幸が早く起きるのは?
幸が朝早く起きて重い物を持つ?
そのいきさつから話さなければいけない事を
うっかり忘れていました
では小学生低学年の幸から幼稚園の幸へと
時間を戻します
パパは会社に行っていました
ママはパートの仕事をするために
田舎から幸を連れて電車で通っていました
そういう訳で田舎の小学校の隣にある
保育園に行かずに町の幼稚園に入りました
ある日電車に乗らずに線路を歩いて
町に行った時のことです
線路が川に架かる所が一ヵ所あります
ママは幸の前を歩いています
下を見ると少し恐いですが
幸は臆することはありませんでした
細い線路です
幸は足を滑らせました
その時に線路から何故川に落ちなかったのかというと
幸は足を開いた状態で股の間に線路が当たったからです
その時の痛さは幸は今でも覚えています
トイレに入って紙で拭くと少し血がつきました
幸は泣かなかったのでしょうか
声を出さずに涙だけをこぼしていた覚えがあります
幼稚園時代に幸が覚えている
不思議な出来事があります
ママの働く店まで保育園まで歩いていました
道路のマンホールの蓋が開いていたのです
幸は落ちたのですが手をしっかりと伸ばし
ぶら下がっています
気がついた工事のおじさんが幸を
引っ張りあげました
そこへママの店の人が手が離せない
ママの代わりに幸を保育園へ迎えにいこうと
歩いてきたところに助けられた幸を見つけました
その人は幸をおんぶして店まで連れていってくれました
なぜマンホールに落ちた瞬間に
ぶら下がれたのか未だにわかりません
ただ工事のおじさんが狐につままれた顔で
店の人に幸を手渡して話していたことだけは
よく覚えています
幸が小学校に入学すると
ママは田舎の家でヤクルト配達を始めました
どんどん開拓していき販売店になります
そういうわけで幸は小学校一年生から
一番近い集落の十五件の配達をするようになりました
一年生の幸には何処の家がヤクルト何本と牛乳何本かを
覚えるだけでも大変でしたが自分が配達する
本数を数えて袋に詰めてから行くことになっていました
「朝早く起きて重い物を持たなければなりません」
ヤクルト配達の第一幕はこの辺で休憩時間になります
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線路もマンホールも落ちていれば大怪我もしくは
幸の命はなかった事でしょう
まあ呑気な私は運動神経が良かったんだなくらいに
考えています
そして頭に描かれる当時の集落のどの家に
何が何本かを未だに覚えているのですから
あきれたものです




