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模擬戦

 朝の鍛錬が終わって、朝食を食べている時に、ギルドの使いの人が来た。今日は、斧将、盾将、格闘将、投擲将の4人との立ち会いができるようだ。昨日の今日で立ち会いができるってことは、余程暇なのか?いやいや、ギルドマスターが頑張ってくれたんだろう、きっと。


 指定されたギルドの小訓練場に行ってみるとすでに、ギルドの職員によって周囲に人が立ち入れないようにされていて、俺が入るとすでに2人の強面のおじさんがギルマスと一緒に待っていた。


「おお、ジュン殿。王宮の方の交渉も進めておりますぞ。取り敢えず、今日すぐに時間の都合がついたのが、こちらの2人と、間もなく2人来る予定じゃ」


「お前が、ジュンか。その年でA級昇格とはな。あの15階のフロアーボスには、昔の仲間が何人もやられた。まぐれで倒せる相手じゃないことも解っている。しかし、お前さん、武術を舐め過ぎだ。少し槍が使えるからといい気になるものじゃない」


 隣を歩いていたリリアナの気が変わる。表面上は変わってないけど、これは激怒している状態だ。


「今日は、お忙しい中、申し訳ありません。このような機会でなければ各武術の将クラス、聖クラスの方々とお会いすることもできないですし、ましてご指南を頂けることもありませんので、無理を言っていただきました」


「それで、どうすればいいんだ?模範演技でも見せたらいいのか?」


 もう一人の男(鑑定すると格闘将のスキル持ちだ)が苛立ち気に声を出す。


「このような機会は二度とないでしょうし、できれば双方真剣で立ち会いをお願いしたいのですが?」


「ほほー、真剣での立ち会い?事故で傷をつけても責任は取れないが、仮に死んでもな」


「勿論です。是非、将クラスの方々の本気の攻撃を指南していただきたいのです」


「そんじゃ、まずは俺からやらせてもらうか。格闘術ならまあ最悪、手足の骨折ぐらいで収められるだろうしな」


「はい、俺の方はどちらからでも。では、ご指南よろしくお願いします」


 そう言って訓練場の中央に出る。その前に、リリアナには小声で、


「何も問題ない。傍でよく見て、リリアナも学んでくれ」


 そう声を掛けておく。



 さて、最初は格闘術からか。無手とはいえ、当然命を落とす可能性もある。俺の方は構えとかないし、自然体のまま立っている。相手は、中国拳法みたいな感じで型を作って構えている。

 って、魔物相手にもそういう事するんだろうか?大丈夫か?格闘術・・・。


 初手は向うだ。顔面に拳を叩き込むと見せかけて、足を振り上げ垂直に落とす。所謂いわゆる、かかと落としだ。まあ、見え見えだしね。数㎜の間合いで両方をかわす。お礼に同じ技を返してやったら、相手の頬から血が~ちゃんと避けて欲しいな~思わず、かかと落としの方は加減をしてしまった。そのまま落としてたら、顔半分潰れてたんじゃないかな。格闘将スキル持ちとはいえ、レベルの低い「将」クラスだ。ジブリードさんは、剣将だけど上位の将クラスなのかもしれない。


 その後は、こっちからの攻撃は止めて、相手の攻撃を数㎜の間合いで避けることだけをやった。

下手に攻撃したらヤバいしね。決闘じゃないんだし。


「えっと、そろそろいいでしょうか?まだ続けます?他に取っておきの技とかあるのなら是非、出して欲しいんですけど」


 相手のラッシュ攻撃が終わって、少し離れた時にそう声を掛けてみた。


「ダルグそこまでじゃ。お主ではジュン殿の髪の毛一本にすら触れることはできん。ジュン殿、しばらく休憩してから、次の手合わせをしますかな?」


「いえ、そちらの準備がよろしければ、このまま続けてお願いします。皆さんをお待たせするのもなんですし」


 俺たちが戦っている途中で、盾将、投擲将の2人もやってきていた。自分を鑑定すると、スキルが「格闘聖」に上位変化していた。やはり、将クラスに勝つことが条件みたいだ。今回は新しい技は何も出してないしね。


「それじゃあ、次はワシが相手だ。それだけの回避技を持っているなら、そうそう大怪我もすまい」


 そう言って出てきたのは、獅子族の投擲将の男だ。LV22。A級冒険者となっている。ちなみに、さっきの格闘将の男は、人族で王宮の騎士団に所属しているようだ。回避技かー。回避技を作ったってことのなるのか?数㎜の見切りっていうのも、確かに一つの技か。やはり、聖クラスにアップするのには、新しい技を身につけることが必要なんだろうか。 取り敢えず、今は投擲の方だな。投擲術を持った人との立ち会いってどうするんだろう?

まあ、避ければいいか・・・


 流石に、数m程度離れての立ち会いでは無理があるので、小訓練場の端と端。約15mほど離れて立ち会う。


 まずは一投。そのまま斜め左上にジャンプして、さらに一投。15mも離れていれば余裕でかわせる。かわしながらお返しの一投。少し力を入れ過ぎて、そのまま訓練場の壁を突き破る。小さな穴だし大丈夫だろう、きっと。

 しかしそれを見て、ギルドマスターと隣にいる幹部職員は驚愕の表情だ。あー修理代とか請求されちゃうんだろうか。少し手加減しないとな。


 その後も、位置を変えながら、何度も投擲してくる。俺も動きながらかわしていたけど、これ以上壁を壊すと拙いだろうから、今度は向かってくる棒手裏剣やナイフを、俺の棒手裏剣で地面にたたき落とすことにした。弾いた棒手裏剣が変な方向に飛ばないように気をつけながら進んでいく。

 気が付いたら、相手の目の前に来ていた。まあ目の前で投擲されても避けれる自信はあるけどね。

最後は、顔を引き攣らせて奇声を上げながら訓練場から出て行った。失礼なやつだ。

 って、よく見たら、周囲の人たちも、口をあんぐりあけたまま固まっている。リリアナだけはニコニコしてるけど。確認すると、「投擲聖」獲得してた。今回は新しい技とか作ってない・・・いや、流石に投げられた手裏剣を撃ち落とすのは拙いか。



「えっと、ギルドマスター。壁を壊したみたいで済みません」


「うん、いや、それはいいんじゃが、よくはないが・・・。訓練場の壁をどうやって壊せるんじゃ。王国でも最強の硬度を誇っているんじゃが・・・。ジュン殿の能力は、ずば抜けておるな。そうでなくては、数十年もの間誰も討伐できなかった、地下15階のフロアーボスを倒せるはずもないんじゃが。それにしても、槍術だけではなく他の武芸に対してもここまで圧倒的な力量を見せるとは。ボルボル、シャーロット。お前たちの力を蔑むつもりは全くないが、2人一緒に立ち会った方がよいのではないか?ジュン殿、それでも構わぬか?」


「はい、俺の方はそちらの方々の全力を見せていただけるならどのような形でも構いません」


「では、そのように。」


 最後に残ったのは、王国騎士の第三騎士団中隊長のボルボル、ドワーフ族。LV24。斧将。

 もう一人は、A級冒険者でシャーロット、竜人族。LV21。盾将。

 それぞれのスキルを上位変化させるためには、恐らくは同じ系統の武器での対決が必要だろうから、ちょっと歪な感じだけど、小振りの片手斧と盾を装備した。5mほど離れて立ち会う。

 先に動いたのは、斧将のボルボル。本来、両手斧である大きな斧を縦横無尽に片手で振ってくる。

俺が、それに合わせて動くと、盾将のシャーロットが俺の死角に回り込むように動く。普通なら死角なんだろうけど、俺にとっては知覚野だ。

 視線はボルボルに向けたまま、片手斧でシャーロットに一閃。シャーロットはいきなりの攻撃に、一拍遅れた感じだけど、盾で上手くいなす。本来はそこで俺の体勢が崩れるんだろうけど、いなされた力のベクトルを反転させ再度追撃の一閃。ガキッと盾の表面で受け止められる。


「何?」


 盾に当たる瞬間、斧に魔力を流して硬度を高めた。振りの強さ以上の刃の攻撃力が高かったのだろう、シャーロットの盾にくっきりと斧の刃跡が残る。ボルボルがさらに踏み込んでくる。


「ドリャーッ」


 縦横無尽に振り下ろされる斧の攻撃に対して、俺も縦横無尽に盾で受け流していく。必殺の一撃かボルボルの会心の一撃を盾でいなし、体勢が崩れたところに手斧の柄の部分に魔力を流し、鳩尾に部分に打ち付け意識を狩る。同時に、盾の縁部分にも魔力を流し、シャーロットの目の前に盾を突きだした後、すばやく胴体に盾を打ち付ける。盾版猫だましだ。


 俺の前後で二人が崩れ落ちて勝負が終わった。「盾聖」と「斧聖」をゲットしてた。


 訓練場内は水を打ったように静まり返っている。全員息をするのも忘れたかのように口を大きく開いたまま固まっている。リリアナだけはいつも通り、俺の傍まで歩いてきて、


「お疲れ様です、ジュン様。今日のこの後のご予定はどうしますか?」


 と聞いてきた。それで全員の金縛りモードが切れた。


「ギルドマスター、今日はどうもありがとうございました。こちらの二人も深刻なダメージは残っておりません。気を失っているだけですので。それで、今日のところはこれで終りでしょうか?」


「あ、ああ。後の将クラスの者たちにも、時間の都合がつき次第、ジュン殿に引き合わせましょうぞ」


「では、俺たちは今日は、図書館などを回る予定です。何かあれば宿の方にご伝言お願いします」


そう言い残して小訓練場を立ち去る。


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