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与奪スキル

宿は、冒険者ギルドから真っ直ぐ、内地区南門の方に行った場所にあった。

いかにも高級宿って感じだ。

一階の食堂にいる人を見ても、高ランク冒険者のパーティーと大店の商人みたいな

一団だ。

高ランク冒険者って言ってもB級冒険者でLV18前後の人たちだけどね。

スキル持ちが2人の4人パーティーだ。

冒険者ギルドの職員に連れられて入ってきた、俺とリリアナを見て、一瞬怪訝そうな顔をしたけどこの場で俺たちの方に寄ってくるとか無粋な真似はしないようだ。


俺たちを案内した職員が帰った後、俺とリリアナも部屋の番号を聞いて外に出た。

今日は、図書館で依頼していた書籍を受け取った後、鍛冶工房街をじっくり回って、武器を調達する予定だ。

明日から各武術の将クラス、聖クラスの人と立ち会いするのに流石に盗賊から巻き上げた武器を使う訳にもいかないしね。一通りは揃えておかないとな。

あと、リリアナにもミスリル系ないし、それ以上の武器を揃える予定だ。

勿論俺自身の武器もね。

今使っているミスリルの矛はかなり使い勝手がいいけど、これから迷宮下層に向かうに当たってやはり、さらに強力な武器も必要か持って思ってるしな。


書籍の受け取りはあっさり終了。

今はアイテムボックスの中に収納したまま、もう一度書籍を読み返している。

記憶に間違いはないな。

やはり能力値の知恵が500オーバーは伊達じゃないようだ。

暇だったので、アイテムボックスに収納していた地下15階の最初のフロアーボスの魔核を取り出してじっくり鑑定してみた。

それを見て、馬上で俺の前に抱きかかえられるように座っているリリアナが、


「それは、最初のフロアーボスの魔核ですか?私もたくさんの魔核を見てきましたが、他の物とは全然違いますね。魔核自体から強い力を感じます。」


「そうだね。LV自体も25だったしね。恐らく何十年もの間多くの冒険者と戦って、成長してきたんだろうな。俺たちの中にも核があってそれが魔物を倒したり、いろいろな経験をすることで核に情報が書き込まれて成長しているように、魔物の核も成長するんだろうな。」


「そうですね。でも、魔核と言うのは、魔道具の燃料としての使い道がないと思うのですが、燃料として使うには勿体ないほどですね。」


「まあ、今のところ魔道具の燃料には困ってないしね。こいつは記念に残しておくよ。」


そう言えば、俺は通常、特に呪文を唱えることなく情報を知ろうと意識を集中させてるだけだけど、この世界のスキル的に鑑定するとどんな風に見えるんだろうな。

半分、興味本位で、

評価エバリュエーション

解析アナライス

鑑定ステイタスオープン

をかけてみた。


「評価」ではいつものように

三尾狐の魔核

LV25


「解析」では反応なし。

ところが「鑑定」をかけてみると、


三尾狐の魔核

魔核の情報

名前 三尾狐

年齢 61歳

種族 魔物族

所属 ドルグ迷宮15階フロアーマスター

LV  25

経験値 5022

HP 440

SP 330

筋力 112

防御 107

回避 167

敏捷 220

知恵 77

精神 55

幸運 61

スキル 風魔法(LV2)

補正 魔物族、フロアーマスター


情報がダダダーと頭の中に流れ込んできた。

これって、この魔核の情報?

と言うか、確か戦闘前に鑑定でみた時の情報よりも詳細な情報だ。

いや、さっきまでこんな情報はみれなかったぞ。

これまでも、いろんな魔物の魔核を手にして鑑定してきたけどこう言うのは初めてだな。


ふと自分のステイタスを見て驚いたというか納得。

俺の固有スキルの学習が、進化して、


「学習(認識、指導、分析、習得、解析)」


と、解析の項目が増えていて、このことを認識した後、固有スキルが


「与奪」


へと変化した。

学習スキルがなくなったってことは、上位変化なんだろうな。

与奪の説明を求めると出てきた。


情報、知識を解析して、核に取り込むことが可能。

他者の核の情報から新しい能力を得ることが可能。

自分の核に書き込まれた能力を、一定の条件の元、他者の核に転写可能。

他者の核に書き込まれた能力を、一定の条件の元、自分の核に習得可能。


突っ込みどころ満載だな。

まず、一番目の、情報、知識を解析して、核に取り込むことが可能って言うのは、要はこれまで俺が、スキルに対する正確な知識やイメージを習得すると、新たなスキルが発現していたけど、その能力ってことなんだろうな。


問題は、二番目以降だな。

他者の核の情報から新しい能力を得るって言うのは、つまり例えば、俺が持っていないスキルを魔物が持っていた場合、魔物の核を手に入れればその魔物が持っているスキルを即習得可能ってことなんだろうか。

今手持ちの魔核で、俺が持ってないスキル持ちってないからな。

これは今後、検討することにしよう。


三番目。

俺の核に書き込まれた能力を、一定の条件の元、他者に転写可能ってことはつまり、学習スキルの時にあった「習得」というスキルの上位版ってことなんだろうな。

一定の条件って言うのがどう言うものなのか不明だけど、って出てきた。

精神的、身体的な濃密な接触が必要。

濃密度によって、転写できる情報量の総量に制限があるか。

濃密な接触ね~。

例えば、現時点で俺とリリアナの間にはそれなりの精神的な結びつきはあると思う。

身体接触もエッチはないけど、お風呂やこうして馬で移動中など普通に接触している。

身体的接触って言うのがどの程度必要なのか解らないけど、試してみるか。


「リリアナ、今から実験するから何か変化があったら言ってくれ。」


「はい、ジュン様。それではここで馬を下りますか?それともどこかへ向かうのでしょうか?」


「実験はこのままで問題ないと思う。リリアナに俺の魔力を流すから受け止めてみて。」


「はい。では。」


そう言って、リリアナが俺の手を握ってくる。

俺は自分の持っているスキルの内、まず料理スキルを送ってみる。


「ジュン様、胸のあたりがポカポカ暖かいです。あれ?何だか料理のことが頭に浮かんで・・・。ジュン様・・・、ジュン様、私に料理スキルが付いています。これってジュン様ですよね?」


俺も、リリアナを鑑定しながら見ていたから解っていたけどね。

無事に転写できたようだ。

ちなみに、スキルの項目がこれまでと違ってかなり詳細に表示されている。

転写の際には、例えば俺が持っている料理スキルLV3の内、どのレベルまで転写するかを設定できるようだ。

勿論、今回はLV3を転写。

ちなみに、スキルのレベルは、

LV1で初心者レベル。

LV2で通常レベル

LV3で一流レベル

LV4で達人レベル

LV5で伝説レベル

らしい。勿論、他の人には見えないし知っている人はいないけど。

全ては、俺の鑑定能力の情報のお陰だ。


「うまくいったようだね。苦しいとか、身体に異常はない?」


「問題ないです。むしろ、一気に知識が広がった感じで。ジュン様って神様なんですか?」


「神様?そんなんじゃないよ。只の人族だよ。」


「ジュン様は只の人族ってことはないですが。私って、魔法スキルもあるのに、料理スキルも持てたんですね。夢のようです。」


「もう一度、やるからね。」


リリアナは少しうわ言みたいに喋ってるけど、再度、与奪スキルを発動。

今度は、索敵スキルを転写。

索敵スキルは、下位スキルの探索スキルもあるんだけど、どうせならって思ってやってみた。

ただ今度はうまくいかなかった。

その代わり、探索スキルLV5が転写された。

上位互換スキルは何か制限があるんだろうか?


「あー、凄いです。ジュン様、周囲の情報が一度に把握できます。あっ、探索スキル。えっ、さらにスキルを?」


「あーうん。上手くいったみたいだね。それで今度はどう?身体に不調はない?」


「ええ、問題ないです。寧ろ、自分で自分じゃないみたいと言うか、すっごく能力が上がった感じで。」


「探索スキルは、迷宮探索で役立つからね。元々リリアナは聴覚で探索自体は行えてたけど、さらに広範囲に、詳細に探索できると思うよ。」


「はい、ジュン様。お役にたてるように頑張ります。」


そこから、さらに、剣術スキルと風魔法スキルも転写した。

剣術スキルも上位スキルである剣将は転写できなかった。

また、LVも3までしか転写できないようだ。

この辺り、転写自体万能ではないんだろうな。

或いは、俺が理解していない何らかの制限なり転写の仕方に問題があるのかもしれない。

風魔法も同じように、上位魔法の嵐魔法は転写できず、LV3までだ。

ちなみに、光魔法はすでに持っていたけど、LV3まで引き上げることができた。


解説によればスキルレベル3で一流レベルだし問題ないと思う。

事実、リリアナ自身はっきりと自覚できる程、能力が上がったのが解るみたいだしね。



そう言う訳で、鍛冶工房街区に向かう馬上で、俺とリリアナのステイタスは、こんな感じになった。勿論、闇魔法を使って、俺とリリアナのステイタスが仮に誰かに見られても普通見見えるように偽装してるけどね。


名前 ジュン・ミソラ

年齢 15歳

種族 人族

所属 A級冒険者

LV  27

経験値 5535

HP 930

SP 930

筋力 310

防御 310

回避 310

敏捷 310

知恵 510

精神 510

幸運 510

固有スキル 与奪

スキル 剣聖LV3、槍将LV5、格闘将LV5、投擲将LV5、弓将LV5、投擲将LV5、盾将LV5、

聖魔法LV5、闇魔法LV5、炎魔法LV5、氷魔法LV5、嵐魔法LV5、岩魔法LV5、 

身体強化LV4、耐性LV3(毒)、魔力操作LV4、魔力感知LV4、索敵LV5、

料理LV3、

加護 博愛神の加護

補正 異世界(言語、無詠唱、アイテムボックス)



名前 リリアナ

年齢 15歳

種族 兎族

所属 B級冒険者

LV  14

経験値 2905

HP 140

SP 140

筋力 57

防御 31

回避 49

敏捷 77

知恵 75

精神 70

幸運 50

スキル 剣術LV3、光魔法LV3、風魔法LV3、探索LV5、料理LV3

補正 兎族(聴力)



LV26以降、レベルアップする時に、能力値がこれまで一律10ずつアップしていたけど、一律20ずつアップするようになっている。

これがLV依存によるものなのか、別の要因かは不明だ。

リリアナの成長の度合いを見て確かめるしかないだろうな。

何と言ってもこの世界の人に認識されていないパラメーターだしね。


あと、上位互換スキルへの変化が何によるものか、今後の検討課題だ。

書籍などを読めるようになれば何かわかるかもしれない。

あと、リリアナに他の魔法や、スキルを転写しようと思ったけどできなかった。

この辺りも要検討課題だ。

ベースとなる知識なりイメージなり、何かキーがあるのだと思う。


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