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第四章 支部団長
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「それで尚は何を企んでいる。ワシが知らないと思っているのか。」
京との話が終わった尚に扇が問う。支部団長と言う立場以上に、団員の顔を把握している扇。周りに倒れている団員が何処の所属であるか、何が起き始めているのかを悟っていた。
「あ〜、そうですねぇ…。俺には敵がいるって事ですかね?」
「そんな事は分かっている。実力主義を通しているのも、ここに弱者は不要だからだ。最近6番7番の動きに不審が見える事、ワシが気付かぬと思ったか。」
あくまでもごまかそうとする尚に、はっきりと告げる。扇は実力主義を唱えるだけあり、自らの身も自分で守るという徹底だ。実力があれば、いつでも支部団長の地位を取りに来いと団員に伝えてある。
「いいえ。ただ、確たる証拠がないのです。」
「それでもだ。こんな地位など、欲しければいつでもくれてやる。ただし、実力で奪いに来る奴にだ。」
十年も支部団長という地位にありながら、一切己の私腹を肥やす為に力を使った事はなかった。正義を語るつもりは毛頭ないが、己の方針を捩曲げる気は全くない。
「だからこそですよ、団長。俺は団長を守るだなんて痴がましい事は言いませんが、他の奴が団長になるなんて冗談じゃないですっ。」
熱く語る尚。京はそんな彼を不思議そうに見ていた。
他の者に対していつも朗らかな態度である尚は、どんな時も真剣さがあまり感じられない。怒っている時でさえ、フワフワとしたイメージを受けるのだった。然しながら、今の真剣な顔と熱い瞳。扇に対し、団長だからと言うのではない信頼をおいているのが分かる。
「ワシが団長でなければ、尚は共におらぬと言うのか。」
「ち、違いますっ!」
「では問題ないだろう。」
「…話したらどうだ、尚。」
次の言葉が出なくなった尚に対して、今まで黙っていた京が口を開いた。
「っ?!…京、お前まで。」
「平行線だろ。気付いたのなら話しておくべきだ。ゆっくりしているとコイツ等が意識を取り戻す。縛るなり潰すなりしたほうが良い。」
潰した方が一番だが、と京が呟く。
「潰すって…、それはマズイけど。分かった、分かりました。では団長、少々お耳を拝借致します。」
諦めたような開き直ったような尚は、渋々といった感じながらも扇に事の次第を話したのだった。




