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星の雫  作者: まひる
第二章
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2−21

第二章 戦い

21


「…いつまでくっついてんだよっ!」


 拳が伸びてくる。自己反省の終わったヒビキは、抱きしめるキョウの腕から勢い良く飛び出した。


 本当に油断も隙もない奴。酒が入ったり朝一番とかは、やたらにスキンシップしてくる。って、今日はオレがベッドに入って行ったらしいけど…知らないからオレは悪くないんだ。


 結論は自分は被害者だと言う事らしい。寒いのもあって急いで服を着る響。下着の上に黒いモコモコとした服を着て、皮パンツに獣毛コートを羽織るだけだ。


「本当に猫みたいだな。」


「何っ?」


「気まぐれで、我が儘で。それでたまに甘えっ子なんだ。小さい頃に飼っていたな、猫。」


「野性のあの獣をか?凶暴でずる賢い…、悪魔じゃないか。」


「響そっくり。」


「何だとっ!お、お前は大型犬みたいだぞっ。自己中で人の話を聞かないし、自分の気のままに人を引きずって歩いて行くんだ!」


「…飼っていたのか、犬。で、引きずられていたと。それは単に、響に忠誠を尽くしていないだけだな。犬は忠義を重んじて群れをなす生き物だからな。」


「ムッ!」


 響の言葉全てを返してくる。やはり、京には口でも敵わないのだ。


「うるせーっ!」


 最終的にはその一言。そして京も既に装備を終えている事に気付く。


 コイツ、いつか負かしてやるんだ。いつだって平気な顔してオレを上から見下ろしてくる。


 ブツブツ文句を言いながらも、響は肩に布袋を背負った。


「何だ、もう行くのか?」


「オレがどうしようとお前には関係ないだろ。ほっとけっ!」


「そうだな。じゃあ、俺も出るとしよう。」


 京がついて来るのを確認するまでもなく、響が部屋を出るとすぐその後ろを歩いてくる。


 ストーカーかよ、コイツ。


「ブワッ!?」


 だが宿屋の扉を開けて、すぐに雪混じりの突風に後ろに飛ばされた。勿論、軽く京に受け止められる。


「雪の大陸ライカでは、一日の大半が雪混じりの強風が吹き抜ける極寒の地だ。気をつけろ。」


「う、うるせーっ!びっくりしただけだよ!」


 慌てて京から放れ、今度は風に負けないように前屈みになって足を踏み出した。そして一歩、二歩。だが、三歩目はない。思い切り固まった雪に足を取られ、滑った。


「ぅきゃっ?!」


「…響、冗談抜きだよな。」


 もう少しで顔面強打というところで、腰を捕まれて抱き留められる。さすがの京も、呆れたように溜め息をついていた。

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