表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/55

盗賊団

そんなことを考えながら、魔法の練習を続けていたら突然馬車が止まった。ん?って思ったけど、すぐに索敵反応が出て臨戦態勢をとる。リリアナも気付いたようだ。


「魔物じゃなさそうだけど敵がいるみたいだね」


「はい。魔物ではなく人族と狼族の集団みたいです」


「なるほど。盗賊の集団かな?こういうのってどうしたらいいんだろう?殺したりしたら拙いのかな?」


「相手が盗賊なら殺しても問題ないかと。殺さずに街の兵士に突き出せば奴隷販売と同じなので報奨金とは別にお金が手に入りますが」


「なるほど。まあ殺しちゃっても問題ないんだけど、どうせなら生け捕りにして、ついでにアジトごと潰しちゃおうか。一応、俺の魔法が全員に効けば生け捕り、ダメなら殲滅ってことで」


リリアナと打ち合わせをしていると、前方から5人。後ろから3人の盗賊が現れた。鑑定すると、最高でLV15だ。殺しても経験値の足しにもならなそうだなぁ。取り敢えず、一人ずつ隷属魔法をかけていく。範囲魔法的に掛けれるようになりたいところだ。この辺りは要練習だな。


「おらおら、キョロキョロしてるんじゃないぞ。ガキ2人で何だってこんな場所に来てるのか知らないけど、まあ俺らに見つかったのが運のつきだな。女の方はたっぷり可愛がってやった後、ちゃんとしつけて奴隷商に売ってやるから心配するな。ボクちゃんの方は、そのまま鉱山奴隷に売ってやるからな。おい、野郎ども、傷つけないように連れてこい」


そう言って子分たちに指示するけど誰も動かない。すでに他の奴らは隷属状態だ。テンプレ的にどう言うことを言うのか気になったのでこいつだけ残しておいた。まあ聞くまでもなかったか、そのまま隷属状態に。


「ジュン様、うまくいったんですか?」


「多分ね。今、リーダーみたいな奴も隷属したらからね。それじゃあ、ねぐらを聞き出して残りの奴らを捕まえに行こうかな」


「えっと、この人たちはどうするんです?」


「面倒だし、一緒に連れて行こうか。どうせ、全員まとめて次の街の兵士に突き出さなきゃいけないし」


「よし、質問に素直に答えろよ。お前たちのアジトはどこだ。後、仲間は残り何人いるんだ?」


「へい。ねぐらはここから1㎞ほど森に入った洞窟の中です。仲間はあと12人残っています」


「お前たちは馬とか持ってないのか?」


「へい、今は歩いてきました。ねぐらに荷馬車とブルホースが2頭おりやす」


「アジトに残ってるやつは強いのか?」


「へい。頭目が一番強いです。あと、副頭目は魔法師なのでそれなりに強いです」


「それじゃあ、そこまで案内しろ。そこまで馬車でいけるか?」


「へい。あちらの脇道から入ると馬車でも行けます」


「よし、じゃあ、お前らは走って先導しろ」


そう指示すると、盗賊たちは馬車の前に立って、森に向かって走り出した。1㎞ぐらいだし、走りっぱなしでも大丈夫だろう、多分・・・。



森の中の道とも呼べなさそうな狭い空間を走っていくと、森が開けた場所に洞窟があった。洞窟の前に何人か盗賊が出てきてるけど、自分たちの仲間がジョギングみたいに走ってきてるんで警戒を解いたようだ。


「おう、お前らうまくいったんだな」


洞窟の中から太い声を出しながら、熊みたいな男が出てきた。側には、杖を持ったひょろっろした男がつき従っている。


洞窟の中から出てくる順に、隷属魔法を掛けまくる。なんか超簡単。SP10を消費するけど俺にとっては大した消費じゃないし。使ったそばからどんどん回復するしね。


結局、何のトラブルもなく全員を隷属状態に置いた。


「よし、頭目以外は全員、荷馬車に乗れ。お互いに後ろ手に縄で縛れ。頭目はねぐらの中を案内しろ。あと、荷馬車に乗る前に、全員、身につけている武器、装備、アイテムボックスに入れてる物を全て、こっちの馬車の中に置いて行くように。リリアナはここで監視してて。従わないやつがいたら殺してもいいからね」


「承知しました。こちらはお任せください」


「よし、頭目、お前はアジトに置いている宝物の場所に案内しろ。あっ、その前に、お前の装備とアイテムボックスの中身を馬車の中に出しておけ」


洞窟と言っても、大きな部屋と小部屋が3つほどしかなく、倉庫兼頭目の部屋には、大したものはなかった。それでも魔法のスクロール?とか武器が数点あった。金貨などのお金は頭目が自分のアイテムボックスの中に収めていたようだ。白金貨もあるし基本、金に換金して利益をプールしてたようだ。


あと目ぼしいものと言えば、ブルホースだ。鑑定すると知性がかなり高い。体力もありそうだし、奪ったブルホースのうちいいやつを残していたのかもしれない。あと、魔法師が持っていた杖は、ちょっといい感じだ。魔法効果を20%アップさせる付加効果が付いている。

武器に能力付加ができるんだ。

これはいいことを知った。これまでいろいろ武器は鑑定したけど、物理攻撃系の物だけだったからな。こう言った付加は杖だけなんだろうか。今度聞いてみよう。


ともかく、全員を荷馬車に乗せて、2頭のブルホースも隷属させて、こっちの馬車についてくるように言った後、アジトを出発した。馬車に入れさせた物品は、全部俺のアイテムボックスに入れたけど数が多くて何が何やらって感じだ。ソート機能でもついてれば楽なのにとか考えてたら、できるようになった。同じものは項目がまとまって、お金も自動で計算できたみたいだ。ちりも積もればなんとやらで、結構な額が手に入ったみたいだ。全部で白金貨5枚分ほど。


 ブルホースに、次の街に向かわせながら俺は御者台の上で、杖をあれこれ弄ってた。リリアナはそれを見て何か言いたそうだけど、光球を出してやったら魔法の練習に没頭し始めた。


 能力付加のついた杖か。基本的な部分は、千年木の杖と言うらしい。これ自体にも、魔法効果アップの能力があるみたいだけど、数%程度で能力付加された分の比ではない。この木だから能力付加が可能なのか、それとも何らかの方法があるのか。詳しく知ろうとしてもそれ以上の情報は出てこないみたいだ。何なんだろうな。

 今度は、自分のミスリルの矛を出してみた。詳しく鑑定しようと意識を集中しても特に変化はない。鋼鉄剣の方も同じように集中して鑑定するけど同じだ。

 ん?あれ?同じじゃない・・・


矛の方は、


ミスリルの矛

金貨10枚


達人級


鋼鉄剣の方は、

鋼鉄剣

金貨1枚

最高級


そう、矛の方には空欄がある。


杖の方は、

千年木の杖

金貨55枚

魔法攻撃力20%アップ


となっている。品質的に普通品なんだろう多分。


 矛の方の価値(?)と品質の間に空欄がある。もしかしてこれが鍵なのか?取り敢えず、一歩前進だな。この後のことは、ニードリックマウス王国についてからだな。

 武器強化か。おそらく、防具の方にも強化があるんだろうな~微妙にワクワクするな~ってワクワクしちゃいけないのか。緊張感に欠けるな。


 盗賊の集団をあっさり片付けて調子に乗ってた。今ある能力がずっと続くかどうかもわからないしね。できる時にできることをコツコツとやっておかないと。


 日本にいた頃も、これでいつも失敗してたしな。調子よく物事が進んでいる時こそ気を引き締めないとな・・・。


 そう思って、隣を見るとリリアナは光球に集中してる。一生懸命にやってるのが可愛かったんで思わず、リリアナの両手に俺の手のひらを合わせてあげて、


「ほらこんな風に、自分の周りにある力を解放してあげるんだよ」


 そう言いながら、リリアナの手のひらを通して風魔法を発動させる。リリアナの体の中を俺の魔力(?)力みたいなのが巡っていくのがわかる。光球もフラフラと左右に揺れている。

 あれ?そう言えば馬車が動いているのに、光球はずっとリリアナの手のひらの間にあるな。なんでだろう?って、そうか俺が両手の間に固定するように光球を発動したんだった。もしかして、光球が動かなかったのって俺のせい?このことは黙ってよう、うん。


「凄いです、ジュン様。今、魔力を感じました。私の体の中を、ジュン様の魔力が流れていくのを感じました。凄いです」


「そ、そうなの?もしかしたら、一歩前進したのかもね。しばらく休んだら、もう一度やってみるといいかもね」


「はい。ジュン様、ありがとうございました。ジュン様の指導は、やっぱり素晴らしいです。普通は数年かかるらしいです、魔力の適性が現れるのって」


「まあ、リリアナ自身に、元々魔法適性があったんだよ」



「あっ、街の砦が見えてきました」


「そうだね。じゃあ、後ろの荷馬車は俺が操車してるように見せかけるから、こっちの方はリリアナにお願いするね。そのまま後ろからついてきてくれればいいから」


 そう言って、俺は後ろの荷馬車に移った。盗賊たちは大人しく荷台に座ってる。街に着く前に隷属解除しとくかな。そのあと軽く睡眠魔法でも掛けとけば大丈夫だろう。




 街の入り口にくると、門兵がいた。一応石造りの城壁があるしそこそこ大きな街なんだろうな。


「止まれ~。お前たち街へは何の用だ?商人ではないし、奴隷商人でもなさそうだが」


「はい、俺たちは冒険者で、ニードリックマウス王国に向かう途中です。途中で盗賊団に襲われたので撃退したんですが」


「何?盗賊?おっ、こいつら、我狼団の一味じゃないか。頭目と副頭目もいるじゃねえか」


「はい。アジトを殲滅してきました」


「うむ。こいつらは賞金がかかっている。冒険者ギルドの方にも依頼を出しておる。確認した後に支払が行われる」


「はいありがとうございます。それで、こいつらが持っていた物とかは」


「勿論、全て討伐者の物だ。それとこいつら全員、鉱山奴隷として売られるからその代金も支払われるぞ。自分で奴隷商と直接交渉してもよいがどうする?」


「その辺りも全てお任せしてもいいでしょうか?俺たちはこの街に知人やツテもないですし」


「うむ、問題ない。それとブルホースと荷馬車はどうするね。こちらで買い取ってもいいが」


「今使っているのは、冒険者ギルドから借りている馬車なんですが、この荷馬車と、こっちの一頭を売って、新しい馬車を購入することは可能でしょうか?」


「細かい査定はわからないが、おそらく問題ないと思うぞ。そっちのブルホースはかなりいいやつみたいだし、かなりの値段で引き取りができるだろう」


「では、そちらの方もお願いしてもいいでしょうか?勿論、手間賃をお取りいただいて構いません」


「うむ。そういうことなら問題ない。わしらの方で処理をしておく」


「では、この馬車を返却しがてら冒険者ギルドに行ってきます」


「そうするがよい。この証明書を提出すればギルドの依頼達成報酬が受け取れるだろう」


「ありがとうございます。では行ってきます」



 門兵の詰め所みたいな場所から出ると、ちょうど盗賊たちが荷馬車から下ろされて、一列に並ばされていた。隷属状態を解除した後、短時間の睡眠魔法をかけてたのでほとんどの奴らは少しボーっとしてるけど、中には大声で喚いている奴もいるみたいだ。まあ、二度と会うこともないし問題ないだろう。

 俺とリリアナは、レンタルしている馬車で、教えてもらった冒険者ギルドに向かって、盗賊討伐の手続きと、ニードリックマウス王国の王都まで借りる予定だった馬車の返還を行った。いい馬だったけどね、ここでお別れだ。


 盗賊討伐の報酬は、金貨80枚になった。この街の領主である貴族からと、商業ギルドからも依頼があったようだ。頭目、副頭目をはじめ一味を全滅したことで、我狼団に掛けられていた全ての依頼達成になったようだ。

 報酬が思ってた以上に大きかったのは嬉しい誤算だったけど、それ以上に今回の盗伐が冒険者カードに記録されて、ランク昇進にメリットがあるということだ。盗賊団の討伐というのも、B級昇格の課題になるらしい。

 今回は試験官が同行しての盗伐ではないからそのままB級へとはならなかったけど、この街の住民をはじめ、冒険者ギルド、商業ギルドや兵士たちを悩ませていた、我狼団を殲滅したことは、かなりインパクトがあったようだ。今回の盗伐は俺とリリアナの二人で行ったことにしているので、リリアナ方はそのままC級への昇格が決まった。迷宮16階のグレーターウルフ相手もできるぐらいだしね。

LVは低くても実力は折り紙つきだ。そういうこともあってか、馬車の返還もスムーズに終わった。保証金も戻ってきたし、盗賊から巻き上げた分も合わせて一気にお金持ちになった気分だ。


「ジュン様、今夜はこの街で宿泊されるのですか?」


「そうだね。ここから国境の街まで、大きな街は2つしかないみたいだし。街に泊まれる時には、宿に泊まろうか」


「ジュン様のコテージの方が、いろんな意味で安全性は高いと思いますが」


「まあね。入口を閉じちゃえば、城壁の中で住んでいるようなものだしね。なんだかんだと言って、魔物より人の方が怖いしね」


「では、この街では畜産物が豊富みたいですし、ミルクやチーズなどの食材を購入されてはいかがでしょうか?私の料理のレパートリーも増えると思います」


「そうなの?それじゃあ、是非買っておこうか。食材関係で必要なものとか全部買っていいからね。お金はたっぷりあるし。一応、リリアナもいくらかお金を持っていて」


そう言って、金貨10枚分ほど袋に入ったまま渡してあげた。


「えっ?」


「えっ?何?何か拙かった?」


「私にこんな大金を預けられるのですか?」


「大金だろうけど、問題ないよ。それに、ある程度持ってた方が、自由に使えて便利でしょう?」


「私、金貨とか持ったの初めてです」


「俺も最初、王都でゴブリンの集落を殲滅した時の報酬で金貨を貰った時は嬉しかったなぁ、そう言えば・・・」


「ゴブリンの集落の殲滅ですか。ジュン様なら容易いですね」


 そんな会話をしながら、街の市場を練り歩いて、ついでにいろいろ食材を買い込みながら、冒険者ギルドで教えてもらった宿に着いた。超高級とまではいかないけど、それなりにいい宿だった。食事もおいしかったし、リリアナも料理のレパートリーが広がったと喜んでた。


 部屋に戻って、お風呂上がりに、魔法の練習をやってみた。今度は、光球を使うのではなく、テーブルの上のろうそくを使ってみた。ろうそくの火を両手で挟むようにして風を起こす。最初俺が手本を見せて、その後リリアナの手を後ろから抱きかかえるようにして俺が包んで魔力を流して、徐々に俺の魔力を消していくと、リリアナの魔力だけでろうそくの火が揺れるようになった。


「ほら、今揺れてるのは、リリアナの魔力だよ。俺の魔力は流れてないだろう?リリアナの風魔法が発動してるよ」


「本当に、私、魔法が使えるようになってるんですか?」


「大丈夫だよ。後は、この感覚をきちんと認識してコントロールできれば大丈夫」


今度はリリアナの目の前に、


光球ライト・ボール


そう言いながら、俺が光球を出す。


「この光の球をリリアナ自身がしっかりイメージして作ってごらん」


 リリアナも、呪文を詠唱しながら光球を出してみる。かなり弱い光だけど、取り敢えずは発動した。ただ、消費SPが5。リリアナの最大SPが100しかないので無制限に練習できるわけじゃないだろうな。


「よしできた。初めてだけどうまくできてる。後は何度も繰り返して、イメージをしっかり保てるようになったら、大きさや持続時間も変更できるようになるよ」


「はい、ジュン様。私、本当に嬉しいです。私も魔法が使えるなんて・・・」


「明日は風魔法の練習もやってみようか。さっきろうそくの火を揺らせたんだから、風魔法も使えるようになるよ。頑張ろう」


「はい、ジュン様」


 その後、リリアナは夜遅くまで、光魔法の練習をしていた。ある程度コントロールできるようになったら、回復魔法を実演してみて練習させるかな。低位の回復魔法なら消費SPが10程度だし、十分練習できるだろうしね。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
[気になる点] 盗賊団の盗伐というのも、B級昇格の課題になるらしい。 ×盗伐○討伐
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ