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鶏だって心はある

縁側でキャベツを刻む音がします

シャキシャキシャキ・トントントン

すると一匹の(にわとり)が走ってきます

この鶏はひなの時に幸の家にやってきました

なぜ鶏がいるのか幸は知りません

大きな体の鶏に成長した鶏のために

パパは家の横に小さな鶏小屋を作りました

天気の良い日は外に出ています

ママがキャベツを刻み始めると

トットトと走って側へ来ます

そして飼料と混ぜたキャベツの餌を

さも嬉しそうについばみます


鶏が大きくなると

問題が起きました

鶏冠(とさか)の立派な(おす)でした

朝早くから小屋の中で「コケコッコー」と

大きな声で鳴きます

鶏だから仕方ないですよね

近所から苦情があったようです

いつの間にか鶏は小屋の中からいなくなっていました

それについてはパパもママも話しませんでした

幸も自分からは聞きませんでした

何となくわかっていたからです


鶏がいなくなって月日が経ったある日

学校から帰ると赤ちゃんではありませんが

小さな犬がいます

この犬もどこからきたのか幸は知りません

「名前なんにしようか」

しゃがんで犬を抱いたママが言いました

犬はブルブル震えていました

とても気の弱い子犬です

「ブルブル震えているからブル!」

とお兄ちゃんが言うと幸も「ブル!」と呼びました

名前はブルに決定しました

雄の雑種です


ブルは優しくて気の弱い犬です

家族はみんなブルが大好きでした

このブルでも問題が起きました

新聞配達のお婆さんに噛みついたというのです

ブルは縁側の真ん中辺りに

犬小屋があり繋がれていました

1度人に噛みついた犬は

人を噛む癖がつくと言われていました

それから数日後

縁側の犬小屋にいたブルの姿が消えました

後で聞いた話しによると

お婆さんは毎朝ブルに石を投げていたそうです

幸の家族はヤクルト配達をしている時間で

誰もそれを知りませんでした

ブルの姿が犬小屋から消えた後

お婆さんが毎朝ブルに石を投げているのを

見ていた近所の人が話してくれたそうです


─────────────────────

家族が田舎で飼っていた

鶏と犬の仕草や顔

幸は生きていた頃の鶏と犬のブルを

忘れることはないでしょう

挿絵(By みてみん)

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