表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/55

冒険者登録と初討伐

「ドルガーさんから聞いてますよ、登録料は貰ってます。じゃあ、このカードに血を一滴垂らしてね。それで登録完了です。」


「えっと、名前とかいろいろ聞かなくていいんですか?」


「ああ、冒険者カード見るのはじめてなのね。これは、あなたの中にある核の情報を取り出してくれるアイテムなのよ。冒険者カードをこの真実の板にかざすすと、あなたの中にある核に刻まれた情報を読み取って、魔物の討伐や、クエストの完了状況何かをチェックしてくれるのよ。あとはその情報に従って、報奨金を出したり、昇級を決めたりするのよ。細かい条件はいろいろあるけど、何か迷ったら窓口で相談してね。冒険者になったらまずはF級からスタートね。級を維持するにはそれぞれの級で条件があるの。カードの再発行はできるけど、手数料で銀貨10枚掛るから失くさないようにするのよ。さあ、今日からF級ランクの依頼を受けることが出来るわよ。掲示板を見て受けたい依頼があったら受付に持ってきて依頼開始の手続きをしてね。」



「無事に済んだわね、ジュン。じゃあ、今日は私たちと薬草採集に行かない?」


冒険者登録が終わって掲示板のところに行くと、リリアが話しかけてきた。


「えっと、それは僕も受けられるの?」


「薬草採集は、F級とE級の常時出ている依頼よ。10束採集できれば依頼完了。大銅貨1枚で買い取ってもらえるわ。」


この世界のお金は7国で同じらしい。

それなら国を分ける必要がないじゃんとか思ったけど黙ってた。

で、とにかく、低い方から、

鉄貨、銅貨、大銅貨、銀貨、大銀貨、金貨、大金貨、白金貨、王国金貨となるらしい。

10倍で次の貨幣に移るって感じだ。

王国金貨のみ各国で形が異なり、白金貨との交換比率も変わるらしいけど、話だけで王国金貨どころか、金貨すら見たことないらしいので、詳細は不明だ。


「討伐とかはないの?」


「あるけど、F級には無理よ。E級に上がれば討伐依頼は半年に一度はこなさなくてはならなくなるけど、F級は採集依頼だけで大丈夫なの。」


「わかった、取り敢えず、薬草採集に連れて行って下さい。」


「いいわ、ついてきなさい。」


結局、リリアを先頭に、孤児院の子供たちと一緒に薬草採集に出掛けた。

と言っても街の中だ。


「ねえ、こう言うのって、街から出て森の周辺とかに取りに行かないの?」


「それは、森の近くの方が魔素が強いんだから薬草もたくさん生えてるけど、魔物が出たら危ないでしょう。今日はドルガーさんもいないんだし。」


「大丈夫だよ。俺達しか知らない、穴場があるんだ。」


子供たち7人で一日の稼ぎが700円か?マリアさんも多少収入があるとしても、よく生活できるな。こっちの物価がどのくらいか分からないけど。

取り敢えず、午前中いっぱいかけて薬草採集の穴場と言うところを何ヶ所か周って何とか全員が10束ずつ薬草を確保できた。

その後ギルドで完了の手続きと買い取りのお金を貰って解散した。

午後は各自、自由に過ごすそうだ。

俺も皆と別れて自由に過ごすことにした。街を見学してくると言ったら、何か思い出すかもしれないからねと言われて快く送り出された。




皆と別れて、昨日王都に入って来た門とは違う門から外に出た。

冒険者ギルドのカードを見せたらすんなり通してくれた。

一応、槍を持ってたし、討伐依頼に行くと思われたんだろうな。

つまり門では冒険者の級の情報は解らないってことだ。


ともかく、ボアーやホーンラビットと言うE級冒険者が狩る様な魔物が出る場所を聞いて出てきた。

門から出て30分ぐらいしてやっと森に入れた。

ちょっとしたピクニック気分だ。


さて、軽く槍の素振りをやって身体をほぐしておく。

探索できるような能力は持ってないので、慎重に森の中を進む。

道がある訳はないから、時々、木にしるしを付けて迷わないように進む。

ガサガサと音が鳴って、気付いた時には、猪がこっちを目がけて進んでくる。

一瞬慌てたけど、槍を正眼に構えて、猪の動きをよく見て、素振りの要領で突き刺す。

ドシャ

槍に重圧がかかる。

昨日、ドルガーさんから教えて貰ったように、その勢いを受け流しながら、身体を開き、槍を引き抜く。

ドサッ。

相手はピクリとも動かない。

用心深く近づいて、死体に触ってみる。

死体のことを知りたいと思うと、情報が流れて来る。


名前 ボアーの死体

種族 魔物

LV 2


情報量が少ない感じだけど、まあいいか、これがボアーって言うんだ。

ともかく、こいつを収納しておこう。

収納したいと念じながらさわると収納出来た。

アイテムインという呪文はいらないようだ。

念のため、取り出しもやってみると、出したい場所にポンと現れる。

出す時には手に触れなくてもいいの?

理屈がわからない。まあいいか。


ともかく、問題ないな。

まあ不意を打たれた感じだけど、その辺りは今後鍛えて行こう。

そこから、更に森の中を歩き、夕方までにボアー8体とホーンラビット2体を仕留めた。

LVが2となり、能力値が一律全部上がっていた。

最初だからなのかどうかは解らないけど、能力値は一部しか上がらないと思っていたのでラッキーだ。


森から戻った後、ギルドへ行って清算して貰った。

朝の受付のお姉さんはいなくて、初日に会ったシャルルさんがいたので、シャルルさんに清算をお願いした。


「済みません、討伐の清算をお願いします。」


「あら、あなたは、リリアといた・・・ジュンくんだったわよね。」


「ええ、お陰さまで、今朝冒険者登録しました。」


「あらそうですか。じゃあ改めまして、ようこそゴードン王国冒険者ギルドへ。」


「はい、これからよろしくお願いします。」


「それでどうしました?」


「魔物を討伐したので、その清算を。」


「えっ?一人で?ドルガーさんは今日から迷宮の方に出かけるって言ってたけど。」


「はい、昨日、ドルガーさんに槍の手ほどきを受けまして、槍を頂いたので、早速討伐に出てみました。」


「まあ、そうなの?何か・・・いえ、詮索はしません。では、カードと討伐した魔物を出して下さい。」


カードを出して、魔物をカウンター横の荷物置き場みたいな場所に出すと、一瞬顔をピクっとさせたけど、そのまま清算してくれた。カード情報に間違いがなかったと言うことだろう。


「ボアーが全部で9体で銀貨9枚、ホーンラビットが2体で銀貨3枚ですね。全部で銀貨11枚になります。」


「あれ?ボアーの肉ってもっと安いんじゃないですか?」


「肉だけならそうですよ。ボアー1体だと、他の素材も取れますからね。ギルドの買い取り価格は銀貨1枚になります。」


「なるほど、じゃあ、自分で解体して持ってきた方がいいんですか?」


「それでも構いません。というかD級以上になると、そういった技能も必要になりますね。早い時期に素材解体の技能を身につけるといいですよ。」


「そう言う技能と言うのはどこで習うんでしょうか?」


「ギルドでも初級冒険者向けに、武術訓練や魔法訓練、技能訓練などの指導を行ってますよ。ギルドの裏手にある、訓練場や、解体場などで毎日行ってますので自由に参加して下さいね。」


「参加するのに、費用とか掛るんですか?」


「個人レッスンを受ける場合には掛りますよ。特に人気の指導者の場合には、予約待ちになることもあります。ギルドが行っている講習には、参加費はかかりません。ただしそこで何かを習得できるかどうかは、参加者の責任になりますから。」


「解りました、明日から行ってみたいと思います。」


「あっ、それから、討伐10回達成ですので、E級に昇格してますよ。おめでとうございます。ジュンさんの場合には問題ないと思いますが、E級の級の維持には半年に1回の討伐が義務付けられています。注意して下さいね。」


「忘れるとどうなるんですか?」


「ペナルティーとしてF級への降格になります。そうなるとE級で受諾可能な依頼が受けられなくなるので、収入が落ちてしまいますね。」


「解りました。いろいろありがとうございます。」


「それから、ジュンさんは、恐らくマジックバック系のアイテムを身に着けておられるのでしょうが、そう言ったアイテムは非常に目立ちますので、出来れば大きなバックを買って、そこから出すようにすることをお勧めします。全ての人が善人ではないですからね。」


「えっ?あっ、ありがとうございます。うっかりしてました。」


「いえ、冒険者の皆さんの安全を守るのもギルドの仕事ですから。」


なるほど、一度に大量に出しちゃダメなんだ。

というか、出せないんだな普通は。

マジックバック系のアイテムって言うのがあるんだな。

うまく勘違いしてくれてよかったけど、気を付けよう。

取り敢えず、先に大きなバックだな。

後は着替えと、この服も換えた方がいいかな。

目立たないと言ってもGパンにTシャツだしな。無地のTシャツでよかったぜ。


その後銀貨11枚でどれくらいの物が買えるのか解らないけど、中古服と言っても古着ではなくリサイクル品みたいなやつ。と、バッグ、あと皆のお土産に露天で売っていた串焼き1本銅貨3枚だったので、30本買った。半分は明日の俺のお昼だ。

それから果実水みたいな陶器の瓶に入った物も多めに買っておいた。

いろいろ買ったけど銀貨が結構余ったので残りはマリアさんに上げることにした。


「ただいまー」


俺が孤児院に戻ると、マリアさんが勢いよく出てきた。


「ジュン、よかった、迷子になってると思ったわ。」


「済みません。御心配おかけしました。」


「街の探検はできたの?」


「あーはい。ついでに森にも行ってみました。」


「まあ、一人で?まあ、まあ。」


「それで、ギルドで清算して貰ったので、これを。」


そう言って、銀貨3枚を出した。バックが結構高かったんだよね。質に拘ったって言うのもあるんだけど。


「あら、それはいらないわ。ジュンが稼いだんだったら、それはジュンのものよ。」


「いいえ、僕がマリアさんに差し上げたいので、マリアさんが使って下さい。」


「そう・・・解りました、ありがたく頂くわね。ジュン、ありがとうね。」


マリアさんの年がいくつかわからないけど、地球での俺の年より下だよなー。

年下にこんな風に言われると変な感じだな。


「それから、皆にはこれを買って来たんですけど。」


「数本だけ残して、串焼きを全部出してやった。」


「まあまあ、こんなにたくさん。昨日もお肉を食べたのに。」


マリアさんがそう言う前に、匂いにつられてか、子供達が皆出てきた。

獣人族の臭覚恐るべしだな。外で出した匂いをどこでキャッチしたんだよ。


その日は野菜スープの予定だったみたいだけど、串焼きも追加となり、今夜も皆満足したみたいだ。

食事の後、武術の練習をする子と、部屋に戻って何かをする子とに別れたけど、俺は勿論、一人黙々と槍の練習をした。

槍と言うのは突くだけでは与ダメージは僅かだ。

突いて中で捻る、そのまま抜く。

そうすることで、槍の返しのダメージを含めて、初めて大きなダメージを与えられる。

そして槍の与ダメージを増やすのに一番効果的なのは、突く回数を増やすことだ。

連撃数を増やすことで、そのダメージは加速度的に上がって行く。


今日の実践を経験して、それを意識して素振りを行う。

連撃して倒すと、買い取りの際の評価額が下がるんだろうけどね。

まあボアーやホーンラビット相手なら一撃で屠れるし、後は評価が上がる様な屠り方をすればいいかな。


LVが上がった効果もあるんだろうか、昨日より槍が軽い。連撃も一呼吸で4回突けるようになった。もっと突けそうな気がする。


ホーンラビットは頭の角を傷つけないように、首の骨を折って屠ればいいのか。

槍の穂先を逆の方で仕留める練習もありか?


今日も、SPを消費しながら、たっぷりと自主練習した。

マリアさんが起きて来ないように早めに部屋に戻って寝ることにした。

最後に浄化をかけたけど、LVが上がってSPにも余裕がある。

そのまま何度か回復魔法を練習して寝た。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ