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サタンクローズ〜魔王が転生して人間に〜  作者: 白石 月
第二章 少女の心を救いだせ
16/19

4.〜少女の過去〜

「厄災女!」

 「ろくでなし!」

 「人殺し!」

 「早く出ていってくれ!」


 小学生のセリナはクラスメイト、いや担任の先生までにも石を投げつけられる。


 「痛っ! 痛いよぉ」


 お母さん、助けて……。

 堪えていた涙は流れ出し、地面にこぼれる。


 「おい、こいつ泣いてんぞー」


 クラスの皆は大笑いし始める。ただ一人を覗いて。


 「おい! 辞めろよ!」


 一人の男子がセリナのことをかばうようにセリナの前にでる。


 「そんなのただの噂なんだぞ!」

 「ちっまたお前かよ……。もう行こうぜ」


 男子生徒のおかげでまたセリナは助けられる。


 「いつも、ありがとう」

 「気にしないでくれ」


 短髪でかっこいい。いつも私のことを守ってくれる私の大好きな人。彼は私の唯一の救いだ。彼がいるだけで私は生きることが出来る。

 

 下校の時間。皆とは帰らずに、いつも私の隣を歩いてくれる。

 帰った後、いつも私の家に来てくれる。


 「セリナ! これみてよ!」


 あの頃の私は本当に楽しかった。みんなに嫌われていても、彼がいてくれるだけで。

 


 「セリナ、どうしたんだ!」

 セリナは顔の数箇所に傷があった。


 「転んじゃったんだよ……」


 そういう私の言葉を聞いた後、彼は私が抑えていた腕を凝視する。


 「腕、痛むのか?」

 「痛くない」

 「ならなんで腕抑えてるんだ?」

 「これは……」


 私は彼から目線をそらす。その時彼は少し強引に私の服をめくる。


 「痛っ!」


 「どうしたんだよ、これ……」


 私の腕には無数の青あざがあった。

 私は傷を見られて黙り込む。


 「誰がやったんだ?」


 彼は誰かにやられたことを理解したのだろう。誰がやったのかを聞いてくる。


 「だから転んで──」

 「そんなわけないだろ!」


 彼はいつも以上に真剣だった。


 「それで、誰がやったんだ? 大丈夫俺がセリナを守るから」

 「それは──」


 

 ──私と彼は今日、手を繋いで一緒に学校から下校した。

 

 ピンポーン ピンポーン

 

 彼は私の家の呼び鈴を鳴らす。数秒後家の扉が開く。そして玄関にお父さんが出てくる。


 「誰だ? そこの男の子は」


 この時間に家に父親が居るなんてことは初めてだ。


 「友達です」

 「友達は作るなと言っただろ?」


 そう、私は親にいや父親に行動を色々と制限されている。


 「彼氏です」

 「かっ彼!? まあいい、話は中で聞く」


 そしてセリナと彼は家に入れてもらう。


 「それで、君がセリナの彼氏だと言うのは本当なのか?」


 私達はまだ小学生だが、父親は本気のようだ。


 「俺はそういう話をしに来た訳ではありたせん」

 「ではどういう」

 「もうこれ以上セリナに関わらないでください!」

 「関わらないでって、私はセリナの父親なんだぞ」

 「娘に暴力を振るう父親なんて、親じゃない!」


 その言葉を聞いた瞬間、父親の顔色が変わる。


 「セリナ、喋ったのか? ……何人に喋ったんだ? お前は俺の駒の癖に、助けを求めたのか?」

 「セリナは駒なんかじゃない!」

 「お前は黙っていろ! 俺は今、セリナと話しているんだ!」


 突然お父さんは怒鳴りだす。いつも私をいじめる時みたいに。

 セリナは沈黙を続ける。


 「今すぐセリナに暴力をするのを辞めてください!」

 「──ッ!? 黙れ!」


 お父さんは椅子から立ち上がり彼の首元を掴みあげた。

 彼は苦しそうにもがく。


 「お父さん、辞めてください!」


 だがお父さんは辞めることなく、助けようと近寄る私の頬も叩く。


 「お前だけだよな? お前さえ死ねば、私は無実だ。そうだお前を殺したのはセリナということにしておこう」


 お父さんは詠唱を唱え始める。


 「辞めて。辞めて!」

 「フレイムソード」


 お父さんは炎の剣を魔法で作り出す。


 「辞めて。辞めて!」


 ────。


ご高覧ありがとうございます!

感想等頂けると幸いです。

次の投稿は13時となります。

これからもよろしくお願いします!

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