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甘えられないのサインはママの涙

まさに晴天のへきれきです

パパと会えなくなるのではないかと

動物的な感覚でボンヤリ考えていたことが

現実になるとは思っていなかった幸

翌日から四月にしては冷たい雨が降っていました


お寺での葬儀は

散った桜の花びらをも汚すような

暗く寒い日に行われました

焼いてしまえば形がなくなる

存在がなくなるということが

死の別れというものなのかと幸は思いました

しかし、本当の悲しみはドタバタとした日々に

流されもうしばらく後になりそうです


パパが立ち上げた会社は三年も経っておらず

成長し始めたばかり

後を引き継ぐ後継者もいません

パパの商売に対する熱意を期待し信頼した

得意先があってこその会社はパパがいなくなった今

続けられるはずがありませんでした


ドタバタが続いて一ヶ月

幸の家族は工場で住むことになります

線路脇にある工場は

電車の通り過ぎる音がして

余計にむなしく感じました

幸はその工場からバスに乗り

学校に通いました

ある日のこと学校から帰るとママが

畳に座りパパの写真を並べて泣いています

幸はどうしたらよいか

わからずにカバンも下に置かず

ただ突っ立っていました

その時ママは弱いんだ

もう頼れない甘えられないということを

幸は痛切に感じていました


───────────────

余談ですが

線路脇に立っていた工場で

働くおばさんたちの賑やかな声は聞こえません

人がいなくなるということは

なんて残酷でさみしいことなのだろうと思います

幸が「一緒にいようね」「いつも一緒に」という言葉を

よく使うのもわかるような気がします

でもね、幸!

どんなことがあっても

あなたはきっと立ち上がれるわ


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