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ゴードン王国迷宮都市

迷宮都市までは順調だった。

何もなし。

だらだらと続く街道、草原、林、川などを通り過ぎその日のお昼過ぎには到着だ。


迷宮都市は国王の直轄地で、元々迷宮しかなかった場所に人々が集まって街を形成したようだ。

王国が積極的に街づくりをした訳じゃないので、王都みたいに立派な城壁や、街の区画があるわけではなく、迷宮を中心に同心円状的に広がって出来た街だ。

と言うことで街中も元々あった城壁の一部がそのまま残っていたり、道もつぎはぎっぽい感じで、一言で言えば猥雑な街、でも活気のある街だった。


ここに来ればもしかしたらドルガーさんとバッタリ会うとかも期待したけど、とてもじゃないけど偶然に出会うとかないだろうなって感じだ。

尤も、一ヶ所しかない迷宮に潜るのだからいつかは出会うだろうけど。

ともかく、資金はそれなりにある。

まずは宿泊場所だな。

そう思って、取り敢えず、この街にある冒険者ギルドに行って情報を集めることにした。

王都のギルドはハロワみたいにきちんと整理され、中にいる冒険者も割と大人しいと言うか普通だったけど、ここでは、ここって盗賊のアジトか何かかって思うほど凄い防具をつけ、武器を持ち、獣人が多いけど奴隷を従えたグループがたむろしていた。

俺が中に入ると、一瞬こっちに目を向けるけど、武器も防具も装備してない人族の子供一人だし、すぐに興味を失くしてくれたので、俺はスムーズに受付の前に行けた。


「済みません、さっき王都から着いたんですか、この街で長期間泊まれるお勧めの宿とかありますか?」


「ようこそ、ゴードン冒険者組合迷宮支部へ。お連れの人はいますか?」


「えっと、僕ひとりなんですけど。」


「冒険者カードをお持ちですか?」


「はい、ここに」


「えっ?」


一瞬、受付のお姉さんの素の声が聞こえた様な。


「それで、ギルドで宿を紹介して頂けると、本部?の受付のお姉さんに言われて来たんですけど。」


「ああ、はい。済みません。宿ですね。長期でしたら部屋貸しや貸家などもありますが、宿の方がいいですよね?」


「そうですね。料理とかできないですし。」


料理スキルはあるけどね。


「でしたら、この南大通り沿いにある、日向亭がよろしいかと。一泊銀貨3枚ですが、お部屋は綺麗ですし、シャワーも部屋にありますので、迷宮探索で深夜までかかっても自由に汗を流すことが出来ます。あと宿に食堂が付いていますので食事もそちらでとることが可能です。宿泊者にはサービスメニューもありますしお得です。」


「ご丁寧にありがとうございます。迷宮探索ははじめてなんですが、何か準備する物などありますか?」


「そうですね。一応、5階ごとのボス部屋の先にある転移水晶を使って地上に戻れるですが、一度その階まで達してないと入り口からその階には戻れません。パーティーと一緒でも一番到達階数の低い人に合わせられますので、同じレベルの人とパーティーを組むか、今後のことを考えると、戦闘奴隷兼ポーターとなる奴隷を連れて探索を始めた方がいいと思います。5階までならそれこそ日帰りでもどれますが、10階層より下ですと、一階層探索するのも一日掛りになるので、いずれ迷宮内部での野営が必要になります。その際に同行できるポーターがいないと野営の荷物を持ち込むことが出来なくなりますから。迷宮の入り口には、野良のパーティー募集者や、野良のポーター募集などをしている人がいますが、慣れない内は、そう言った人との探索は控えた方がいいと思います。迷宮内ではいろいろと周りの目が届きにくいですし、迷宮から戻った後の素材の配分などで揉める場合もありますから。」


「いろいろありがとうございます。参考にさせて頂きますね。」


「ああ、それから武器や防具などはなるべく予備を持っておかれた方がよろしいと思います。C級の方ですのでこのようなことはご存知だと思いますが、やはり普段身につける防具以外にもう一つは、枠を空けてでもお持ちになった方がいいですよ。フィールドとは違って、迷宮内は何があるか分からないですし。」


「いろいろありがとうございます。そうですね、先に武器や防具も揃えておきます。お勧めの鍛冶工房などありますか?」


「お勧めは特にないですが、北大通り沿いに鍛冶師の工房が集まっているので、そちらでお求めになるのがよろしいかと思います。」


「そうですか、ありがとうございます。」


なかなか親切なお姉さんだった。今度名前を聞いておこう。

それにしても戦闘奴隷か。

まあ、奴隷が当たり前にある世界だしな。

奴隷が悪ってことはないのかもしれないな。

寧ろセーフティーネットか?

そう言えばスラム街とかはなさそうだしな。

貧乏ではあるけど、ギリギリ生活はできてる感じだし。

どうしてもだめなら借金奴隷になって最低限の生活は確保って感じみたいだしな。

酷い扱いを受けてる感じもないし。

第一、普通の商人みたいな人も荷物持ちの奴隷を連れてるしね。

栄養状態もよさそうだし。

まあ荷物持ちだと体力ないとダメだからしっかり栄養は与えなきゃって感じなのかもしれないけど。


取り敢えず、紹介して貰った宿に割引があるって言う一ヶ月で予約して、

その後、今度は北大通りに向かって鍛冶工房を周った。

よく考えてみれば俺って、防具とか着けてなかった。

防具をつけるって習慣もなかったし。

持ってる鉄槍もドルガーさんに貰ったやつだしな。

この際、武器も新調するか。

まあ値段にもよるけどね。


鍛冶工房は予想してたよりかなり大きな地域だった。

大小様々な工房が並んでいる。

見た目で高そうってわかるやつとか、武骨な感じなもの、独特の形状をしているものなど。

いろいろ触って情報を集めた結果解ったことは、武器や防具には品質レベルがあるっていうこと。

普通はこの項目は出て来ないけど、劣悪、最高級、達人級の場合は項目が出るようだ。

劣悪のやつは見た目は解らないけど、内部が変なのだろう。

このことに気がついて、達人級をチェックしたけど、値段が高く購入は無理っぽいので、最高級のランクの物にした。

ただ、この品質レベルランクはお店の人も気がついてない感じだ。

流石に達人級の場合、素人が見ても業物わざものって雰囲気が出てるから、お値段も跳ね上がっているけど、最高級のやつは普通の物と同等の扱いだ。勿論、劣悪品質の物も一緒に置かれている。

今手持ちは金貨60枚ちょっと。

達人級だと金貨10枚以上する。

防具一式で揃えたらそれだけで手持ちがなくなる。

ちなみに、防具は、靴、ズボン、上半身、腕、籠手、盾、首、頭の大きく分けて8ヶ所だ。

で俺の場合には、盾、首、はパス。

腕もガントレットタイプを左手に嵌めてればいいかなーって感じだ。

従って5ヶ所を揃える予定。

武器は、腰に差して持っておけるナイフと、片刃剣、あと槍を新調する予定だ。


結局、防具はオーガの革にブラックタランチュアの裏地をつけて作られた最高級品が多く並べられていた小さな工房で揃えることにした。

革防具の専門の鍛冶職人みたいだ。

靴、ズボン、ベストみたいな防弾チョッキみたいなもの、両方の前腕から手の甲をカバーできる籠手、あと帽子だ。

全部で金貨15枚程掛ったけど、いいものを揃えられたと思う。

革防具は、サイズ合わせはいなないようだ。

簡単なベルトできっちり締められる感じ。

ウエストもズボンについた革ひもで縛るタイプなので問題ない。

靴はある程度のサイズが準備されてたので大丈夫だった。


早速着替えたら冒険者っぽくなった。

一式そろえてるから、全身黒っぽい感じだけど。


武器の方は、ナイフと片刃剣はすぐに決まったけど、槍が悩んだ。

いいものを見ると欲しくなるけど、金貨50枚程するミスリルの槍とか言うのはかなり心を動かされた。

でも品質が普通みたいだし、今買わなくてもいいかってことで納得した。

その代わり、鉄槍でも最高品質のものをたくさん置いている工房で、鋼鉄槍の達人級の物を購入した。

金貨10枚した。

通常の鋼鉄槍が金貨1-2枚程度なので、実に5倍から10倍もする。

しかし、剣や魔物と打ち合うことを想定した作りで、芯自体は固い木だけど、鋼鉄を薄く引き延ばした柄の部分に巻いてあり、柄のお尻の部分にも鋼鉄を使ってあるので、打突武器としても使える一品だ。

実は、この槍を作った工房の親父さんは寡黙な人みたいで、俺の使っている鉄槍を見せたら、


「ふん」


と一言発して、奥からこの鋼鉄槍を持ってきてくれた。

弟子である店員さんに言わせれば、俺は気に入られたらしい。

使いこまれていた鉄槍の手入れが良かったらしい。

まあ長く使ってきちんとメンテしてたのはドルガーさんなんだけど、その後素振りをしてみろという、「ふんふん」という親父さんの合図で、鋼鉄槍を使ってしばらく素振りをしたのも気に入られたらしい。

店員さんも、よくこの槍をそこまで長く振えますねとか言ってたから、多少俺の槍術のスキルが上がっているのかもしれない。

まあそこまでされて要りませんとは言えなかったので購入することになったんだけど、よくよく考えてみれば、達人級の品質武器だとこの値段の倍はするよなーと思って、かなりおまけしてくれたんだと気がついた。


王都では武器を携帯したまま歩いている人は稀だったけど、ここでは普通に武器を携帯して歩いてるし、俺も槍は邪魔だから片手剣とナイフは携帯して宿に戻った。

出て行く時には普段着のままだったのに、帰ってきたら新品の防具に身を包み、武器を身につけているので、宿のお手伝いなのか奴隷なのか分からないけど、とにかく小僧さんはちょっとびっくりしてたけどね。


「夕食はもう食べれますか?」


「はい、大丈夫です。今日のお勧めメニューなら、宿のお泊りの方なら銀貨1枚です。」


「じゃあ、先に食事を貰えるかな。」


「ではご案内します。朝食は朝9時までやってます。迷宮に入る前によかったらどうぞ。」


「朝食はいくらなの?」


「好きなだけ食べて、大銅貨5枚です。」


大銅貨1枚もあれば露店でかなり大きなサンドイッチみたいなもの買えるけどね。食べ放題ならお得なのかな?まあ朝のメニューを見て決めるか。


夕食は、トロトロに煮込んだビーフシチューみたいなものだった。相当に美味い。

これって当たりじゃない?って思うほど。

流石冒険者ギルドが勧める宿だなぁとしみじみ思った。


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