第43話 ミミとケル(ミミ視点、ケル視点)
本当にかなりのスローペースになると思いますが、皆さまの反応をみながら投稿を続けたいと思います。
第43話 ミミとケル(ミミ視点、ケル視点)
私の名前は、ミミ・シュリア。
ダークエルフ族のシュリア集落の族長の長女。
私には、双子の弟、ケルがいる。
お父さんとお母さんは、今はもういない。
私たちの集落が、突然オークエンペラーが率いていたらしいオークの集団に集落が襲われ、
集落の主だった戦士はほとんどが死亡し、年齢の若い女性はオークに連れ去られた。
お母さんは、集落でも弓使いとして活躍していたので、お父さんと一緒に戦いに出て、帰ってこなかった。
オークは雑食性で、骨も残さず食べつくすそうだ。
私とケルは、集落の避難所に避難していた。
残った人たちで集落の再建も難しいので、他のダークエルフの集落の傘下に加えてもらうかどうか、残った大人の人で話し合いをしている時だった。
再び、集落に厄災が降りかかってきた。
今度は、人族の盗賊の集団に襲われたのだ。
残っていた大人たちは抵抗したけど、全滅。
盗賊は、集落に残っていた物品を根こそぎ奪って、火を放った。
私とケルは奴隷として盗賊のアジトに連れて行かれた。
どれくらいの日にちが経ったのだろう。
私とケルは、薄暗い、ジメジメした洞窟の中の牢屋に閉じ込められている。
昨日、大きな斧を持つ一番怖い人が、私たちの所に来て、私とケルに水浴びをさせて小奇麗な格好をさせるように、部下の人に指示をしていた。
売り手が決まったとか言っていたので、私たちを売り渡す算段が付いたのだろう。
ケルの顔色が悪い。
弟のケルは、小さい頃から身体が弱い。
集落の治癒師によると、大きな街の大聖堂で、大儀式による治癒術をかけないと完治しない病らしい。
今は、ケル自身が使える光魔法で小康状態を保っている感じだ。
なので、激しい運動どころか長時間起きていることすら、ケルには負担なのだ。
私がしっかりしないと。
私が守ってやらないと。
洞窟の中は、意外と音が響く。
争っているような、そうでないような。
でも、尋常でない気配が近づいてきている気がする。
突然、目の前に、人族(?)の男性と、兎族の女性が現れた。
手には蒼い光を放っている剣を持っている。
「弟には手を出さないで下さい。わ、私なら何をされてもいいですから。」
私は、思わず、そう口にしてしまった。
私たちを襲った盗賊の頭よりも、はるかに強い気配を漂わせている。
殺されるかもしれない。
でも、せめて弟のケルだけは助けたい。
瞬間的に私はそう考えたんだと思う。
「ああ、ごめんね。怖がらせちゃったか。悪い奴らは始末したよ。もう大丈夫。」
「えっ?あの大きな怖い人も?」
すると、さっきまで徒ならぬ気配を出していた男の人が、さっきまでの気配が幻覚だったかのように、優しい声でそう言ってくれた。
思わず、私も、素で返事をしてしまった。
えっ?どういうこと?
私たちを助けに来てくれたの?
冒険者?
そこから先のことは、記憶が曖昧。
私が自分達の状況を説明したような気もするけど、いつの間にか立派な馬車の中に座ってた。
馬車の中で、リリアナ姉様(兎族の女性は、リリアナというお名前で、リリアナ様と呼ぼうとしたら、自分には様付けしないように言われて、姉様と呼ぶことになった)の話は、とても信じられないような話だった。
先程、浄化の魔法を使ってみせてくれたリリアナ姉様が、つい最近まで奴隷商にいて、何のスキルも持ってなかったとか、たまたまリリアナ姉様を買ってくれたジュン様の指導で、あっという間にB級冒険者となり、迷宮探索をしているとか。
リリアナ姉様のB級冒険者証を目にしても、とても信じられない話だ。
それでも、ケルのことを考えると、ジュン様が受け入れて下さるなら、ジュン様の奴隷にして貰うのが一番いいのかもしれない。
今夜の野宿の為に馬車から降りた時には、私もケルも、他に二人で生きていく道がないからという消極的な気持ちで、ジュン様に奴隷にしてもらいたいと、リリアナ姉様に申し出ていた。
馬車を降りてからのことを思い返すと、今こうしてベッドに横になっていることさえ、現実なのかわからなくなる感じ。
ジュン様は、木が生い茂っていた森の中を、あっと言う間に整地して、
何もない空間から小さな家ほどのコテージ(?)を取り出し、
お風呂を出した。
ジュン様は、伝説の勇者様に違いない。
おじい様のお話で聞いたことのある、伝説の勇者様。
きっとそうに違いない。
私と弟は、この機会を与えて下さった神様に感謝した。
そして、是非、ジュン様に奴隷にしてもらって、誠心誠意ジュン様にお仕えしようと思った。
でもジュン様の力は、私の想像を遥かに超えていた。
私たちの隷属契約をサクッと終了して、弟ケルの病気をあっという間に、ほんとうに一瞬で治してしまった。
お風呂に入っている時に、何でもないような感じで。
私は、この時、心の底から、私の命のある限り、ジュン様にお仕えしようと決心した。
私などができることなど何もないのかもしれない。
でも、リリアナ姉様も最初は、何のスキルも持っていなかったと話してたし、私も頑張れば、何かの役に立つはず。
こんなに安らかな顔をして眠るケルの寝顔を見るのは初めてだ。
寝ている時にも、時々苦しいのか、顔をしかめていたのに。
本当に病気が治ったんだ。
悲しいことがたくさんあったけど、今はこの幸せに感謝しよう。
そしてこの感謝の気持ちを忘れずに、ジュン様に捧げよう。
私は弓術のスキルを持っているけど、リリアナ姉様の話だと、ジュン様の指導を受けると、武術系と魔法系の両方のスキルを習得できるみたいだし、私も習得しよう。
そんなことを考えていたら、いつの間にか、深い眠りについていたようだ。
私にとっても、本当に久しぶりにぐっすり眠った夜だった。
僕の名前は、ケル・シュリア。
10歳のダークエルフだ。
長命種のダークエルフだけど、僕の寿命は長くないと言われていた。
10歳まで生きていたのさえある意味奇跡だ。
僕が、光魔法スキルを習得できたから。
僕が族長の息子で、働かなくても集落から追い出されなかったから。
いつも僕のことを守ってくれる、双子のお姉ちゃんが側にいてくれたから。
何とか生きてこれたけど、そうついに僕の寿命も尽きるかも。
僕が死んだら、お姉ちゃん大丈夫かなぁ。
集落が盗賊団に襲われて、僕とお姉ちゃんだけが連れてこられた。
明日には、どこかの貴族に売り渡されるそうだ。
僕が病気じゃなければ・・・。
そんなことをぼんやり考えながら、洞窟の中で横になっていると、突然すごく温かい、眩しいぐらいの光が入ってきた。
入ってきたのは、光ではなく、人族と兎族の冒険者(?)だった。
突然のことでびっくりしたけど、お姉ちゃんの方が僕よりびっくりしたみたいで、僕を庇いながら、「弟には手を出さないで」とか言い出した時には、さらにびっくりした。
目の前の人たちって悪い人じゃないよ。
僕には鑑定とかのスキルはないけど、何となく感じる。
この人たちから感じるのは温かい気配だ。
魔物や、盗賊などとは全く違う感じ。
ともかく、悪い人じゃない。
お姉ちゃんと二人、これから生きて行くにも帰る場所もない。
僕たちを奴隷にしてくれそうな話の流れになっている。
今、思い返すと赤面ものだけど、その時には僕たちのことをアピールしようと思って、僕が光魔法を使えることをアピールした。
お姉ちゃんは、幼い頃に弓術スキルを習得して、成長すれば武術面で役に立てるだろうけど、僕は少し剣が使えるぐらいで、身体も丈夫じゃない。
目の前の人の素性は良くわからないけど、それは奴隷商に連れて行かれれば同じことだ。
それなら、お姉ちゃんと2人でいられる可能性のある目の前の人に一緒に隷属契約して貰った方がいいと思ったし。
その後、馬車の中で聞いた、リリアナ姉様の話や、今休んでいるコテージの設置。
何より、お風呂に入りながら、何でもないことのように、それこそ僕が言いださなければそのままスルーする感じで、僕が長年苦しんできた病を治癒してくれた。
勇者様じゃないとおっしゃったけど、勇者様じゃなければ神様だ。
間違いない。
すごい人なんだ、ジュン様は。
そんな凄い方なのに、一緒にお風呂に入ったり、一緒の場所で眠ったり、一緒の食事、これまで食べてきた食事の中で一番のごちそうを、僕たちも一緒の席に着けて、食べて下さる。
今は、何の力もないけど、リリアナ姉様の話だと、ジュン様に指導して貰うと、普通なら数十年とかかるようなスキルの習得や習熟が、びっくりするような短時間でできるようになると言うことだし、一生懸命頑張って、いつかジュン様のお役に立てるようになろう。
たくさんのコメントありがとうございます。
ここまでの分の修正は時間的にも環境的にもしばらくできそうもありません。
ご容赦いただけたらと思います。




