パパとママが結婚したいきさつ
幸の家族はこの田舎の村に
もともと住んでいたわけではありません
幸が3歳の時に移り住んできたのです
先ずはパパとママが結婚した時まで
逆上ってお話ししましょう
パパの家は農家でした
男10人女2人の12人兄妹の末っ子として生まれました
農業高校を出ると卒業した高校で
先生の助手として働き始めます
パパの通知表は幸が大きくなってから
ママが見せてくれたことがあります
先生という職業はパパにはなりたくない仕事でした
それで養鶏を始めます
養鶏は鶏の選別をしなければなりません
試験を受けますが、そこで初めて右眼の視力が
もともと悪いことがわかりました
養鶏は目が良くないと試験に受かることができません
断念したパパは諦めて違う道に進みます
ママは下町のお嬢さんとして暮らしていました
実家はクリーニング店を営んでいました
かなり繁盛していて雇い人も何人かいました
その店にパパが見習いとしてきたのです
ママは笑うと歯が真っ白だった
パパに一目惚れだったそうですが
パパは東京へクリーニングの修業に
行くことになります
東京という遠い都会です
ママは毎日手紙を書き送りました
パパもママから手紙が来ると返事を書きました
文通をしている間に恋人同士になっていきました
約2年の東京の修業を終えて郷里に戻ってきました
ママはパパと結婚したいと両親に話しました
公務員と結婚する事を望んでいた
父親の猛反対にあいます
ママは家を出てパパのもとに行きました
ちょうどその頃パパは生まれた村の1番近い町で
クリーニング店を開業する準備を始めていました
パパの実家で結婚式をあげました
クリーニング店の立ち上げと同じ頃でした
忙しい新婚生活が始まります
やがて子供が生まれます
お兄ちゃんと幸です
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パパとママが文通していた手紙は
幸が持っています
段ボール1箱もある手紙
時折陰干しをしないといけません
段ボールにはある文字が書かれてあります
幸のママの名前で
~章子の宝物~
ママはパパを本当に愛していたんだな
そして可愛い人だなと幸は思うのです
余談ですが、パパが高校時代に書いた
日記2冊も幸が持っています
読むと学生時代の様子が書かれてあり
大変興味深いものです
もうひとつ余談ですが、ママの父親は
パパと結婚したいと言った時に
反対だと言ってハチマキをして
3日間ストライキをしていたそうです
娘への思いの深さだなと
幸は今も祖父のハチマキ姿を思い浮かべながら
つい笑ってしまいます