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ニードリックマウス王国国王

「ニードリックマウス王国国王、ご出座~」


よく通る声が聞こえてくると、周囲の人が一斉に臣下の礼を取る。

目の前のギルドマスターも略礼だけど一応国王に礼を捧げている。

横にいるリリアナはギルドマスターの礼に合わせている感じ。

俺はと言うと、入ってきた国王と一緒に入ってきた騎士の鑑定をしていて、礼をする機会を逃した。

国王の隣の騎士がギロッと睨んでるけど、まあいいか。

こいつが、近衛騎士団長で、剣聖スキル持ちみたいだ。LV29。

LVが思ったより低いなぁとか考えてしまった。

能力値も、そこまで高くない。

敏捷と筋力はLVにしては高い方かな。


国王が着座して、全員が一斉に臣下の礼を解き顔を上げる。

国王の方もずっと俺を見ていたから、礼をしてないの見てたけど、特に怒ってる感じはないな。


「ふむ。そちが地下15階のフロアーボスを討伐した冒険者か?」


「はい。俺と隣の彼女と二人で討伐しました。」


「まことか。何十年も誰も討伐できなかったフロアーボスをよくぞ討伐してくれた。それで、現在は他国の迷宮と同程度の脅威になったのか?」


「はい、王様。この者たちは最初のフロアーボスを討伐後、再度フロアーボスを討伐しております。両方の魔核も持ちかえり、ギルドの方で確認しております。すでに当国にいたA級冒険者たちの何組かが迷宮探索に向かっております。その者たちからも後ほど報告があるかと思います。」


「そうか、それは重畳ちょうじょう。それではそちたちに大きな褒美を与えねばな。A級冒険者と言うことだし、男爵位、いやその働きから言えば子爵位を与えねばな。」


「それはご遠慮します。」


本当は許可とかないと発言しちゃ拙いんだろうけど、冗談じゃないと思って思わず口にしてしまった。


「何?子爵位でも不服か?」


「そうではなく、貴族になる気はありませんし、それにこの国にずっと留まるつもりもありません。俺は冒険者で、迷宮探索をしたいので大陸中の迷宮探索をするつもりです。」


「なんとそうであったか。我が国の研究、書籍に興味があるようだったので、爵位を与えて、王宮区の施設への入館を許可しようと考えておったのじゃが。」


「こちらの王宮区にある施設が、この国の財産であり、この国の貴族のみにその立ち入りが認められるのであれば仕方ありません。必ずしもこの国でなくては知りえないということでもないでしょうし。俺としては、今回の討伐でそれ相応の褒賞が頂けるとお聞きしたので、願いを申し上げただけです。無理な願いならば諦めます。」


「王様、この者は、地下15階のフロアーボスの死体を丸ごと持ちかえっております。しかも外傷がほとんどない綺麗な状態の死体です。今回の褒賞とは別にこの死体をそのまま我々冒険者ギルドに引き渡していいと言ってくれています。ただし、ジュン殿の出した条件が達成されないのならば、契約により我らにこのフロアーボスの死体を受け取る資格はありません。」


「何?フロアーボスの死体丸ごとじゃと?」


王様もギルマスの発言に思わず素で返答した感じだ。


「左様です陛下。フロアーボスの死体丸ごとでございます。ほとんど無傷ですので、研究素材としてこれほどのものはありません。わたくしが知る限り他国でもフロアーボスの死体を丸ごと持ちだした例はございません。魔法研究のみならず、我が国の研究素材として計り知れない価値がございます。」


王様に近い位置にいる、宰相っぽい人も、


「誠に。それに皮の部分をはく製として置くことで、他国に対しても大きなインパクトを与えることでしょう。」


とかギルマスに援護射撃を送るけど、その隣の偉そうな人が、


「いやしかし、一介の冒険者を王宮に招いたことだけでも異例なのに、各研究施設への入館を許可するなどあってはならないことです。」


とか反対意見を口にしている。


「冒険者ギルドマスターとして一言申し上げる。ジュン殿は一介の冒険者と呼ばれるほど小さなものではありません。武術に秀でており、正に武神のごとき者です。失礼ながら、この国にジュン殿に武術で敵うものなどおりません。」


ギルマスのこの発言に、すかさず王様が反応した。


「この国に敵う者はいないとな?では、このフリートより優れておると?」


「はい。昨日、私の伝手で集めました、斧将、盾将、格闘将、投擲将の者たちが軽くあしらわれました。しかもジュン殿は、本来の槍は使わず、それぞれの相手の得意な武器を使って圧勝しております。王様もご覧になれば、ジュン殿の強さが解るでしょう。」


「ほーそうなのか。フリートよ。どうじゃ、お主はあの者に負けておるか?」


「陛下、私はこれまで負けたという経験をしたことがありません。剣において私に勝てる相手はいないかと。」


「そちはどうじゃ?わが国の剣。このフリートに勝つ自信はあるか?」


王様が俺に聞いてきたので、少し考えて返答した。

折角、聖クラスの武術スキル持ちの人と手合わせできるチャンスだし、少しばかり挑発してやろうと思って、


「自信があるかと言われれば、あります。と言うか剣のみの勝負ならば少し手間取るでしょうが。ただし、俺の方でどこまで手加減ができるか解らないので最悪、命の危険もありますが。」


「貴様、少々腕があって迷宮探索で功をなしたからと言って頭にのりおって。魔物相手に勝てたかと言って、知恵のある種族に勝てると思っているのか。」


剣聖スキルもちの癖に、安い挑発に乗るなよって思ったけど、いい流れなので俺は口を挟まず様子を見ていると、


「フリートよ、そう怒るでない。ギルド長も、各将クラスの者と立ち会っても軽くあしらわれたと言うではないか。本当に強豪かもしれんぞ。そうじゃの、では昨日戦っておらん、槍将と弓将と戦ってみよ。それを見て、フリートと戦うだけの実力があるかどうかを見極めるとしよう。」


「お待ちください、王様。我が騎士団の団長クラスが一介の冒険者などと立ち会うなど。」


「黙るのじゃ。これは余が決めたことじゃ。すぐに支度をするのじゃ。近衛兵の練兵所ほどの広さがあればよかろう。近衛兵の訓練はしておらぬのだから場所もすぐに準備できよう。いや、このまま行く。付いてまいれ。」


王様はそう言うと、玉座から立ちあがって、剣聖を含めて何人かをゾロゾロ引き連れながら、サッサと部屋を出て行った。



「ジュン殿、申し訳ない。ワシの思慮が足りずにとんだことに巻き込んでしまったようじゃ。」


「ギルドマスター、問題ないです。それに、丁度他の将クラスとも立ち会いをしたかったですし、場合によっては聖クラスとも立ち会えるんですから、かえってラッキーです。」


「しかし、将クラスとはいえ恐らく、第一騎士団の団長の槍将ドルガーと、第二騎士団団長の弓将フィオが出てくるはずじゃ。王国切っての武術者じゃぞ。」


「どうせなら、その位のレベルの将持ちと戦いたかったですしね。」


結果としてはマジでラッキーだ。

剣聖同士が戦うことで、剣神に上位変化するのかどうかも確かめられるしね。

基本、この国の聖クラスは、候爵位をもらって各地の領土を治めてるって話だし、そうなると簡単に立ち会いとかできないだろうし。


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