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第三章 赤の旅団
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「団長、いらしていたのですか。」
互いに力が抜けたのを確認すると、尚はすぐさま剣を雪に突き刺して片膝をつく。京は尚と呼ばれた男を見遣りながら大剣を肩に担いで、団長と呼ばれた先程の声の主に視線を移した。そして心臓が止まるかと思う程の衝撃を受ける。
響…っ!
大柄な熊男の背に隠れるようにして、鎖に繋がれた響がいたのだ。服装は多少変わっていて、首を通さなくても良い格好をしている。だが見間違えるはずもなく、少し長い栗色のくせ毛も金色に近い薄茶色の瞳も響のその白い肌を際立たせていた。
「尚、足が動いたな。」
「はっ。この者、中々面白い男です。」
「気に入ったのなら好きにするが良い。」
「はっ。有り難く頂戴致します。」
そんな話が扇と尚の間に取り交わされていた事にも気付かない程、京の意識は響だけを見ていたのである。だが無表情の京の変化に誰も気付かなかった。
何でアイツが…。くそっ、んな目でオレを見るなよっ。
ただ一人、響を除いて。
扇に鎖を引かれて連れていかれる響を見送った京は、滾る血を必死に抑えつつも尚に問う。
「あの鎖に繋がれた奴は?」
「あぁ、昨日拾って来た魔導師だ。ってかお前、喋れたんだな。」
ぞんざいな口の利き方も気にせず笑いかける尚。それでも京の視線の先に、既にこの場にいない魔導師を見ていると気付いた。
「アレは駄目だぜ?団長のお気に入りだからな。今までの色んな奴等は連れて歩く事なんかなかったのに、アレは片時も御傍を放さん。」
溜め息混じりで答える尚。
「首輪してた。」
「あ、それも特別製な。魔導師封じ。声帯を麻痺させる魔法がかかっていて、声を出せなくしているんだ。」
問い掛けた事に丁寧に答えてくれる尚に、ふと京は首を傾げる。
「何故俺に親切にする。」
「ん?親切に気付いたのならオーケーだな。お前は今から俺の部下だ。俺は尚。お前は?」
「…部下?」
「あ、気になるところはそこ?お前は入団希望テストに合格した。で、俺が気に入った。団長の許しももらったから、お前は俺のもん。だから、名前は?」
矢継ぎ早に告げられ暫し困惑したが、響の存在を確認した今はここを離れる訳にはいかなかった。
「…京。」
「キョウ?明日じゃなくて、ね。おっと、そんな睨むなよ。宜しくな、京。」
そして手を差し出す尚だが、京はプイと顔を背ける。
「あ〜、俺は上官なんだけど…。ま、良いか。京のそのキャラも気に入ったし。」
腕を首に回して体重をかけてくる尚は、京よりも5センチ程長身だった。




