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迷宮地下10階到達

地下8階に降りる通路で、一旦休憩。昨日と同じように、骨付き肉を出してあげたら、大喜びしてくれた。


「ルリは何時ぐらいまでに帰らないといけないとかある?家族は心配しない?」


「私は一人で暮らしてるのでそう言うのはないです。ポーターをやっている人は、大抵そうですよ。旧市街の方に空き家があるのでそこに住んでます。今日は遅くまで探索の予定ですか?」


「2階層を探索するのに午前中いっぱい掛ったからね。夕方に戻るならそろそろ引き返すか、逆に、10階まで進んでボスを倒して転移水晶で戻るか迷ってる。」


「10階ですか?確かに、ジュンさんなら、問題ない様な気もします。ここまで全て一撃ですし。普通は数人がかりで倒すと聞いてますけど。」


「まあ、この槍がいいからかな。このレベルの魔物なら大丈夫そうかな。それで、ルリが多少遅くなってもいいなら、10階まで進みたいけどどうかな?勿論追加の料金は払うよ。」


「いえ、本来24時間の料金ですから大丈夫です。ジュンさんが問題なければ10階まで行って帰ると言うことで。ポーターなのに今日は核の剥ぎ取りもしてないですし。」


「素材の剥ぎ取りは後日地上でゆっくり依頼するかな。」


「了解しました。では先に進みますか?」


地下8階も、森と言うか、草原みたいな感じだった。

通路と言うか、道が広いので、大型の魔物でも出るのかと思ったら、シープシープという見た目かわいい凶暴羊や、ブラックバードというツバメみたいに高速で飛んで来る魔物がいた。

まあどっちも結局、俺の方に近づいてくるので返り討ちだけどね。

バードの方は、数体の仲間がやられると逃げると言う知能はあるようだけど。

いずれにせよ、空間が広く、迷路もなかった分、下への通路はすぐに見つかった。

ちなみにいつ獲得したのか解らないけど、投擲術スキルを習得していた。

道理で飛んでる鳥に手裏剣が当たるようになった訳だ。


地下8階は探索してない範囲が圧倒的に広いと思うけど、俺達はそのまま地下9階へ進んだ。

地下9階は、それまで明るい外みたいなフィールドだったのに、一変して、洞窟っぽい感じになった。


「あの岩の所に何かいます。」


9階に降りてすぐに、ルリが警告してくれた。

岩壁みたいな通路が続いているけど、よく見ると一部岩が盛り上がっている。

こいつも擬態するタイプの魔物かもしれない。

一気に跳躍して、一突き。

ガッツと岩に槍を立てた手ごたえと音。

でも次の瞬間、その部分の岩がモソモソと動き出しだ。

背中一面が岩で覆われたトカゲみたいな魔物だ。

目を開けると岩に目玉がついてるみたいだ。

こっちに攻撃してくるのではなく、逃げようとしている。

すかさず三角飛びで壁の上から、逃げようとする魔物と蹴飛ばした。

ドカッと、背中から落ちる。

腹の方は普通って感じだ。

そのまま槍を突き刺すとあっけなく死亡した。


岩トカゲと言うらしい。

俺が名前を言うと、ルリが反応した。


「それって結構レアな素材が取れる魔物です。確か目玉がレア素材だったと思います。」


「そうなの?まあその辺りも地上に戻って、教えて貰いながらやろうかな。」


この階に出てきた魔物でもう一つ厄介だったのは、クレイゴーレムというゴーレムだ。要は土人形の魔物なんだけど、痛みがないのか、刺してもそのまま突っ込んでくる。

仕方がないので、鉄槍で腹の部分を地面に縫いとめて、一ヶ所ずつ鋼鉄槍で刺して急所を確かめてみた。

結局核を取り出さないとダメみたいだ。

槍で突くと砕けてしまうので、槍のお尻の部分で心臓部分を正確に撃ちぬくことにした。

ただ、このクレーゴーレムって言うのは、身体を作っていた土が上質の粘土でそのまま素材になるらしい。

建材として高値で売れると言うので、そのままアイテムボックスに放り込んでおくことにした。

どれだけでも入る俺のアイテムボックスを見て何か問いたそうな顔をしてるけど、ルリは何も聞いてくることはないようだ。

こう言ったことを詮索するのはタブーなんだろうな。


途中そう言った検証も行ったけど、16時ぐらいには、地下10階に到達していた。


「意外と早く来れたね。やっぱりルリの探知のお陰だね。」


「いえ、ジュンさんが途中の魔物をほとんど一撃で倒すので、時間を取られないのだと思います。」


「まあともかく、何とか10階のボスを仕留めて、転移水晶で帰りたいね。」


地下10階は、これまでと違って、洞窟内部の構造なのに天井が高い。巨人系か飛行系の魔物なのかもしれない。


10階に降りてしばらく進むと、俺にも感じられるぐらい、大きな魔物の気配。

あーこれって、ブラックグリスリーだな。ボスとしてだけじゃなく、フィールドでも出るのか。

そう思ってたら、ブラックじゃなく、ブラウン系のグリスリーだ。

まあ、似たようなもんか。

そう思って、駆けだして行って、首を狙って一閃。

固い。

骨まで通らず、皮膚を滑って槍先が抜けた。

反対に着地して、そのまま連撃。

腕を振り上げたままの態勢で絶命してくれた。


まあ最初の一閃で、のどの大きな血管が切れて絶命してたのかもしれないけど。

しかし固かったな。

念のため、槍を一閃すると、今度はスパッと切れた。

つまりさっきのは、こいつが何らかのスキルを使って防いだってことか?

そう思って、情報を確認すると、あった、身体強化スキル。

なるほどな。

魔物でもスキル持ちがいるんだな。


そんなことを考えてたら、ルリが、


「ジュンさん何かあったんですか?」


「あーいや、こいつ結構首が固かったから何かあるのかなって思ったんでけど、俺の振りが甘かったようだ。」


「そうなんですか?私には、ちゃんと見えなかったんですけど、魔物は反撃もできずに屠られてたように見えましたけど。」


「まあ、そうなんだけどね。もっとスパーっと倒せたらなーとか。」


「地下10階の魔物相手に反撃も許さずほふれている時点で凄いと思いますけどね。」


まあ、強敵らしいのは、最初のこいつだけで、次からは、連撃でほふったし、アースゴーレムっていうクレイゴーレムの上位版みたいなやつも、核狙いで問題なかったし、3時間でボス部屋の前に来ていた。



「さあ、いよいよだね。戻ったら時間も遅いしご飯を食べようか?ルリも一緒に行こう。」


「私ですか?食堂とかで食事とかしたことないです。」


「よし、おいしいご飯の為にもうひと頑張りだね。」


装備を点検して、2人でボス部屋の転移水晶を触って、中に入る。

中には、オーガの変異種がいた。


「ゴルラララー」


俺達が転移して来ると、いきなり吠えやがった。

一緒に転移してきた、ルリはそれで恐慌状態になったようだ。

身体が硬直している。


「大丈夫。ルリはそこで見てて、サクッと始末してくるし。」


そう言って、10mぐらい離れた場所にいるオーガに向かって行く。

絵本とかで見た青鬼さんみたいだな。

そんなこと思いながら、オーガの繰り出す、棍棒の一撃を直前でオーガの左方向に跳躍して回避。

跳躍前に棒手裏剣を飛ばしている。

目の前に飛んできた手裏剣を左手で払うように腕を上げる。

オーガの左わきが無防備になる。

オーガの左に着地して、すかさず、脇の下から、槍を突き刺す。

オーガの皮膚は固いんだけど、この部分は他と比べて防御が弱いらしい。

左わきの下から突き刺した槍が、オーガの左胸を突き出て止まる。

このまま倒れると面倒なので、すかさず槍を戻し、そのままアイテムボックスに収納。

うん、計画通り。

人型の大型魔物相手に考えてた攻略方法だ。

特に右手に武器を持ってるようなやつならまず初見でかわすのは無理だと思う。

まあそのために俺も日々鍛錬してるんだけどね。

お陰で挌闘術のスキルもついたしね。


「凄い、凄いです、ジュンさん。」


硬直から解けたようだ。まあ無事でよかった。

ボス部屋の敵が2体とかだったら拙かったな。

その辺りも今後の課題だな。



その後、地上に戻り、今日は素材の買い取りはなしって言うことでそのまま俺の宿に向かった。おいしい食堂はここしかしらないし、ルリも知らないって言うしね。


「お疲れ様。じゃあ好きな物食べていいよ。勿論俺のおごりね。」


「えっと名前を見てもよくわからないのでお任せで。」


今日のお勧めは、ホーンラビットのステーキと、ホワイトシチューってことなので、両方もらった。サラダや、パンもたのんでテーブルの上に一杯だ。


「夢のようです。こんなにたくさんの料理。」


「まあ今日は10階到達のお祝いだからね。また明日から頑張って貰うし。」


「まだ雇ってもらえるんですか?中層以降だと私は足手まといになりそうですが。」


「ルリが問題なければお願いしたい。ルリの探索能力は凄いし、ルリがいなかったら2日で10階まで来れなかったよ。」


「そんなことはないと思いますけど。ジュンさんなら誰と組まれても、いえ一人でも最下層まで行けると思います。」


「それはどうかと思うけど、まあ15階には早いうちに到達してみたいかな。」


「15階ですか。私たちには夢の階層です。私この前まで5階にすら到達してなかったのに。今ではトップポーターの人と同じ10階到達者になれました。ありがとうございます。」


そのあといろいろおしゃべりして、ルリの過去の話や今の状況なども少しわかった。今は少しずつお金を貯めて、もう一度冒険者で上を目指したいようだ。

そしてルリの話しの中で、この先俺が探索なりして深く潜るなら、早いうちに戦闘奴隷を買った方がいいと勧められた。

戦闘奴隷も、戦闘技術と言う自分の能力を最大限に生かしてくれる御主人に買われるなら嬉しいらしい。

寧ろ貴族の護衛とか、大商人の護衛とか要は何かあった時の為の弾よけみたいにして飼殺されるよりは、探索者や冒険者等と一緒に戦える環境で生活できる方がいいと考えているみたいだ。

俺が、冒険者とパーティーを組むタイプならそれを勧めたんだろうけど、基本、人間を信じられないからね、そう言うのを感じて、絶対に裏切らない戦闘奴隷をって考えたのかもしれないな。


食事の後、いろいろ話しこんで遅くなってここから家までかなりありそうなので、このまま宿に泊るように勧めた。

勿論俺が費用を払うしってことで。


「今、ツインの部屋が1つしか空いてないけど、そっちに移ってくれるんだったうちも助かるけど。一ヶ月分前払いして貰ってるし、部屋を綺麗に使ってくれてるみたいだしね。どうだい。追加銀貨25枚でツインルーム一ヶ月契約でいいけど。」


「ジュン、私はいいよ、こんな綺麗な宿とか、贅沢だし。」


「これから野営とかもあるかもしれないし、一緒に泊ることも出て来るかも知れない。一緒の部屋でよければ、ここに移って来るか?」


そのあと、遠慮してたけど、やはり綺麗な宿に泊る魅力が勝ったようで、結局ツインルームに移って、一緒の部屋で泊ることにした。

熱いシャワーを浴びたのを初めてだとか、こんなにいい石鹸で身体を洗ったの初めてだとか、興奮してたけどベッドに入ったら、そのまま寝入ったようだ。


俺も簡単にシャワーを浴びて寝た。

勿論、ウフフ的な展開はない。

多分、ルリって13歳か14歳ぐらいだと思うし、俺にはロリ補正はないし、全く。

どっちかと言えばマリアさんか、シャルルさんだよなーとか考えながら、今日も魔法練習をしているうちに眠った。


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