5.〜俺が絶対お前を守る〜
朝起きると家にセリナの姿はなかった。
リビングに行くとそこには書き置きがされていた。
『あなたに迷惑はかけられないわ。命令されたとはいえ、私がサラさんを眠らせてしまったのだから。ごめんなさい。そして今までありがとう』
これを読んだ俺は直ぐに家を飛び出す。
セリナはどこにいるかなんて分からない。だが手当り次第に探すしかないだろ。
とりあえず俺は走って学校に向かった。
俺は校内を探し回った。だがセリナの姿はない。
そして俺は校長の家に向かった。
「キリハ!」
「どうしたの? そんなに慌てて」
「サラを眠らせたやつが分かった」
「えっ、それほんと?」
そしてキリハは俺の話に夢中になる。セリナの本性などを色々とキリハに説明した。
「じゃあセリナさんは誰かに命令されてるって訳ね」
「ああ」
「じゃあとりあえずカオリに連絡しないとね」
「それはダメだ」
俺は昨日カオリ達からセリナを連れて逃げたのだ。
「なんで?」
「ちょっと、喧嘩中なんだ」
「そんなの知らないわ」
そういうとキリハは家を出ていった。
こうなったらやはり一人で何とかするしかなさそうだ。
そう思って俺は一人でニニホ中を走り回った。
この街の観光名所はもちろん、路地裏なども探した。だがセリナの姿はどこにもない。
もしかして二二ホの外に出てしまったのだろうか。
そんなことを考えていると俺の脳内に直接声が聞こえてくる。
「シルク、シルクなの? 昨日のことはごめんなの。少し取り乱してしまったの」
語りかけてくるのはカオリだった。
少しどころじゃなかった気がするが……。
「セリナは今、闘技場にいるの。街で騒ぎになってるの」
闘技場?
「それはどこにあるんだ」
「闘技場は魔王の幹部の一人、炎の魔剣使いが支配している裏世界、この街の地下にあるの」
「どこから行ける」
「シルクがいる場所のすぐ近くなの。今向いている方向を百メートル真っ直ぐ行って右なの」
「分かった! ありがとう」
そして俺は走り出した。
真っ直ぐ行って右に
ドン!
右に曲がった瞬間俺は誰かとぶつかり倒れる。
「あの、ごめんなさい」
「すまない」
俺が謝ると同時にぶつかった相手も謝った。そしてぶつかった人の顔を見ると、なんとそれは顔見知り。世間は狭いのだ。
「霧雨!」
「シルク!」
以前魔王の幹部、絶対防御のスケルトン戦で共に戦ったキリハの国の聖騎士だ。
「まさかこんなところで会えるとは」
「ちょっと一緒に来てくれ」
俺はすぐさま霧雨の手を握り地下に向かう。
霧雨がいてくれると心強い。
「シッシルク? ちょっとどこにいくんだ」
「大事な頼みがあるんだよ」
「そ、そうか。わかった!」
そして俺達は地下に潜り込む。
──ここは地下のとある場所。
「これより、反逆者セリナの処刑を始める!」
私は楽しかった。今まで楽しかった。誰よりも楽しい人生ではなかったけれどほんの一時だったけれど楽しかった。
シルクくん怒ってるかな。俺が守ってやるって言ってくれたシルクくん。あんなに優しい人は小学校時代の彼くらいだったよ。
私に希望を見せてくれた人はみんな死んでしまう。私の父が殺してしまう。だから私はこれでいい。シルクくんが死ななくて済むのなら。
「やれ!」
ありがとうシルクくん。私の二番目のお友達。
──ッ! ……。
意識がある。目が開けられる。
そしてセリナの目の前には信じられない光景が映っている。
「助けに来たぞ! セリナ!」
私の隣で斧を持った魔物が倒れている。
「……シルクくん」
セリナは思わず涙を流す。
「あなたが来たら、私が死ぬだけじゃ助からないのよ」
「助かるさ! 俺が絶対お前を守るって言っただろ?」
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