尽力したのだ。奮闘したのだ!
多くの魔術使たちは。魔術を知っている者たちは。」
「──しかしそれを、あいつらにすべてを無駄にしたのだ!
世界中の科学者は、その得体のしれない存在をなんとか自分たちの力で答えようした。
我々はそれを拒んだ。
けれども、あいつらは力づくてそれを遂行しようとしてきている。
我々はそれを拒み続ける。」
「世界の魔術使たちよ。ダリア魔術協会と太陽教会がここに宣言する。
本日より我々魔術使はこの世界が我々のものとなるまで、非魔術たちと戦争状態に入る。」
***
こうして、1974年の3月28日。世界で魔術使たちが一斉に武装蜂起し、
それをきっかけにして4日後の4月1日に、
世界で初の魔術使と非魔術使による紛争、ダリア内戦が勃発した。




