2話 絶望と炎
私が『魔法』を使える。と言う話はあっという間に広がり屋敷中で噂され始めた。
私は私で、言われるがままに『魔法』を披露していた為、街でも噂は広がっていった。
それがいけなかった。私は…私達は、軽視し過ぎていたのだ。3歳で『魔法』が使える…そんな子が襲われない訳がなかった。
私が4歳になって間も無く賊が攻めてきた。衛兵は父と母、それに私を守ってくれたが少ない人数で大勢の賊に勝てるはずも無く…死んでいった。
「マリエッタ!マリーを連れて逃げるんだ!」
「そんな、ハルクっ私も残るわっ」
「マリーはどうするんだ!私は後から追いかける。早く…行くんだっ」
父ハルクと、母マリエッタは口論をしていたが、母は泣く泣く私を抱きしめ門まで走り出した。
「…かあさま」
私が不安そうに見つめると「大丈夫、大丈夫だからね」と、自分を言い聞かすように答えた。
だが…賊の一人が母を刺してしまった。
「ああっ」
「かあさまっかあさまっ」
そのまま母は息をしなくなった。
なぜ?なぜ母は殺されなければならなかったの?
「…殺してやる」
私は小さな声で呟いた。
「ああ?なんだって?」
賊は、相手にもしないようで。怒り狂った私はこう叫んだ。
「殺してやるっお前ら全員殺してやるっ」
私が神様から与えられた『能力』それは…『理解した事を全て成し遂げられる』だった。
私は本を読み込んで覚えた魔法で一番規模が大きく一番強い攻撃魔法を思い浮かべた。
「【具現せよ 我が望むは 爆炎の業火 全てを燃やし尽くす 神の炎】」
魔法は、直ぐに発動し駆けつけた騎士達はありえない光景を目にする事となった。
何しろ屋敷があった筈の場所には何も無く…ただ幼い一人の少女が唖然と立ち尽くしていたのだから。
第2話です。
更新は亀だと思って下さい。それでも良かったらこれからも読んでくれたら嬉しいです。( ̄∇ ̄)