獣耳っ子遭遇
気がついたら、こうなってたと。
んー、これって厄介事だよね。
「君、大丈夫かい?ホーンラビットが角からぶつかったのに、それを跳ね返すとか。」
「えっと、まあ大丈夫みたいです。」
「ふむ、丈夫な身体をしてるんだね。身体強化のスキルでも持ってるのかい?」
「えっと、どうなんでしょう?」
「頭でも打ったか?君、自分の名前がわかるかい?」
「美空潤」
「ミソラジュン?変わった名前だね。人族みたいだけど、人族には変な名前を付けるのがはやってるのかい?それで年は?」
「26」
「おいおい、こんな形した26歳があるかね。どうみても成人前だろう。」
「えっとここはどこでしょう?」
「本当に頭でも打っちまったかね。おい、リリアお前も知らんふりしないで何とかしろ。大体お前の逃がした、ホーンラビットでこの子が怪我をしたんだぞ。」
「リリアは悪くない。その子が急に飛び出してきた。」
「お前、何言ってんだ。子供がホーンラビットにわざわざ当たりに行くか。」
「本当のこと、その子が急にホーンラビットの前に現れた。」
「はいはい、全くお前は自分の責任逃れは一人前だな。そんなんじゃ、いつまでたってもD級に上がれねえぞ。」
「本当に、その子が急に飛び出してきた。リリア悪くない。」
「あー、僕は大丈夫です。えっと、僕もぼんやりしてました、済みません。」
「まあ、怪我もねえみたいだしな。それでどうする、このホーンラビットは結局、君が倒したんだけど。ぶつかった拍子に首の骨でも折ったんだろう。」
「どうすると言われても、どうしたら。それよりここはどこですか?」
「ここはどこですかって、ほれあそこに見えるのが、ゴートン王国の王都だ。ここは王都の西門から出た森の側だ。」
「君、えっとミソラジュンくんは、一人で出てきたのかい?誰かと一緒かい?」
「えっと、多分一人です。」
「まあそうだろうね。こんな子供をこんな場所に一人にする親はいないか。」
「ともかく、俺達はこれから王都に戻るけど、どうするね、一緒に戻るかい?」
「えっと、王都に行ってもどこへ行ったらいいのか。」
「やっぱり頭でも打ったかね。リリアお前ん所の孤児院の先生の所へ連れて行きな。」
「何でリリアが?」
「何でって、お前も無関係じゃないだろう。それに、俺が狩りに付き合えるのは今日までだからな。孤児院の先生に明日からのこと相談しとかないといけないだろう。俺は冒険者ギルドに用事があるからな。夜に行くと伝えといてくれ。」
「じゃあ、ミソラジュンくん、言いにくいな、ジュンくんでいいか?」
「はい、それでお願いします。」
「じゃあ、ジュンくん、まずはこのホーンラビットはジュンくんのものだから、自分で仕舞っておきなさい。」
「仕舞っておく?」
「ああ、枠がいっぱいか?じゃあ、取り敢えず、リリアお前が持っていってやれ。」
「何でリリアが?」
「つべこべ言わずに、さっさと仕舞ってやれ。」
「もう、アイテムイン」
俺を一睨みした後、ホーンラビット?に触れて、呪文?を唱えると、ホーンラビットが消えた。
それを見て俺が驚いた顔をしたんだろう、
「何よ、取らないわよ。あとで出してやるから、そんな顔しないでよ。」
「ああ、ジュンくんに断らずに決めちまって悪かったな。大丈夫だ、こいつは言葉は悪いが、悪い子じゃねえ。それに冒険者だからな。犯罪を犯せば冒険者ギルドからペナルティーが科せられる。降格か罰金、最悪、除名もある。そんな記録が残ったら冒険者としては将来まで恥を晒すことになる。」
「いえ、済みません、ちょっと別のことで驚いて。リリアさん持って貰ってありがとうございます。」
「ほう、なかなか礼儀正しいじゃないか。どこかの大店の子か?貴族じゃなさそうだし。まあいいや、日が暮れる前に王都に戻るぞ。」
そのまま、フルアーマーを身につけた大男と
リリアと呼ばれる少女に連れられて王都に入った。
そう言えばリリアって少女、頭に獣耳がのってるけど、あれって本物?
獣耳カチューシャって落ちだったりしてね。