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星の雫  作者: まひる
第四章
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4−8

第四章 支部団長



 遠くに物音が聞こえる。それに呼ばれるように意識が浮上した。ボンヤリと瞬きを繰り返し、ヒビキは背中の温かさに気付く。首を軽く動かし、背後にいるキョウの姿を確認した。


「おはよう、響。」


 知っている柔らかい声。響は口パクで『はよ』と答える。いつも京は、軽く身動ミジロぎしただけの響に気付いて起きるのだ。


「どうした?」


 問われ、首を横に振る。久しぶりの安心感に満ちた朝だが、いつまでも感慨に浸っている場合ではなかった。支部団長のオウギが来る前に支度をしようと、響は起き上がろうとする。


「っ?!」


 だがそれは、身体を強く抱きしめる京によって阻まれた。軽く睨みつけると、より強く腕を回される。


「っ!…っ!」


 あまりの強さに腕をパンパン叩いて抗議。ヨウヤく腕の力を抜いてくれた頃には、響は苦しさのあまりに呼吸が乱れていた。


「朝から面白い。…ほら、お迎えだぞ。」


 ワザとらしい。京の言葉に視線を上げると、テント入り口に扇が立っていた。慌ててベッドから飛び降りるが、その際に京を蹴り飛ばしてやる。


「痛いぞ、響。」


 大して痛くないくせにと、響は舌を出して半身起き上がった京に抗議した。


「ふむ、面白い。京とやら、随分と銀狼が懐いているようだな。昨夜とは見違える程元気になったのは、何か特別な方法があるのか?」


 二人の様子を見て、何より響が元気になったのが嬉しい扇。駆け寄ってきた響の頭を撫でながら京に問い掛けた。


「いや…別に。」


 昨夜の事を思い出し、励まされたのはどちらかと考える。響がいつもの元気を取り戻したのは確かだが、京にしてみれば自分が何かをしたという覚えがなかった。


「そうか、知りたかったがな。京は銀狼を返して欲しいか。」


 新たな問い掛けに、京は僅かに目を細める。


「響はものじゃない。声を奪って飼い馴らそうとしても無駄だ。」


 明らかな反発。だがこれは、響に悪影響を与えはしないと判断しての京の本心だった。


「ふむ。それはお前の意見として聞いておこう。行くぞ、銀狼。」


 それだけ言うと扇は踵を反す。響は小さく笑みを浮かべると、京に軽く手を挙げて扇の後を追った。


 はぁ…。あの扇と言う男、赤の旅団を纏めるだけはある。一癖も二癖もあるな。


 心の中で溜め息をつき、何事もなかったかのようにナオのテントへと戻って行く。今日もいつものように魔物狩りをして、いつものように訓練。赤の旅団とは言え、組織とはそういうものかもしれなかった。

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