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古代遺跡アイテム《アーティファクト》

近衛騎士と言うより、この国の大黒柱だったフリートさんがまさかの大敗北を喫して、大混乱中だ。

ここにいてもいいことなさそうだし、帰るかな。

リリアナとギルドマスターを促して、錬兵所を出て行こうとしたら、国王の隣に立っていた偉そうな人、鑑定によると宰相に呼び止められた。


「またれよ、ジュン殿。しばしお時間をいただけないか。王の執務室にご同行頂きたい。」


面倒事の匂いプンプンだけど、このまま辞すのもそれはそれで厄介事だろうから、大人しくついて行った。


執務室と言うところに入ると、王様は正面の椅子にどっかりと腰を下ろす。


「ジュンと言ったか。そちに侯爵位を与えよう。勿論領地も与えるし、都市核も分割して渡そう。それでどうじゃ?」


「えっと、まず、先程言ったように、俺は貴族に興味はないので、爵位も領地もいりません。都市核と言うのは聞いたことがないですが、それを貰うと何かあるのですか?」


「陛下・・・。」


「宰相よ。これだけの者じゃ。いずれそのことも知る立場にもなろう。ジュンよ、都市核と言うのは、代々王家に伝わり、王家が秘儀として守ってきた都市を守る結界じゃ。太古の昔、この大陸を迷宮より湧き出てくる魔物から我らの祖先を守るために神々が作り出した結界じゃ。7つの王家にそれぞれが都市核を守っておる。わば、王家の証じゃ。この王都にある都市核を、王家のみに伝わっておる秘儀によって分割し、分け与えることができる。国土を公爵領や侯爵領として分け与える時に都市核も分け与える。これをその土地に持っていけば魔物に対する結界となる。それが都市核じゃ。勿論、都市核が支配している都市の中なら、真実の板が使えるようにもなる。つまり、王家から都市核が与えられるということは、王家につななるということじゃ。」


「そのような貴重な話をお聞かせいただいたことには心より感謝いたしますが、何度も申し上げているように、俺は爵位に興味はありません。俺の望みは、迷宮の探索を続け自分自身を鍛えることのみです。」


「今以上の強さを求めるのか。見たところ人族のようであるし、その年であそこまでの強さを持っておるのにの。ならば、爵位を与えることは諦めよう。」


「ジュン殿。本来はジュン殿が望んでおられる、我が国の研究施設の入館を許可して差し上げたいところなのですが、冒険者の身分のままですとやはりその願いを叶えるのは難しいでしょう。多くの貴族を納得させるだけの理由がありませぬ。」


「いえ、そちらの方は諦めました。この国にとって最大の秘密であり、資産なのでしょうし。」


「そうは言っても、冒険者ギルドマスターとの契約のこともありますし、他の条件で納得しては頂けないでしょうか?」


「それに見合うだけのものを準備できますか?」


「王家の宝物殿にある物の中からジュンが望むものを渡せるかもしれんが。」


「例えば、古代スキルについての資料なり、書籍なりはありますか?」


「古代スキルとな?王宮の秘文書館にあると思うが、ほとんど役には立たぬぞ。例えば都市核に関わる王家の秘技も古代スキルと言われておるが、発動するには王家の血が不可欠であるし、王家の中で発動できるものも王と皇太子のみじゃ。我らも数百年研究しているが古代スキルは王家の秘技以外、我が国のみならず世界で発動できるものはいないとされている。」


「俺も古代スキルを獲得したいとか、発動したいとか考えているのではなく、この世界の知らないことをいろいろ知りたいと考えているだけなので。」


「秘文書館への立ち入りは、王である余の許可があれば可能じゃ。」


「では、そちらへの立ち入りと、宝物殿でお譲り頂ける物があれば頂くと言うことで、研究施設への立ち入りは諦めます。それで、ギルドマスターとの契約条件は履行されたということでどうでしょうか?」


「おお。本当か。それで、地下15階のフロアーボスの死体を譲っていただけるのじゃな?」


「はい、そのように。」


「宰相、ではすぐに手続きを。」


「御意に。では、ジュン殿、先に宝物殿へご案内いたします。その後、秘文書館へご案内いたしましょう。」



いろいろあったけど、結果オーライだ。

宝物殿には、武器や防具などだけでなく、マジックバックや各種耐性が付加された指輪や腕輪などの古代遺跡アイテム《アーティファクト》と呼ばれるものや、見事な彫刻や彫金が施された工芸品などが多く収められていた。

マジックバックは、大小様々なタイプがあり、腕輪タイプの物もあった。

一緒についてきた宰相に話を聞くと、古代遺跡アイテムと言うのも今は、ある種伝説で、世界中探しているけど、現時点で古代遺跡と言うものは見つかっていないらしい。

恐らくは、切り離された大陸と呼ばれる場所にあったのではないかと言うのが定説みたいだ。

いずれにせよ、古代遺跡アイテム《アーティファクト》は劣化も破損もせず迷宮内でも吸収されることはないらしい。

従って現在流通している古代遺跡アイテム《アーティファクト》は、迷宮内に残されていた物を運よく拾った者が、密かに収得して使用しているらしい。

勿論、年に数回行われるオークションで極稀に出品されることもあるので所持しているのは冒険者だけではないらしいが。


いろいろ目移りはするけど、武器防具については今後自分で作成できる可能性があるけど、古代遺跡アイテム《アーティファクト》については、そうそう手に入れられる機会も少ないだろうし、そっちから選ぶことにした。

俺自身はいらないけど、いつまでも俺のアイテムボックスの異常性をごまかしきれるとも限らないので、ここは素直に、マジックバックを選択する。

ただし、それぞれ収納できる容量に差があるみたいだ。

と言っても、小分けにすれば、馬車一台分ほどは収納できると言うからこの世界の人が当たり前に持っているアイテムボックスよりは遥かに使い勝手はいいんだろうけど。

マジックバック系の古代遺跡アイテム《アーティファクト》は結構あるみたいだし、ダメもとで2つお願いしたらいいみたいだ。

さらに選んでよさそうだったので、毒耐性と麻痺耐性がついた指輪も2つずつ選んだ。


「それだけでよろしいのですか?武器など、国宝級の一品ばかりですが。」


「武器は、今王都の鍛冶工房で作ってもらっているのでそれで。防具も新調した・・・あの、あの隅の方にあるのも防具ですか?」


「ああ、あれは実は道具鑑定でも鑑定できなかったのです。劣化や破損をしないので古代遺跡アイテム《アーティファクト》だと思われるのですが、形状からすると身に着けるものだと思われますので、防具の棚に収納しています。しかしどのような効果があるのか不明です。防御力が高いわけでもないようですし、いろいろ研究、実験をしてみましたが効果の方は不明のままです。」


「効果が不明ですか。3セットあるようですが、あちらを2セット頂いてもよろしいですか?」


「ええ、それは構いませんが、あの程度のものであれば王都の仕立屋でもっといい色合いのものが手に入るかと思いますが。」


「ええ、そうでしょうけど、折角の機会ですし。」


「効果が不明なものは、もうひとつアイテムがあります。こちらも道具鑑定でも、様々な実験・研究でも効果が解らなかったものです。」


そう言ってアクセサリーの棚から取り出したのは、腕輪だ。

上腕部分に装着するタイプみたい。


「それでは、そちらも2つ頂いてもいいでしょうか?」


「このようなものでよろしければ。しかし、古代遺跡アイテム《アーティファクト》とは言え、このような物で本当によろしいのですか?」


「謎があるなら、俺としてもその謎を解き明かしたいですし。それにこのような品はそれこそ、手に入れる機会はないでしょうから。」


「そうですか。わかりました。ではご指定の品の譲渡手続きを行いたいと思います。手続きの間、しばらく時間がかかりますのでその間に秘文書館へご案内いたします。」


その後、秘文書館に案内されて、制限と監視はついていたけど古代系のスキルについてや、都市核についての情報などを手に入れた。あと、この世界の歴史についても少しだけ解った。とは言っても、かなりあやふやな、それこそおとぎ話みたいな物語だったけどね。


小一時間ほどすると、譲渡手続きが終わったということで、再度、王様の執務室に案内された。

宰相自ら案内に来てくれるほど気の使いようだ。


「おお、ジュン。それで必要な情報は手に入ったかな?生憎、秘文書館の書籍は写本が認められておらん。メモ書きも取れるので十分とは言えぬだろうが。それと、宝物殿には、もっといいものが多くあったであろう、このような物だけでいいのか?」


「ご配慮ありがとうございます。様々な知識を得ることができました。感謝します。それに、貴重な古代遺跡アイテム《アーティファクト》をこんなにたくさん頂きありがたく思っております。」


「いやいや、確かに古代遺跡アイテム《アーティファクト》で価値が高いものであるが、1つでこれら以上の価値のある物はたくさんあったはずじゃ。これでは、ジュンが成した業績に十分報いたとは言えぬ。」


「そのようなことはありません。俺にとっては価値のあるものばかりです。」


「そうか。では、これは余からの気持じゃ。受け取ってくれ。」


そう言って、一本の剣を差し出した。

鑑定すると、



名前 星砕の剣

用途 両手剣

品質 達人級 LV4

攻撃力 1050

耐久値 355550

成分 緋色鉄オリハルコン20%、アダマンタイト50%、ミスリル30%、

岩トカゲの目玉の粉

補正 筋力+50、回避+10


俺が鑑定の固有スキルを習得した後、道具鑑定でもかなり詳細な情報が得られるようになっている。

いずれにせよ、これはかなり凄いものだ。

少なくとも、これまで鍛冶工房街で見てきた武器の中で、攻撃力が1000を超えているのは初めて見た。

さっきの宝物殿の中にはいろいろあったけどね。


「これは、素晴らしい剣ですね。」


「そう言ってもらえると嬉しいが。宝物殿で国宝級の武器をいろいろ見てきた後では、かなり見劣りするだろうが、新しく作られたばかりの剣じゃ。鍛冶師ももちろん余も、かなりの業物だと見ている。これを余からジュンへの個人的な感謝の気持ちとして贈りたい。」


「そのようなことでしたら、ありがたく頂戴いたします。」


「うむ。感謝するぞ。それで、今後の予定はどうするつもりじゃ。」


「まだ、具体的には決めていませんが。」


「冒険者ギルドマスターより聞いておる。すでに迷宮の地下16階の探索も終えているとか。」


あれ?俺、ギルドマスターにそんなこと言ったかな?

そう一瞬迷ったのが拙かったようだ。

政治のプロ相手に俺ごときが太刀打ちできないか。

国王の口元が少しに緩むのを見て、さっきの問いがブラフだと気がついた。

ここで否定しても仕方ないし、爆弾を落とすことにする。


「そうですね。しかし、16階のジメジメした沼地よりも、17階の砂漠環境の方が探索しやすかったですけどね。」


「何?地下17階・・・も、もしやすでにマッピングも終わっておるのか?」


「その辺りは、冒険者ギルドマスターの方にお確かめください。それでは、俺たちはこれで失礼いたします。本当にありがとうございました。」


長くいたら、またいろいろ情報を取られるかもしれないので、国王と宰相が固まっている間にサッサと執務室を後にした。


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