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ダリア戦記   作者: 獨國薯夫
始まりの予感
10/15

裏切り

叔母さんから話があってから二日目の10日。


朝から叔母さんにたたき起こされて、身支度もままならないまま玄関へ出ると、そこには数人のスーツ姿の者がいた。


「レイヴァニ、起きたんだね。今、魔術協会の連中と話していてね。どうもこいつら、お前を連れていく行くらしいんだ」


スーツを着た協会員らしき人がすぐに言い返す。


「連れていく、とはよく言いますね。今の話をちゃんと聞いていましたか。私たちが言っているのは、彼女が招集序列の順番に近くなったので、そのお知らせをしに来ただけです。それに彼女の了解がない限り私たちは招集はしませんよ」


連れていくとはどいうことだ?それに招集序列とは。


「どういうことですか」


「初めまして、ミス・レイヴァニ。私たちは魔術協会からきたものです。叔母さまから聞きましたが、件の話は聞いているようですね」


「魔術干渉の事ですか」


「えぇ、そうです。結論から話しますが、近く我々魔術政府はマーラニアの反乱を鎮めるために、兵を出します」


「それはつまり、戦うということですか」


「そうです。マーラニア政府は本日深夜3時、反政府軍つまりマーラニアの魔術使軍に対して宣戦布告しました」


宣戦布告。男ははっきりとした口調でそう答えた。


得体のしれないその言葉響きからはとても恐ろしいものを感じる。もちろん昨日話した魔術干渉の事だろう。


「それでは、魔術干渉が実際に起こったということですか?」


男はうなずいた。


「彼らは、本気で戦争をしようとしています。昨日の昼過ぎ、このほどマーラニア内で活発となっていた、反政府活動において魔術を用いた活動が確認されました。詳細はこの後行われる緊急会議で発表されますが。すでにテレビを見れば事足りるかもしれません。魔術干渉は実際に起きています」


「大きな水晶玉を持っていた男が、そこに何らかの魔術で映像を浮かばせてきた。」


そこではニュースキャスターが声を張り上げてニュースを報じている。題は、マーラニアで謎の戦闘。人が飛んだ!と書かれている。


“繰り返します!。昨日に起きた、マーラニア軍施設の爆破事件で、人が飛ぶなどの非科学的な、現象が撮影されました。繰り返します、昨日起きた…そ、速報です!。えー、現在マーラニア政府が声明を発表しています。はい、映像を切り替えます。”


映像が切り替わった。同時に周りの男たちも水晶玉の見える位置によって来た。

軍服を着た男が移される。テロップには、エルゲン-フォルギシュ書記長とある。


“親愛なるマーラニア国民と世界の同志諸君。このたび起きた一連の戦闘によって我々政府軍は多大な損害を受けた。しかし、これは単なる武力によるものではない。我々は敵対する戦闘員に非科学的な力で攻撃を受けた。彼らはこれを魔術と称している。彼らはそれを行使し、わが軍の数倍近い戦力差をひっくり返してきた。人間が空中を単葉機並みの速さで飛び、鋼鉄のような物体を出現させて飛ばし我々に攻撃をしかけてきた。彼らの力は圧倒的である。しかし、我々はそのような力にもかかわらず、彼らを一人残らず駆逐した。損害は軽微。既に彼らのアジトである施設を包囲済みだ。現在わが軍の誇る研究施設で彼らの実態を研究している。同志諸君朗報を期待したまえ。”


映像はそこで終わった。

誰も何かをいうことなくただ驚きの表情だけが静かに流れた。

その静寂を叔母さんが破る。


「エルゲンはこちら側の人間ではなかったのかい?」


「そのはずでした。しかし、早朝にこの映像が国営放送より流れました。」


「止める人間はいなかったのかい?」


「8日にテレパスの通信が断然してから、情報が入っていないので何とも。ただ、現地の協力者と電話をつないだところ、あの映像はエルゲンの独断で作られた可能性があります。」


「なんてことを...」


「とにかく事態は最悪です。現在、昨日に派遣した部隊を用いて国営放送の放送局と電波塔を破壊しました。そのためこの放送自体は現在流れていません。しかし、海外のメディアがこの映像を報道しています。」


協会の関係者は最後にこう付け足した。


「とにかく我々は全力で事態の隠ぺいに努めますが、もしかすると魔術で対応できる範疇を超えているかもしれません。」


そう言うと私たちはまた沈黙にとらわれるのだった。

エルゲン-フォルギシュ:  マーラニア人民共和国第11第書記長

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