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サタンクローズ〜魔王が転生して人間に〜  作者: 白石 月
第一章 全て始まりにすぎない
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10.〜異世界人と聖剣〜

「なんだこいつは!?」


 俺を全力で追いかけ回した大男が驚き声をあげる。


 「俺の眠りを妨げるとはいい度胸だ。全員すり潰してくれる」


 全身が骨で構成された蛇が街の破壊を始める。

 俺は蛇の攻撃を刀で受け止める。だが俺の刀は光らず蛇の馬鹿力で少し押され気味だ。それに俺の後ろには足がすくんで動けない街の人がいた。絶対に引くことは出来ない。

 その状況を見ていた大男が俺の元に駆けつけ手を貸した。

 大男は素手で蛇の攻撃を受け止めている。


 「なんで……」


 そういう俺に大男は即答する。


 「当たり前だろ! 俺はいつでも善良な市民の味方だ! それにお前がこの街に災害をもたらすものではないのはこの状況を見ればわかる」


 なんて怪力な奴なのだろう。蛇の重い攻撃は大男の協力もあり留まった。


 「何者だ貴様。俺の目を覚ましただけのことはあるようだが」


 蛇は少し後ずさりする。蛇は少しばかり驚いているようにもみえる。


 「俺はグレンテ王国聖騎士長、霧雨(きりさめ) 達也(たつや)。この街に災害をもたらすものを排除しに来た」


 変わった名前の大男はどこかの国の聖騎士長らしい。というかグレンテ王国というのはどこかで聞いたことがある。

 聖騎士長は自分の名前を名乗ったあと大剣を巨大な蛇に向ける。

 「ほぅ、聖騎士長か。せいぜい俺を楽しませてくれよ」

 蛇がそういうと地面がまたも盛り上がり、骨のようなものが霧雨を襲う。

 それを霧雨は器用に避けて蛇の頭に距離を詰める。

 俺は霧雨の足の速さに思わず「速い!」と驚き声を上げる。

 そして霧雨は蛇の頭に剣を当てる。その瞬間蛇を纏っていた黒いオーラが消え失せる。おそらくあの大剣は聖剣の一種なのだろう。魔の力を消したのだから。


 だが大男の大剣は蛇の頭に傷をつけることが出来ずに弾かれた。

 あの頭は、いや、おそらく骨そのものが恐ろしいほどに硬いらしい。

 そのまま霧雨は蛇の頭で突き飛ばされ、家の壁に激突した。

 

 「霧雨さん!」


 そう言って駆け寄ったのはキリハだった。

 その時俺はとあることを思い出す。キリハはグレンテ王国の令嬢だったのだということを。なら霧雨という大男はキリハの国の聖騎士長ということになる。


 「姫様……ゲホッ……お下がりください」


 途中血を吐き咳き込みながら、キリハの無事を優先し霧雨は再び立ち上がる。


 「もういいよ! 今のをもう一度くらったらあなたは……」

 「大丈夫です。それが俺の使命ですから」


 そういうと霧雨は再び蛇に向かって走り出す。

 あの攻撃をくらっても尚、あそこまで走れる人間はそういない。そんなふうに俺は思える。

 そしてもう一度霧雨は蛇に攻撃を当てる。だがまたもや大剣は弾かれた。だが霧雨は諦めずに攻撃をし続ける。

 だが俺にはその攻撃が効いているようには見えない。蛇は不気味な笑い声を上げていたからだ。


 蛇は尻尾を霧雨の方目掛けて高速で動かした。この尻尾の攻撃を受ければ霧雨でもさすがに一溜りもない。

 そして蛇の尻尾攻撃を霧雨が受ける瞬間、蛇の尻尾の動きが止まる。


 「早く逃げてください!」


 どうやらサラは風魔王で結界を作ったらしい。今まであまり動き見せていなかったサラは、おそらくずっと魔法の詠唱をしていたのだろう。ここまで強度の高い結界を俺は見たことがない。それに魔法の使用は大きく体力を消耗する。しかもここまで強い結界だ。普通以上に体力を消耗するはずだ。なのにサラは疲れた様子を見せず平然としている。さっきの飛行魔法の使用といい一体サラは何者なんだろう。


 「助かった……恩に着る」

 「いいえ。人を助けるのは当然のことですから」


 この言葉を聞いた時霧雨は確信したことだろう『やはり姫様達は犯罪者などではない』と。


 「すみません。この結界は時間の問題です……」


 サラは苦しそうな表情を見せながら魔法を使い続ける。

あの強固な結界が時間の問題になるほど蛇のスケルトンは強いらしい。俺はそんな相手に勝てるとは思えない。

 

 そんな事を考えていると、蛇に強固な結界が破られる。あまりにも早すぎる。それ程魔王の幹部は強いということだ。


 「よくもやったな女! 先にお前から始末してやるよ!」


 蛇はそんなことを言い、ゴツゴツとした骨の手を使って、サラの体をものすごい速度で掴みあげる。


 「さぁ女……苦しめ! そして絶望しろ。そんな感情が俺は大好きなんだ」


 蛇はサラを死なない程度で締め付ける。


 「あっあぁぁぁぁ!」


 サラは大きな悲鳴をあげる。

 それを見てスケルトンは明らかに楽しんでいる。こういう奴は大体最後までやらずに住処に持ち帰り、またいたぶり楽しむ。かつてのジンがそうだったように。

 このままではサラの心が死んでしまう。


 「おい、霧雨! なんとかあいつを倒す方法はないのか!」


 今俺の制御不能な魔法を使うとサラまで被害に遭う可能性がある。だから俺は必死になって聖騎士長の知恵を借りようとする。


 「確かシルクだったか、あんたの持ってるそれ、日本刀みたいなやつだ」


 日本刀? 初めて聞く単語に俺は困惑する。


 「それは元々俺が持ってきた刀だ。天界の代物だ。チートのような能力があるのは確かだ。その聖剣ならあのバケモノを倒せるかもしれない」


 天界? チート? 数々の理解不能な言葉が霧雨から放たれる。


 「この刀なら勝機はあるってことか」

 「そういうことだ」


 そう言われると俺は直ぐに刀を持って蛇の方に向かう。そして俺は再び苦しむサラの姿を見る。

 

 このままじゃサラが危ない。頼む! 力を貸してくれ! 俺は仲間が死ぬのを見たくない。サラを助けたいんだ!

 

 その瞬間シルクの強い思いに応えたように刀が光りだす。そして刀は形を変え始める。

 

 人の願いとは強く、傲慢なのだな。

 私はお前が気に入ったよ。

ご高覧ありがとうございます!

感想等頂けると幸いです。

これからも【サタンクローズ】をよろしくお願いします!


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