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星の雫  作者: まひる
第二章
45/182

2−20

第二章 戦い

20


 ヒビキは苛立ち任せに、グイッとぶどう酒を飲み干す。


「響?」


「…何か腹立つ。」


「そうか。優しいな、響は。」


 軽く手を上げて響の酒を注文しつつ、キョウは響の話を静かに聞いた。


「オレは優しくない。オレはオレの目的の為に行動しているだけだ。」


 新しい酒が前に置かれると、再びそれを口にする。


「赤の奴等は横暴なんだ。…空から降って来る石は空石ソライシホトンどなんだ。その都度町を潰してたら…人間が全滅しちまう。」


 呟く響の言葉を、京は一つ残らず聞き取ろうとした。


 酒を飲む程に、深く酔う程に響は自分の殻を脱いでいく。だから勘違いして、それだけ俺に心を開いてくれていると勝手に思ってしまうんだ。


「…そう簡単に星の雫が手に入る訳…ないじゃねーか。」


 そのままカウンターに伏せてしまう。


「…響?」


 寝てしまった。本当に無防備過ぎだろ。けど今、星の雫の事を言っていた。響の目的はやはりそれなのか。


 勘定を済ませ、京は軽々と響を抱き上げた。酒場の外は寒い為、響の来てきたコートでクルむ。その上から京が羽織った皮のマントで壊れ物のように抱き寄せた。



「…ん…っ、あったか…い…っ?」


 突然意識が浮上する。瞬きを繰り返し、自分の現状を把握。隣に、というか背後に誰かいた。


「お、き、ろーっ!馬鹿変態ボケっ!お前は勝手に人の布団に入って来るんじゃねーっ!」


 相手を確認しなくても分かる、体温と匂い。


「…あぁ…、おはよう響。」


 蹴られて漸く薄く開けた黒い瞳が、寝癖のついた響の姿を映した。


「何怒ってるんだ?あ、響のベッドは後ろだぞ。夜ばい?あ、朝だから違うか。」


 ゆっくりと半身を起こした京は何故か上半身裸である。


「えっ?オレがベッドを間違えた?つか、何で脱いでるんだよっ?」


「これは暑くなったから。寒いって、響が布団に入って来て。初めは冷たくて気持ち良かったけどな。」


 話を聞いている間に段々と顔が赤くなっていく響。本当に記憶にないらしかった。


 体温の低い響を抱いていたら気持ち良かったんだが。それ以上に熱くなる身体を抑えられなかった。下手に動くと響を起こしてしまうし、身体は正直で勝手に盛り上がってくるし。寝付けたのも、外が明るくなって来た頃なんだ。


「…悪い…。」


 消えそうな声で頭を下げる響。


「ほら、来い。いつまでもそんな恰好で布団から出てるから、また冷たくなったじゃないか。」


 暖炉のついてない部屋で、下着姿の響は酷く冷たくなっていた。


 抱きしめると、冷たい身体が俺の火照りを冷ましてくれる。一人で反省中の響は、こんな俺の下心にも気付かないようだ。


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