4−11
第四章 支部団長
11
扇のテントを出て少し歩いたところで行く手を塞がれる。同じく振り向いた後ろにも、団員の男が数人。京は無表情のあまり不機嫌にも見えないのだが、鋭い視線を前方の男に向けた。
「支部団長のテントに、お前ごとき新入りが何の用だ。」
面倒臭い、と正直思う。尚がいれば上手く対処してくれるのだろうが、京はこう言った状況下で下手に出るのは嫌だった。
「ナンバー5と何を企んでいるんだ。」
「コソコソと動きやがって。」
前からも後ろからも、小物程良く吠える。京は苛立ちを隠そうともせず、足を一度だけ踏み鳴らした。
「邪魔だ。」
低く呟き、そのまま進もうとする。だが足音にびくつきながらも、あくまでも京を通す気はないようだ。手に短剣を持ち、人気のないテント裏へ連れていこうとする。
イライラする。ぶちのめしても良いか?この場合、正当防衛が認められるのか?あぁ、どうでも良くなってきた。
短剣が頬に当てられた。一筋の赤い雫。次の瞬間、京がキレる。即座に拳を振り回し、三人の団員を昏倒させたのだ。
「お、お前っ!」
残った四人の団員が構える前、内二人に足蹴りを食らわす。鳩尾をクリーンヒット、呻く暇もなく昏倒。素手の京に対して二呼吸も持たなかった赤の旅団の男達だった。
「何してんの?」
声を掛けてきたのは尚。戻って来るのが遅い京を捜しに来たのだが、どうやら雰囲気が良くない。原因はどうであれ、京がのしたとしか思えない昏倒する団員が五人。
「ナンバー5…、覚えてろよっ!」
捨て台詞を残して走り去る二人の背を見送りながら、思わず大きな溜め息が出た。
「何なんだよぉ〜…。京、団の中での揉め事は罰則物なんだけど。」
「俺は知らん。」
ぼやく尚だが、京の頬に出血を見付ける。
「まぁ、反撃だったんだよね?少し過剰防衛気味だけど、仕方なかったんだよね?」
「勝手に結論付けか。」
「仕方ないじゃん、俺は上官なんだから。責任問題なんだよね、こういうの。あの逃げて行った二人、ナンバー6の部下だしさ。ここは団長に見付かる前に…。」
「証拠隠滅か。」
「うん、そう…って!だ、団長っ?!いつからそこにっ?」
京に話していたのだが、いつの間にか背後に支部団長の扇。そして背中に完全に隠れて見えなかったが、響が並んで立っていた。




