7.〜元魔王世界を壊し皆を守る~
──戦いは魔王の幹部の一人、セリナの父親が倒れてから、いや、街が半壊状態になってから膜が閉じた。
そして俺は今、校長の家でキリハと話をしている。
「なんであんなことになるのよ」
俺は街の修理費を、キリハに出してもらうことになった。ご令嬢が居なかったら俺は多額の借金を背負うことになっていただろう。
「いや、聖剣がイマイチ制御できなくて……」
本当は俺の魔法が制御できなかったんだけど。
「前から思ってたんだけど、あなた何者なの? あの時、あたなが持つと聖剣が覚醒した理由も、未だにわからないし……」
あの時というのは魔王の幹部、絶対防御のスケルトン戦の時のことだろう。
それに関しては俺の方が聞きたいくらいだ。元魔王が聖剣を覚醒させていいのだろうか。
俺は黙秘を続ける。
「まぁいいわ。そんなことよりも今はサラのことが心配よ」
サラはスケルトン戦以来、ずっと眠り続けている。
「それに関しては多分大丈夫だ。もう時期セリナ先輩がここに来るはずだ」
ピンポーン! ピンポーン!
「ほら、噂をすれば──」
「そうね。これに関してはあの人便りだわ」
そう言ってキリハは玄関の方に歩いていく。
──そしてキリハとセリナが部屋に入ってきた。
「あの、シルクくん。先日はどうもありがとうございます」
セリナは頭を下げ改まって敬語でお礼を言ってくれる。
「いや。いいんだ俺は約束を守っただけだから」
『俺が絶対お前を守る』それが俺が一方的にした約束。俺は別に、これを守るために行動したわけじゃない。
『セリナを助けたい』そう思ったからだ。
「それでサラのことは治せるの?」
キリハは改まってセリナに確認をする。
「はい。おそらくこの豆を飲ませれば……」
「あなた、それ前にもサラに飲ませた豆よね?」
そう、俺が考えるに、あの時サラはこの豆を飲んで眠りについた。
「あ、あれはお父さんに命令されて、永眠の豆を……。でもこの豆を飲ませれば、おそらくサラさんは目が覚めるはず……」
そう言ってセリナはサラに豆を飲ませる。
キリハと俺はそれを見守る。
──ッ!?
豆を飲ませた瞬間、サラの目が覚める。そして涙する俺達を見て驚く。
「私は一体……。ていうか皆さんも一体どうしたんですか!?」
「サラ! サラァ!」
キリハはサラに飛び込み抱きつく。
俺は少し視線を逸らしながらそれをちらっと見る。
「セリナさん! どうしたんですか?」
「サラ! よかった……。本当によかった! もう私、サラは目覚めないじゃないかって」
「目覚めない? 私は一体どれくらい寝ていたのでしょうか……」
「ええっと……」
「大体二週間くらいだな」
俺は割り込むようにそう答える。俺はとてもサラのことを心配していた。だからサラが眠ってから日にちを数えていた。まぁ、キリハに関しては日にちを忘れてずっと看病していたのだろう。
「二週間!? 私そんなに……」
「キリハは学校休んでまで看病してたんだ。『サラが起きてから誰もそばにいなかったら不安でしょ?』ってな」
「キリハさん。本当にありがとうございます!」
キリハはサラのお礼を聞いてニコッと笑ってサラを抱きしめた。
「おかえり! サラ!」
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