みんなだいすき夏休み
夏休みが羨ましい。そう思うかい?
彼は小首を傾げる。僕は彼の細い目を見つめ、頷いた。彼のその目はいつも何を考えているのか分からない。それでも、僕は同意した。実際、羨ましくない訳がないのだ。
大丈夫、僕達だって夏休みを作ればいいだけなんだ。
彼はそう言って腕を組んだ。
え?なに、どういうこと?僕は理解ができない。
いいか、時間は作るものだ。彼は僕に人差し指を向け微笑んだ。
夏休みが欲しいなら、休めばいい。
でも仕事が、そう言う僕を彼は制した。その仕事、やらないとお前死ぬ訳?
本気出せよ。彼は笑った。絶対夏休みを取らなければならない、もしそんな規則があれば、お前今頃ハワイに行ってるかも知れないのに。
相変わらず彼の考えていることは読めない。
でも僕は、彼は正しいと思った。
本気出すか、僕は頷いた。