冒険者ギルド
冒険者ギルドの内部は、所謂、俺がかつて行ったことのあるハロワだ。
整然と並んだ受付と、隅の方に団欒室みたいなスペースがあって、
壁には所狭しと張り紙が。
中世っぽいけど、紙は潤沢にあるようだ。
「済みません、ちょっと相談が。」
「おや、リリア。無事に狩りは出来たかい?」
「はい、いいえ。えっと、取り敢えずこれ。」
「ほー、ホーンラビット仕留めたんだね、よかったじゃないか。」
「えっと実は、それ、こっちのジュンも一緒に手伝ったと言うか、最後にジュンに当たって、死んだんです。」
「そっちの子は?冒険者じゃないね、見たことないし。」
「この子は、今頭を打って記憶が少しなくなってて、それでマリア先生の所に連れて行って。」
「何か要領を得ないね。つまり、そこの冒険者登録をしていない子も手伝って、これを仕留めたってことかい?」
「はい、そんな感じです。」
「だったら問題ないじゃないか。D級以上の冒険者と一緒に狩ったって言うんだったら、E級の討伐経歴に入れられないけど、E級同士か、まあまずないけどF級と一緒に狩ったって言うんだったら問題ないよ。ましてこの子冒険者でもないんだろう?だったら何の問題もないよ。それで分配はどうすんだい?協力したんだったら、分配をどうするか決めなきゃね。」
「えっと、僕は貰っても仕方ないので、リリアさんに全部上げて下さい。」
「ジュン!」
「えっといいのかい?これは外傷もないし、このままで売っても銀貨2枚にはなるよ。」
「銀貨2枚?」
「マリア先生の所だったら、こいつを売って、ボアーの肉をたっぷり買って行った方がいいと思うよ、どうするね、リリア。」
「えっと、えっと・・・」
「じゃあ、そうして下さい。ボアーの肉はどこで買った方が安く手に入りますか?」
「えっ。そうだね、最近ボアーの肉は随分入ってきてるからね、どこの店でもだぶついてるから安く買えると思うよ。」
「こちらでも買えるんですか?」
「まあ、それはギルドでは全部の素材を買い取ってるからね、在庫はたくさんあるけど。」
「銀貨2枚分、買うとなったらどうですか?たくさん出せますか?」
「それはギルドとしても売れない肉よりも品薄の素材の方がありがたいけど。」
「ではそうして下さい。マリア先生の為に。」
「ああ、そうだね。マリア先生のためにね。よし、じゃあちょっと待ってなさい。」
そう言って、受付のお姉さんが走って出て行って、次に来た時には、元のホーンラビットの大きさの5倍分ぐらいの量の肉を持ってた。
「あの角の状態が思いの外、高評価だったのよ。外傷もなし、首の骨をポキンと折っただけで仕留めるなんて、運がよかったのね。交渉して余ってたボアーの肉たっぷり貰って来たわよ。枠の空きはある?」
「はい。」
リリアが元気に返事して、大量の肉を全部収納してしまった。