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第三章 赤の旅団
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「有り難く思えよ。で、早く治れ。」
薬を塗り終え、ベッドでグッタリとする京に告げる。
「あり…がとな、響…。手が荒いのは…仕方ないよな…。」
「遠回しに文句言ってるのか?」
「いや…。さぁ、寝るか。」
「ふん。」
少し拗ねた感じの響だったが、素直に片付けて布団に入ったのだった。
※
翌朝、ゴソゴソと動く気配で意識が呼び戻される。
「…おい。」
「あ、おはよう響。」
「何してんだ。」
「着替えさせてあげようかと思っ…デッ!」
足蹴りにより京の言葉が途絶えた。
響が寝ている最中、布団を剥ぎ取り服を着せようとしていた京。
「馬鹿変態ボケっ!次オレに触ったら、ぜってー魔法でぶっ飛ばす。覚えとけ!」
「良いじゃないか。脱がせるならまだしも、着せようとしていたんだぞ。」
「お前、今すぐぶっ飛ばされたいみたいだな。風の…。」
「分かった、響。魔法はやめよう。というか、宿屋に迷惑がかかるし。」
魔力を右手に集め始めた響に向かって、京は案外冷静である。響も宿屋に…と言われ、集め始めた魔力を拡散させた。
「じゃあ、メルテクの町に。」
「…一つ言っておくが、今回の依頼はお前個人の仕事だからな。オレはお前の仲間じゃない。」
「分かってる。あ…言い忘れていたが、雪山椒魚の報酬は半分響の方に入れてあるからな。」
「…ふん、余計な事を。」
一瞬唖然とした響だが、すぐにそっぽを向いて服を着る。
ハンター協会への報告は申告制であり、例え他者から奪い取った獲物でも申告者の報酬となるのだ。
「響、またサラサを借りるが問題ないよな?」
「…あれは気持ち悪くならなかった。」
「そうか。」
口角を上げて僅かに微笑む京。
「…お前って、分かりにくい笑いなのな。初めは無表情かと思ったけど、今は笑っただろ。」
「そうか?…確かに、響がサラサに酔わないなら良かったと思った。」
「何だそれ、オレかよ。とにかく、サラサはOKだ。」
服を着ながら答える。
「分かった、手続きをして来る。」
響の答えを聞き、すぐに京は宿屋の部屋を出て行った。




