心に吹く風
田舎の小学校は一年生から三年生と
四年生から六年生はクラスが変わらず
持ち上がりになります
担任の先生も三年間は変わりません
クラスは一組から三組まであります
幸は一年一組です
入学式は4月2日
冷たい雨が降り、それはそれは寒い日でした
写真を見ると生徒の後ろに立っている
着物姿で髪を結い上げたお母さん方も
生徒たちも震え上がる寒さに
縮こまっているのがわかります
(大人になっても入学式の寒さを覚えている友達は多いです)
先生はかなりお年で眼鏡をかけて外見は
まるで小公女セーラに出てくるような
風貌でキリッとしていますが優しい人です
幸は体育館での入学式が終わり
教室に戻るとお漏らしをしてしまいました
ママは幸が履いていたタイツと肌着を脱がすと
先生と一緒に濡れた床を何も言わずに
拭いてくれました
幸はただ立ち尽くしていました
涙を少し浮かべて
幸 小学校一年生です
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今でも目にはっきりと焼き付く
お漏らしを拭いてくれた先生とママの姿
黙って拭いてくれたおかげでしょうか?
幸が同級生に「入学式でお漏らししたのよ」と
言っても「そうだった?」という答えが返ってきます
同級生も本当は知っているけれど
とぼけて知らない振りをしてくれているのかもしれません
そんな感じで始まった田舎の小学校での生活
田畑を吹きわたる風が
今も幸の心の中で
優しく甘い匂いを乗せて吹いています




