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第三章 赤の旅団
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適当な場所に腰を下ろして一息つくすと、京は先程の響の様子が気になる。首輪をつけられ、鎖に繋がれたまま連れて行かれたのだ。
尚に聞けば、団長とやらのテントを教えてくれるだろうか。…だが聞いたところでどうする。今の俺に、魔法の使えない響をここから無傷で助け出す事が可能なのか。
「なぁ…、京はアレと知り合いなのか?」
突然問い掛けられ、京は無言のまま視線を向ける。謀って良いものなのか、判断がつかなかった。
「ま、良いけど。…団長は無茶苦茶強いからな。実力主義ってこの北の大陸支部だけどさ、もう十年も団長替わってないんだよね。あの熊みたいな巨体から繰り出される攻撃ってばさ、本当に魔物と変わらないんだぜ。身長220センチって、成長し過ぎだっつうの。」
尚が独り言のように話す事を静かに耳を傾けて聞く。確かに、隣にいた響が子供の様に見えていた。
「お節介だな。」
「ん?気付いたのならオーケーさ。とにかく、牙を剥く相手は良く見る事だな。」
「忠告として受け取っておく。」
「そーしてくれると助かる。俺も、せっかくの部下をみすみす失いたくないし。」
そしてニッと歯を見せて笑う。
いつものように大きな椅子に腰掛けた扇の膝に座らされている響。抵抗して無駄な事は散々昨日叩き込まれた為、不機嫌な表情のままされるがままにしていた。
「あの新入りは知り合いか、銀狼。」
不意に問われ、身体が思わずピクリと反応する。些細な動きも、膝の上という密着した状態ではすぐに伝わってしまった。
「そうか。だが逃がさんぞ。」
はっきりと告げられ、響は胡乱な視線を向ける。喋る事が出来ないので睨みつけるだけだが、何故そうまでして響を離さないのかが分からなかった。
「お前が逃げないのであれば、鎖は外しても良いがな。」
大きな手で頭を撫でられる事も、初めは頭ごと握り潰されそうで気が気ではなかったのだが慣れるものである。まるで猫を膝の上で愛でる厳ついセレブリティーだ。勿論、熊に抱き抱えられたリスの心境ではある。
「どうだ?」
改めて問われ、少しでも不自由がなくなればと頷いた。
「必ずワシの見える場所にいるんだぞ。破れば分かっているだろうな。」
再度の確認。扇が躾と称して響に加える力は、犬の躾と変わらない。傷付かぬ程の、だが圧倒的力の差をまざまざと見せ付けるものだった。




