4.〜少女の過去〜
「厄災女!」
「ろくでなし!」
「人殺し!」
「早く出ていってくれ!」
小学生のセリナはクラスメイト、いや担任の先生までにも石を投げつけられる。
「痛っ! 痛いよぉ」
お母さん、助けて……。
堪えていた涙は流れ出し、地面にこぼれる。
「おい、こいつ泣いてんぞー」
クラスの皆は大笑いし始める。ただ一人を覗いて。
「おい! 辞めろよ!」
一人の男子がセリナのことをかばうようにセリナの前にでる。
「そんなのただの噂なんだぞ!」
「ちっまたお前かよ……。もう行こうぜ」
男子生徒のおかげでまたセリナは助けられる。
「いつも、ありがとう」
「気にしないでくれ」
短髪でかっこいい。いつも私のことを守ってくれる私の大好きな人。彼は私の唯一の救いだ。彼がいるだけで私は生きることが出来る。
下校の時間。皆とは帰らずに、いつも私の隣を歩いてくれる。
帰った後、いつも私の家に来てくれる。
「セリナ! これみてよ!」
あの頃の私は本当に楽しかった。みんなに嫌われていても、彼がいてくれるだけで。
「セリナ、どうしたんだ!」
セリナは顔の数箇所に傷があった。
「転んじゃったんだよ……」
そういう私の言葉を聞いた後、彼は私が抑えていた腕を凝視する。
「腕、痛むのか?」
「痛くない」
「ならなんで腕抑えてるんだ?」
「これは……」
私は彼から目線をそらす。その時彼は少し強引に私の服をめくる。
「痛っ!」
「どうしたんだよ、これ……」
私の腕には無数の青あざがあった。
私は傷を見られて黙り込む。
「誰がやったんだ?」
彼は誰かにやられたことを理解したのだろう。誰がやったのかを聞いてくる。
「だから転んで──」
「そんなわけないだろ!」
彼はいつも以上に真剣だった。
「それで、誰がやったんだ? 大丈夫俺がセリナを守るから」
「それは──」
──私と彼は今日、手を繋いで一緒に学校から下校した。
ピンポーン ピンポーン
彼は私の家の呼び鈴を鳴らす。数秒後家の扉が開く。そして玄関にお父さんが出てくる。
「誰だ? そこの男の子は」
この時間に家に父親が居るなんてことは初めてだ。
「友達です」
「友達は作るなと言っただろ?」
そう、私は親にいや父親に行動を色々と制限されている。
「彼氏です」
「かっ彼!? まあいい、話は中で聞く」
そしてセリナと彼は家に入れてもらう。
「それで、君がセリナの彼氏だと言うのは本当なのか?」
私達はまだ小学生だが、父親は本気のようだ。
「俺はそういう話をしに来た訳ではありたせん」
「ではどういう」
「もうこれ以上セリナに関わらないでください!」
「関わらないでって、私はセリナの父親なんだぞ」
「娘に暴力を振るう父親なんて、親じゃない!」
その言葉を聞いた瞬間、父親の顔色が変わる。
「セリナ、喋ったのか? ……何人に喋ったんだ? お前は俺の駒の癖に、助けを求めたのか?」
「セリナは駒なんかじゃない!」
「お前は黙っていろ! 俺は今、セリナと話しているんだ!」
突然お父さんは怒鳴りだす。いつも私をいじめる時みたいに。
セリナは沈黙を続ける。
「今すぐセリナに暴力をするのを辞めてください!」
「──ッ!? 黙れ!」
お父さんは椅子から立ち上がり彼の首元を掴みあげた。
彼は苦しそうにもがく。
「お父さん、辞めてください!」
だがお父さんは辞めることなく、助けようと近寄る私の頬も叩く。
「お前だけだよな? お前さえ死ねば、私は無実だ。そうだお前を殺したのはセリナということにしておこう」
お父さんは詠唱を唱え始める。
「辞めて。辞めて!」
「フレイムソード」
お父さんは炎の剣を魔法で作り出す。
「辞めて。辞めて!」
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