4−9+《Ⅱ》
第四章 支部団長
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《Ⅱ》
「京、話がある。」
あれから何日か経ち、いつもの魔物狩りから帰って来たところで尚に声をかけられる。
「何だ、尚。」
「いや、ここじゃちょっとな。部屋に行こうぜ、京。」
それならば呼び止めなくても自室テントに戻ったのに、と不満げな京。変わらず二人同室テントを使用しているのだから、わざわざ人前で呼び止める必要はないはずなのだ。
故意に、か?二人で密約か何かを交わそうとしていると、誰かに伝えたかった…とか。
いつもと違う尚の様子に、京は変に勘繰ってみる。とにかくそのまま二人して無言で尚のテントに向かった。
「で?…何を企んでいる。」
テント内の京の定位置であるベッドに腰掛け、腕を組んで尚に問う。
「むふふっ、さすが京だね。」
気持ち悪い笑い方をして、尚は伝言用黒板を手に取った。
『前に俺達を睨みつけて来た奴等、覚えてる?ナンバー6と7ね。』
手が止まったところで京は頷く。
『アイツ等が今度の移動に何か企んでるみたいなんだ。これ、俺の信頼ある筋からの情報ね。』
再びここで止め、一度黒板を消してから文字を連ねる尚。表情は至極真面目で、いつものふざけた感は全くなかった。
『団長を亡き者にしようとしている。』
綴られた文字は予想されたもの。京にとっても扇の存在は邪魔だ。だからといって命をどうこうとは思わない。
『阻止したい。手伝ってくれるか?』
あんな男達に痛手を負うとは思えなかったが、卑怯な方法はいくらでもあるのだ。京は無言で頷く。響の封印を解く前に死んでもらっても困るからだ。
「んじゃ、話はそういう事で。あ〜、良かった。京なら分かってくれると思ったんだよ。ってか、内緒だかんな?」
いつもの調子に戻った尚。聞き耳を立てている者にでも告げているのだろう。実際に筆談を使う場合も考慮してのスパイかは不明だが、尚の使った文字は響と同じ砂の大陸の物だった。京は試しに、雪の大陸文字で黒板に綴る。
『お前は馬鹿か策士か』
一瞬キョトンとした尚も、次の瞬間にはニッと笑ってみせた。
「さぁね?案外、前者かもよ?」
やはり読めている。京は砂の大陸から来た事は言っていない為、読めなかったらどうするつもりだったのかは聞かないでおく事にした。




