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サタンクローズ〜魔王が転生して人間に〜  作者: 白石 月
第一章 全て始まりにすぎない
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4.〜俺の青春は命懸け〜

一週間後

 噂によると生徒会長のサラは普通に学校に来ているそうだ。

 俺はキリハと少し距離を置くため、ここ一週間授業が終わると直ぐに教室をでて帰っていた。

今日も早く教室を出て校門まで歩いていく。

 「あの……」

 校門付近で先日キリハと助けだした生徒会長のサラと出会った。

 「先日は助けていただいて本当にありがとうございます!」

 「いや俺は何もしてないよ。お礼ならキリハに言ってくれ」

 俺は本当に見ていただけだったし……。

 「いいえ私、本当に感謝してるんです。だからお礼がしたくて……」

 生徒会長は心の底からいい人なんだな。


 「そういえば、なんで攫われたのか思い当たることはないのか?」

 サラは少し考えこんだ。

 「いいえ。わかりません」

 サラは少し声を小さくして答えた。

 「そうか」

 これは何かあるようだ。だが今はそんなことを考えないようにしてそのまま帰ろうとした。

 「ちょっと待ってください!」

 「なんだ?」

 待てってどういう……もしかしてお礼とやらで……。でもさすがに俺に惚れるようなことはない……のか?

 「そっちは校門ですよ!」

 校門?

 「それがどうかしたのか?」

 「今日は大事な作戦があるんですよ」

 作戦?

 「まさか、反乱軍に入ったのか?」

 「はい! まぁ強制的になんですけどね……」

 いろんな意味でそんな気はしてた。


 「それでどこに行こうとしてたんですか?」

 あからさまに俺の目的地を知ってるくせにサラは俺が行こうとしているところを聞いてきた。

 「悪いが今日は大事な用事が……」

 俺は本当に大事な用事がある訳では無い。ただキリハと距離を置いておかないと、俺がより深く前世の記憶を思い出しそうで怖いのだ。

 「今日は本当に大事な作戦があるんです!」

 サラは来てくれと言わんばかりに俺を見つめている。

 そんな顔で来てくれと主張されるとなんだか断わりづらい。

 「わかったわかった。行けばいいんだろ?」

 「はい!」


 そして俺は基地に二人で入っていった。


 「おっ、久しぶりです!」

 久しぶりに基地に顔を出す俺に、ケンが声を掛けてくれた。

 「もう辞めてしまったのかと思いましたよ」

 「すみません……」

 とりあえず俺は謝っておいた。

 「そんな、謝らないでくださいよ。また来てくれたんだし」

 基地のメンバーは皆いい人なんだな……。

 「帰ってきてくれたのー」

 カオリも続けて声を掛けてくれた。

 「私、あなたのこと結構気に入ってたの」

 「えっ……はい?」

 「だからね、帰ってきてくれてうしいの!」

 俺は今のカオリの言葉に少し戸惑う。


 「それにまたメンバーがいなくなるのは嫌だもの」

 「また?」

 俺は気になって問い詰めた。

 「皆辞めていってしまうの」

 「辞めていった?」

 それにはキリハが答えた。

 「えぇ。死と隣り合わせの反乱軍は結構実力が必要でね。ついていけない人も多くて、実力の差を感じて辞めてしまうのよ」

 失敗したら死が待っている。まぁ当然だな……。

 「それで今日の大事な作戦というのはなんなんだ?」

 「聖剣奪還作戦なの!」

 カオリがなんだか楽しそうに応えた。

 俺が来てくれた事がそんなに嬉しいのかな……

 「作戦内容を発表するの」

 

 「博物館に潜入して聖剣を奪う!? それってただの犯罪じゃねーか!」

 俺はこの反乱軍がただの犯罪集団に思えてきた。

 「いいえ、この博物館は魔王ジンが作った魔物の巣なの。結局は破壊しないといけないの──だから犯罪にはならないの」

 犯罪にはならないと主張するカオリだった。だが俺には変なスイッチが入った。

 「魔物の巣だからって破壊していい理由にはならない!」

 「あ、あなた魔物をかばうの?」

 キリハは呆然としていた。

 やばい、魔物の味方だと思われたかな。

 「魔物だっていい魔物もいるかもしれねーし……」

 俺はいい感じに理由を述べる。

 「そうね、いい心を持つ魔物もいるかもしれないわね。私も昔、いい魔王にあったことがあるわ」

 キリハは笑いながら応えた。

 どんな魔王だよ! いい魔王って。

 「でも博物館に潜伏している魔物は全員人殺しよ。現に博物館に行ってから帰って来ない人が何百人といるようだし」

 とキリハは説明した。

 「そういう訳だ。気にするな」

 ディアスは俺を安心させるように言った。

 「あぁわかった」

 俺は納得してしまったが、今思えば俺はおそらく『元魔王』なのに人間の味方をしててもいいのだろうか……。

 キリハにいや、勇者リリィに刺された瞬間を思い出していた俺は、そんな事を考えていた。


 「それじゃあ話を戻して作戦内容を言うの」

 その後カオリは作戦内容を話し続けた。

 カオリは俺とディアス、キリハとサラで別れて聖剣を奪還する作戦を立てた。

 「それでは、聖剣奪還作戦、開始なの!」

 カオリの掛け声と共に作戦が開始した。



 俺はディアスと共に、博物館に電気を送っている魔法発電所に来ていた。俺たちは建物の影に隠れて見張りを観察していた。


 「ここの見張りは人間なんだな……」

 「ここの電気はニニホ中に通っているし、普通の発電所だからな」

 相手が人間だと、なんだかやりづらい。

 それにやってる事が人間相手のテロに思えてきた。

 「俺が全員気絶させる。俺の合図の後にお前もこい」

 そういうとディアスは俺の返事も聞かずに見張りに突進していった。ディアスは入口にいる見張り二人を刀の刃がついてない方で攻撃し気絶させた。

 ディアスの剣術はおそらく相当凄いのだろう。相当手練のはずの見張りを意図も簡単に倒してしまうのだから。

 そしてディアスは俺に合図をした。


 「この先自分の身は自分で守れ。いいな?」

 「わかった」

 この後俺達は発電所内の中枢にいる魔法使いを探しだすため、二手に別れて行動した。

 


 その頃キリハは聖剣が保管されている博物館に潜伏しようとしていた。

 「侵入経路は空からなの。そこはサラちゃんの飛行魔法で行けるはずなの」

 ケンの通信魔法で基地にいるカオリの声がキリハに聞こえる。

 「そんなのさっきの説明で聞いたわよ」

 キリハは作戦内容を頭にいれて行動に移していた。

 カオリはおそらく、初めての通信魔法をただやってみたかっただけなのだと思う。

 ケンが通信魔法が使えるようになったのはつい最近の出来事だからだ。カオリは残念そうな声をだし、通信を切った。


 「それより、飛行魔法が使えるって本当なの?」

 キリハは疑心暗鬼にサラに聞いてみた。

 「問題ないです」

 飛行魔法が使える人は、勇者の頃の仲間にもいなかった。なのに飛行魔法を使える高校一年生だなんて。


 「ならそろそろいくわよ! サラ、お願い!」

 「はい!」

 サラは詠唱を唱えて、飛行魔法をかけた。そして二人は博物館の屋上に侵入した。

 屋上には中に入れそうな扉があったが、扉にはロックが掛かっていた。

 「あとはあっちが成功するのを待つだけね」

 キリハはどこか慣れているように言った。

 「キリハさん、私達完全に強盗集団じゃないですか!?」

 サラが不安そうに聞いてきた。この博物館がたとえ魔物の巣でも、強盗に入っていることに変わりはない。

 「大丈夫! あの聖剣は元々私のだし、奪ったのはあいつらの方よ!」

 キリハは私のだと言い張るが、それは百年前の出来事だ。

 「そうなんですか!?」

 サラは驚いた表情を浮かべる。

 「前世私が愛用していた聖剣、エクスカリバーよ。あれさえあれば魔王ジンだって倒せるわ」

 キリハは自信満々に言い切った。

 「前世!?」

 サラは聖剣のことよりもそっちの方が気になり聞いてみた。

 「私の自己紹介もうしたわよね?」

 だがキリハがデーモンキングを倒したとき、サラは気絶していたのだ。聞いていた訳が無い。

 「えぇキリハさんと……」

 サラが困った表情で答える。

 そういえばあのときサラは気絶してたんだっけ──まぁいいわ。

 「私はリリィーライトベル。最後の勇者の転生者よ」

 「えっ!? 実は──私も転生者なんです」

 「へぇーサラも転生者だっ──えっ!?」

 キリハは驚いた。それは当然だ。転生者は自分だけだと思っていたのに他にもいたのだから。

 


 その頃俺は薄暗い発電所内で見張り三人に囲まれていた。

 「観念して投稿しろー」

 俺は徐々に距離を縮められた。

 俺は魔法の加減が出来ないので魔法を使うことは出来ない。

 だがこのままでは俺は捕まってしまうので、俺は正面にいる見張りに闇雲に突進した。そして俺は見張りに一発かました。見張りは一発で気絶した。


 どうやら俺は魔法を使わなくても人並みには戦えるらしい。

 俺はそのあとなんとか二人を倒して先に進んだ。

 そして俺は虱潰しに部屋を周り、電気が痛いほど強く流れている部屋を見つけた。


 中に入るとそこには椅子に座っている魔法使いがいた。

 「お前がこの施設を動かしてる魔法使いだな」

 「ほう、まだネズミが潜り込んでいたのか」

 まだ?

 そういうとなにかを投げ出した。

 「これはお主の仲間か?」

 そこには片腕がなくなり流血しているとディアスの姿があった。

 「ディアス!」

 俺は驚き声をあげる。あの剣術最強クラスのディアスが負けていたのだ。

 「作戦は中止だ……早く逃げろ……」

 ディアスは俺の無事を優先して逃げろと言った。だが……。

 「この状況で黙って逃げるわけないだろ!」

 俺はディアスを無事助け出すため、魔法使いの方を向いて構えた。

 俺は人並みには戦える。あいつも俺が──。

 「遅いですよ?」

 魔法使いは高速で俺の背後を取りった。

 魔法使いはそのまま俺に蹴りを入れた。

 俺はなんとか無事だったが、今の蹴りはなかなか痛い。おそらく次はないだろう。

 「アクアサーベル!」

 俺は無詠唱でアクアサーベルを創り出した。

 この際俺が元魔王だったなどは、ばれてもしょうがない。今の一撃をくらってわかった。全力で戦わないと俺とディアスは確実に死ぬ。こいつはそれほど強い。

 「ほう、無詠唱で魔法が使えるのか。面白い」

 魔法使いがそう言うと詠唱を唱え雷の剣を作り出した。

 剣と剣が交わるなか、魔法使いはこの戦いを楽しんでいた。俺は魔法使い変幻自在の攻撃に防戦一方だった。


 その時ディアスは俺の戦いを見ていた。

 この剣さばき、こいつにならこの刀を託すことができるかもしれん。

 「シルク! 俺の刀を使え……きっとお前なら……その刀を使いこなせる……」

 ディアスは俺に最後の力を振り絞ったような声で命令した。

 「外野は黙ってろ」

 そういうと魔法使いは詠唱を唱えて電気の球を作りだした。


 まさか!


 「やめろっ! やめろー!」


 俺はディアスの方に駆け込んだ。


 「エレキバレル!」


 だが間に合わなかった。

 高速で進む電気の球がディアスにとどめを刺した。

 ディアスの手にはディアスがいつも愛用している刀が握られていた。

 「これで邪魔者は消えた。さぁ続きを始めようか」

 魔法使いは楽しげに続きをしようと言い出した。

 俺はそれが許せなかった。

 「ディアス、借りるぞ……」

 俺はディアスの刀を受け取った。その時手に持ったディアスの刀が光りだした。そのあと刀はみるみる姿を変えて聖剣に変わった。

 なぜ俺がこの刀を持った瞬間刀が聖剣に変わったかなんて俺は考えずに、ただ魔法使いを睨んだ。


 「俺がディアスの無念を消滅させる!」

 俺は怒りに任せて聖剣を魔法使いに向かって振った。

 魔法使いは雷の剣を使って俺の攻撃を防ごうとした。

 「なにぃっ!?」

 だが聖剣は魔法使いの持つ刀を消滅させた。

 俺はそのまま聖剣を振り落とす。

 だが魔法使いはその攻撃をなんとか避けた。

 そこに俺は追い討ちをかけるように。


 「グラビティカッター!」


 俺はでかい斬撃を飛ばした。その重々しい斬撃は魔法使いを真っ二つにした。

 そして魔法使いは魔物のように消えていった。

 聖剣から放たれた斬撃は、それで留まることなく発電所を真っ二つにする。

 そして発電所はでかい音を立てて爆発した。


ご高覧ありがとうございます!

感想等頂けると幸いです。

次の投稿は10月3日21時となります。

引き続き【サタンクローズ】をよろしくお願いします。

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