出逢い ー カナタ ー
昼休み、昼食を済ませ暇になったのでいつものように一階の中庭にいる生徒の観察をすることにした。
高校二年になる三星カナタには、あまり友達がおらず、成績も運動神経も普通、容姿も人より鼻が少し低いだけでどこにでもいる普通の高校生だ。しかし、カナタには変わった趣味がひとつあった。それは、人間観察だ。 人の行動や、言動、表情の変化などを観察するのが好きで特技にもなっていた。
今日も変わらず人間観察をしていた。そんな時だった、彼女を初めて見たのわ。 中庭の端にあるベンチに髪の長い女子生徒が一人で、本を読んでいた。本を読んでいるだけのごく普通の光景、だけど、なぜか彼女から目を離すことができずに、彼女を見つ続けていた。すると、彼女がこっちに目をやり、目があってしまう。
やばい!と思いすぐに目をそらす。変に思われただろうか。そんなことを思いながら、もう一度中庭に目をやると彼女の姿はどこにもなかった。
午後の授業の予鐘がなり、生徒達が教室に戻ってくる。午後の授業の最初は数学だったが、昼休みに見た彼女のことが気になり、なかなか授業に集中することができない。なぜ、こんなにも彼女のことが気になるのか、確かに彼女のまとっていたオーラは不思議だった、まるで、そこにいるはずなのにいないような、幽霊を見たかのような感覚。そんなことを考えていると何かが、顔に飛んできた。「痛い!なんだよ!」と前を向くと数学の教師がチョークを投げて、「なんだよ、じゃねーよ!なんの時間だと思ってんだ、外じゃなくて黒板を見ろ」と鬼のような形相でキレていた。「はい!!すみません!」とあわててイスに座り直し今考えるのをやめて授業に集中することにした。
学校も終わり、家に帰ってくると「おかえりー!」と母に迎えられ、「ただいまー」と無愛想に返事を返す。「もう、ごはんできてるけど食べる?」「いや、今日はなんか疲れたから風呂入って寝るわ」そのまま、階段を上り自分の部屋につくと鞄をベッドの横に投げて、ベッドにダイブする。「ふぅー、疲れた、あのクソ教師のやろー話がなげえよ」あのあと、すべての授業が終わり帰ろーとすると、数学の教師に引き止められそのまま一時間程度説教をされたのだ。そのこともあって疲れていた。ベッドの上で横になって、今日のことを思い出す 昼休みに見た彼女のことを。
彼女はいったい誰なのだろうか、今まで彼女を学校で見たことがない。自分が通っている高校はそこまで生徒数が多いわけではないので、彼女のように変わった雰囲気を持つ生徒がいたら、一度すれ違っただけで、忘れない自信がある。それほど自分の人間観察力には自信があるし、彼女の雰囲気というかオーラは異質だった。それに美人とまでは、いかないが顔立ちがはっきりしていて肌の色も白く… 「あれ…?」 そこで彼女の顔を思い明確に思い出そうとする。しかし、すればするほど、白いモヤがかかったように彼女の顔が思い出せない 「え、なんでだよ!あんなにさっきまではっきりと覚えていたのに」本当に幽霊だったのかもしれないと怖くなってきたが、あの数学教師のせいで疲れているのだと、無理矢理気持ちを押し殺して、このまま寝ることにした。
次の日の朝、「ふわー、よく寝たー!」いつもなら目覚まし時計の大きすぎる音で起きるのだが、今日は目覚まし時計がなる前に起きることができ、頭も体もすっきりとしている。昨日の疲れもとれ、数学の教師に説教されたこともどうでもよくなっていた。階段をおりて、「おはよう」と母に挨拶すると「おはよう、あんた昨日お風呂にも入らず寝たでしょう、いくら疲れてたっていってもお風呂には入りなさい」「あーごめん、今から入るよ」そうして風呂に入り、母親が作った朝食を食べいつものように家を出ていく。いつもと変わらない普通の日常。学校にいき授業を受け、中庭の生徒の観察をするいつもの日常。ふと、中庭の端のベンチに目が行く。そこには初めて見る髪のながい女子生徒が本を読んでいるのが見えた。




