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第55話 パンプキ伯爵

温かい応援メッセージありがとうございます。


一応、ここまでが書き溜めて残っていた部分ですが続きもポチポチと

書いていきたいと思います。


人物設定等は、今から変えるのも大変そうなので取り敢えずそのままで

いきたいと思います。時間があれば、もう一度きっちり書いてみたい気も

します。貴重な意見ありがとうございました。

第55話 パンプキ伯爵



パンプキの街の中央部。

一応、街の城壁とは別の城壁で囲まれた場所に、領主館があった。

街のどこからでも見えるから場所は解っていたけど、こうして中に入ると、領主館自体が要塞として機能できるようになっているようだ。

日本の歴史で言えば、平城って感じの構造体だな。

街の中で若干高い位置に建てられるとは言え、基本平地なんだけど、街自体が基本平屋建て、精々2階建の建物しかないので、4階建の領主館がこの街の最高層建物って感じ。

きっちりと堀と城壁で囲われていて、第一門を入ったすぐの場所には、だだっ広い広場がある。

緊急時にはここに、街にいる人を収容するようになっているのかもしれない。

広場の先、第二の門を潜った先に、領主館が建っていた。


ニードリックマウス王国の、王宮区や王宮と比べたら、かなり貧相だけど、それでも伯爵って地位でも領主だとこれほどの住居を構えるのかって感じだ。

ニードリックマウス国王が言っていたように、地方都市の領都と言うことはこの領主館の地下に、アサドング王国の王家が分割した都市核という物が安置されているんだろうな。

実物を見たことないけど、今俺のアイテムボックスの中に入っているダンジョンコアと似たようなものなんだろうか?


そんなことを考えながら、馬車から外を眺めていたら、馬車が止まってドアが外から開けられた。

リリアナとミミ、ケルはかなり緊張しているみたいで、馬車の中では声も出さずにじっと座っていた。


俺たちは、ザ執事って感じの、老齢の紳士に案内されて、大きな客間に案内された。


「お忙しい中、ご足労頂きましてありがとうございます。こちらでしばらくお寛ぎ下さいませ。主人の準備が整いましたらご案内に伺います」


そう言うと、ザ執事の紳士は部屋を去り、代わりに紅茶とお菓子をトレイに乗せてメイドさんが入ってきた。

リリアナ達は、3人とも俺の座っているソファーの背後に立っている。

俺も声を掛けにくかったので、そのままにしてたけど、お茶のセットは4人分テーブルに用意されて、メイドさん達は部屋を出て行ったので、俺が声をかけた。


「リリアナ達も、後ろに立ってないで席について、お茶でも飲んだら」


「いいえ、ジュン様。奴隷である私たちがジュン様と同じ席につくなどあってはならないことです」


「あーでも、ほら、4人分準備して貰ったってことは、リリアナ達を俺の奴隷として一緒に通したんではなく、俺と同じパーティーのメンバーとしてここに通したんだと思うよ。それに何度も言っているように、リリアナ達はすでに奴隷ではないんだから、そう言った考えはしなくていいし、しないでいてくれた方が嬉しい」


奴隷の身分については、何度もそう言い聞かせているんだけどね。

この辺りは、無理やり意識を変えることもできないし、少しずつ変えていくしかないかな。

幸いこの国は、獣人族の国みたいだから、特にリリアナなんかは違和感ないんだけどね。


「さあ、ミミとケルも席について。折角のお菓子が勿体ないよ。味を覚えて、リリアナに作ってもらいたいし」


「ジュン様の深いお考えに気付かず申し訳ございません。しっかり味を覚えて、作れるようになります」


リリアナはそう言うと、シュタっと席についてお茶とお菓子を食べだした。

ミミとケルもそれにつられて席についてお茶を飲みだした。

アップルパイみたいな感じのサクサクとした歯ごたえの甘いケーキだ。

パイとか元の世界でも食べることはあっても作ったことはないから、この世界に来て作ったことなかったけど、レシピを習いたいものだ。


しばらくお菓子の味や作り方のことで、いつものように4人でおしゃべりをしていたら、ノックの音がして、執事さんが入ってきた。


「お待たせしました、ジュン殿、リリアナ嬢、ミミ嬢、ケル殿。主がご案内するようにとのことです。よろしいでしょうか?」


「はい。おいしいお菓子をご馳走になりありがとうございました。案内よろしくお願いします」


廊下をいくつか曲がり、階台をいくつか昇った先に、俺の身長の2倍はあるような大きなドアのある部屋についた。

そう言えば、ニードリックマウス王国の王宮も馬鹿でかいドアだったなぁ。

日本人的感覚で行くと無駄っぽいけど、ヨーロッパの古城なんかではこうした馬鹿でかいドアが残っているから、ドアが大きいのは一種のステイタスなんだろうか。

それでも、この領主館に入ってから、無駄な飾りとか、成金趣味的な装飾品は見ていない。

それでも、さっきの部屋の椅子やテーブルなどそれなりに意匠をこらした高価なものだったし、パンプキ伯爵というのは、それなりの人物なのかもしれないな。



老執事の先導で部屋の中に入ると、


「おおーそなたが、ジュン殿か。アミラから話は聞いておる。人族の美丈夫と言っておったが、なるほど世の女性陣がほっとかぬ姿じゃの」


いきなりのフレンドリーな対応にびっくりしてしまったけど、心を落ち着けて


「お招き頂きありがとうございます。何分、一介の冒険者に過ぎませんので、無作法があるかと思いますがお許しいただけたらと思います」


「ああ、勿論じゃとも。わしも貴族の作法は余り好かん。気楽にしてくれた方が、わしも楽じゃ」


「それではありがたく」


そう言った後、室内を見渡すと、伯爵の隣に、きれいなドレスを着た美人が立っていた。

伯爵夫人だろうか?

そう思いながらいつもの癖で、伯爵と女性を鑑定してびっくりした。

女性は、あのアミラだった。

防具を身にまとった姿しか見たことなかったから、そのギャップにびっくりだ。

ポーカーフェイスを掛けていたはずだけど、鑑定結果との齟齬そごに少し動揺したのかもしれない。


「うむ、アミラが頑張ったかいがあったということじゃな、よかったなアミラよ」


「父上、私は何も頑張ってなど・・・」


「何を言っておる。お主の支度の為に、ジュン殿達をしばらく待たせておったのじゃろうが。ドレスなど王宮の舞踏会に出る時にすら滅多に着けると言うのに。今日は髪型までバッチリ決めておるではないか。全く、いつもそうしておればよいものを」


「父上!」


少し怒った声で伯爵に抗議の声を上げようとするアミラだが、目の前にジュンがいることに気がついて、顔を赤くしてうつむいてしまう。


「えっと、アミラ様。いつものお姿も凛々《りり》しくて素敵ですが、今日の装いもまた一段とアミラ様の魅力を引き出していると思います。大変素敵ですよ」


これでも、元社会人。

空気を読むことはできるのだ。


俺の発言で、益々顔を赤くするアミラを、ニヤニヤしながら見つめる伯爵。

えっと、今日は何の用事で呼ばれたんだっけ?


「と、まあ冗談はさておき」


急に、伯爵が真剣な顔をして立ち上がって、


「まずは、パンプキ第二迷宮を討伐して貰ったこと、心より礼を申す。本来であれば、国王陛下よりお礼を申し上げるべき偉業なれど、ジュン殿の希望と言うことで、迷宮討伐の件は内々に処理されることとなった。従って、国王陛下より直接の褒賞などはないことになるが、本当によろしいのですかな?」


「ええ、それは問題ありません。寧ろ迷宮討伐の機会を与えて頂いて感謝しています。それで、第一副迷宮の討伐についても、アミラ様より指名依頼を頂いていましたので、そちらも討伐しました」


「「「なっ!」」」


伯爵、アミラ、それにこの部屋に俺たちよりの先に入っていた、ギルマスの3者の声がハモル。


「第一副迷宮を討伐したと言われたのか?」


「はい。そのような指名依頼でしたので。俺たち4人で討伐してきました」


「して、ダンジョンコアは今、持っておるのか?」


「はい、こちらに」


そう言って、俺が第一副迷宮のダンジョンコアを取り出す。

伯爵とアミラは目を大きく見開いて、ダンジョンコアを見つめる。

ギルマスは涙を流している。

しばらく経ってから、


「間違いはないのじゃろうが、念のため確認させて貰えないだろうか」


「ええ、構いません、鑑定スキル持っている方がいらっしゃいますか?」


「それよりも、少しこれをわしに貸して貰えないだろうか。ジュン殿の手元を離れるのは不満じゃろうが、我が伯爵位の名誉にかけて粗相はせぬ。確認の場にジュン殿を案内できればいいのじゃが、それは国王陛下よりこの地を任された者として連れては行けぬのじゃ。わしを信じて欲しいのじゃが」


「構いません。なんなら、第二副迷宮のダンジョンコアの方も確認されますか?」


そう言って、第二副迷宮のダンジョンコアも差し出す。


かたじけない。すぐに戻る故、このままこの部屋でお待ち頂きたい」


そう言い残して、2つのダンジョンコアを抱えながら伯爵が部屋から出ていく。

その頃には、アミラもギルマスも元に戻ったようだ。


「ジュン殿。まさか本当に、第一迷宮の討伐を完了するとはな」


「正に。討伐ではなく、9層以降のマッピングが一部完了して、その報告かと思っておった」


「アミラ様の指名依頼のお陰で、これまでのマッピングの情報を頂けましたし、準備等いろいろご配慮頂きましたから」


「それにしても、他の副迷宮でも地下10階のボス戦は、かなりの犠牲を出しておるようじゃし。生き残った者だけで更に地下11階層以降に進むとなると、冒険者パーティーだけでは難しいと聞いておったが」


そんな話をしていたら、伯爵が高揚した顔をしながら戻ってきた。


「間違いない。2つともダンジョンコアで間違いない。伝承の通りであった」


「確認が取れたのならよかったです。しかし、討伐しておいてなんですが、本当によかったのでしょうか?迷宮は災害でもありますが、資産としてもそれなりの価値がある物だと」


「そこは問題ない。我が領地の大半は、魔物の森が含まれておる。そこからも素材は取れるし、今は国王の直轄地というか、誰も統治できるから、直轄領になっておるんじゃが、我が領地の先、魔物の森の中に、あと2つも副迷宮があるのじゃ。我が領地は常に、魔物の襲撃に備えなければならなかったのが、これで一息つける。いや、この領地はアサドング一の領地となる。心より礼を言うぞ、ジュン殿」


「それでは、指名依頼完了の手続きを進めます。報酬の件はどうなりましたかな、アミラ様」


ギルマスが上手く話をそらせてくれた。

高揚した状態の伯爵が、更に演説をしそうな雰囲気だったので助かった。


「それは問題ない。取り敢えず、パンプキ領にある書籍類は集めておる。好きなだけ持って行ってくれて構わない。国王陛下への拝謁の件は、父上、問題ないでしょう?」


「無論じゃ。本来は、第二迷宮討伐の件を聞いた時に、すぐに王都へ招くようにとのお達しが出たぐらいいじゃ。第一迷宮まで討伐したとなれば、陛下の方が会いたがるはずじゃ。しかし、国王陛下に会って何を望むのじゃ?貴族位や財宝などは望んでいないと聞いたが」


「ええ、俺は今後もアサドング王国だけでなく、大陸中の迷宮探索を続けたいですし、お金も自分達が生活するぐらいは十分に持っていますので特に欲しいとは思いません。ただ、この世界の知識をいろいろ学びたいのと、この国の他の副迷宮の討伐も許可していただけたらと思っています」


「この世界の知識とな。なるほどの。ニードリックマウス王国などはそうしたものに価値を見出して、様々な分野の研究などが行われていると聞いているが、我が国の場合にはあまり勤勉に物事を処理することはないからの。あまりジュン殿が欲する知識は集まっておらぬかもしれぬ。迷宮討伐については、国王の許可がなくても討伐することは問題ない。特に、アサドング王国では、大大陸から切り離された場所じゃ。何もしなければ、この国は魔物に覆われてしまう。事実、この国にはいたるところに魔素貯まりが発生し、魔物の森化している森が多い。この国の貴族の一人として、ジュン殿にはさらに迷宮討伐をお願いしたいところじゃ」


「それでは、閣下。指名依頼の諸手続については私の方で進めさせて頂きます。閣下には国王陛下あての書状を書いて頂けたらと思います」


「うむ、そうしよう。アミラもそれでよいか?」


「はい、父上。まさかこのように早く討伐が完了するとは思わず、依頼の褒賞の準備が整っておらず、ジュン殿には申し訳ない。詫びにもならないが、今夜はここに泊まって、ゆっくり食事でもしていって貰えないだろうか?」


「アミラ様、俺たちの方は問題ありません。食事も気を使って頂かなくとも・・・」


俺がそう言いかけると、アミラが慌てて、


「そう言ってくれるな。すでに準備をしておる。せめてこの地を統治している者として、ジュン殿に心からのもてなしとお礼をしたいのだ」


「ジュン殿、この後特に予定がなければ、是非そうしてくれ。アミラはジュン殿がここに来ると聞いて、自分の準備をしながら、食事の指示やら何やらあれこれやっておったのだ」


「父上、またそのようなことを!」


アミラが顔を赤くして伯爵に詰め寄っているので、これは断るのも申し訳ないと思って、


「それでは、食事を頂いてよろしいでしょうか?ただ、最初に申し上げたように、私自身作法など不調法ですし、パーティーメンバーの彼女達も不慣れですので、御不快な面をお見せするかもしれませんが」


「ジュン殿、それは問題ない。冒険者としてのジュン殿をお招きしているのだ。作法など気にせずとも問題ない」


「ありがとうございます。甘えついでに、先程、頂いたお菓子がとてもおいしかったので、後学の為に彼女達2人を、こちらの厨房で一緒に作業させていただけないでしょうか?」


「客人に対してそのようなことは・・・」


「いえ、彼女達もそれなりに料理の腕はあるのですが、先程のお菓子は見たことがありませんでした。こちらの料理人はかなりの腕前の方かと思います。是非、学ばせて頂ければと思います」


「ジュン殿がそう言うのならば・・・」


「ありがとうございます。俺と、こちらのケルは、集めて頂いた書籍を見せていただけたらと思います」



結局、その日は遅くまで食事をして、お酒も飲んだので領主館で泊めてもらった。

勿論、部屋に入ってからそのままコテージに転移したけどね。


書籍類では、目ぼしいものは少なかったけど、料理のレシピとか食材、特に魔物の肉を使った料理、調味料の精製など食に関するものを手に入れられたのが大きかった。

それら食に関する書籍は、全て、フライン王国からきているようだった。

フライン王国は大大陸の東側。

大大陸の中央には龍山脈という、とんでもない大山脈地帯があるみたいなので、行くとしたら山脈を迂回してぐるっと回らないといけない国だ。

巨人族という種族が統治しているみたいだ。

そう言えば巨人族って見たことないなぁ。

その内会うこともあるんだろうけど。

とにかく、食に関することはフライン王国に行った方がいいかもしれない。

一度、ゴードン王国に転移してフライン王国を目指してみるのもいいかもしれない。


ともかく、いろいろ大変だったけど、いいこともあった。

この調子で、迷宮討伐を進めて行こう。


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