5話 敵の襲撃
馬車の中で…
「そういえばフィリさんは【マルイクタレ】に行って何をするつもりなんですかっ」
移動中、『スプライト』のミリアンに聞かれた質問に私は答えていいものかと、少し困ってしまった。曖昧に笑うと同じく『スプライト』のカイトさんが助け船を出してくれた。
「おいおい、フィリ嬢が困ってるって」
「…ありがとうございます」
それにしてもフィリ嬢って…
「ですが、フィリ嬢はやめてください。フィリでいいです」
「おっそうか?ならフィリって呼ぶな」
「あっずるーい。私も!」
「じゃあ僕も」
「私も」
「うちもうちも!」
なんか言葉の行列が…
「あ、あはは…皆さんどうぞフィリとお呼びください」
この言葉にみんなは目を輝かせコクコクと頷く。
そんなに呼び捨てで呼びたかったのかな?
そんな事を話しているうちに【クリステーラ】の国境についた。
「じゃあ、皆さん国外移動証明書を出してください」
ガボットさんの声で皆んな証明書を出す。
私も、フェルにもらったチケットを一枚ちぎり取り出す。
「ええ!あんたの一級証明書じゃない!」
そう。フェルから貰ったのはどの国でも見せるだけで通れる一級証明書だった。
フェル…有難いけどこれは目立つって…
まぁ、無事国境を通過し改めて国の外に出る。
「さぁ皆んな、ここからは気を引き締めてください」
雪乃の言葉で皆んなの顔から冗談さが抜ける。
整備されていない国と国との道は魔物が多く本当に危険なのだ。
「皆さん…お静かに…敵が前方から来ます………っ魔術師二人で馬車に結界を!他の人は臨時戦闘態勢突入っ」
私の金切り声の様な合図に『スプライト』と『アドバーズ』の人たちが動く。
雪乃とドールで結界。
前線に私、エルク、カイト。
中期にミリアン、マルク。
後衛にジュン、ナイガ。
魔道士は、雪乃、ドール、私、ジュン。
騎士は、エルク。
弓士はナイガ。
魔法騎士はカイト。
(投げ)ナイフ使いはミリアン。
鞭使いはマルク。
まぁまぁ、バランスのとれたチームだった。
「きますっゴブリン10体、ファイヤーラビット2体、ゴーレム1体、ゴースト多数ですっ【具現せよ 我が望むは 地から這い出る 絡めの氷】」
私が氷の魔法で相手の動きを止めるとすかさずエルクとカイトが切りにかかる。
「うわっ」
「エルクっ【具現せよ 僕が求むは 癒しの風】」
エルクが腕に攻撃を受けてしまったところジュンが回復魔法をかける。
因みに人によって呪文が少しずつ違う事も判明した。
「気をつけろ」
「ああっ」
おっと、観察してる場合じゃない。私も攻撃しなきゃ。
「【具現せよ 我が望むは 浄化の光】」
プシュゥ
と音がしてゴースト達が一斉に消えていく。
「残りゴブリン2体、ゴースト数体です。皆さん頑張りましょう」
私がそう告げると疲れて鈍りかけていた動きに力が入る。
「おりゃぁあ、最後の一匹っ」
グサッとゴブリンにつるぎが刺さり勝利する。
魔物を倒すと魔石をドロップする。
魔石は魔法を発動するのに使ったり、道具を作るのに使ったりするので結構必要だ。
今回ドロップした魔石もパーティごとに分け合った。
「ふぅ馬車に戻りましょう」
「そうやな」
皆が賛成し馬車に戻った。
そういえば私の容姿を説明していなかった気がするので今説明しておく。
目…オッドアイで、右が青、左が金
髪…白銀で所々金髪が混ざっている
見た目…可愛い30 対 綺麗70
身長…131cm㌢
体重…23kg㌕
肌…白
西洋人系の顔だが、少し日系混ざりっぽい。
だいたいこんな感じ。