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少しエグい表現あります。
第一章 出会い
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だが外からは返答一つない。
「クソ、何し…っ!!」
バキバキッ!!!
男の声が掻き消された。隠れ家にしていた小屋の壁が吹き飛ぶ。いや、叩き潰された。
「…な…っ?」
現れた人影に愕然とする。暴漢達の目の前に立つ人物は、出来れば会いたくなかった。
「…お前等…、響に何してんだ?」
刃渡り1メートルはあるかと見える大きな剣を肩に担ぎ、鬼のような形相で半壊の室内を睨みつける。
「お、お前には関係ないだろっ!」
「…そうだな。俺にはお前等の事なんか関係ないよな。」
感情なくボソリと京が呟いた瞬間、大振りの剣が宙を舞った。三人の暴漢達が吹き飛ぶ。同時に崩壊する建物。
「…響…?」
固く閉じていた瞼に触れられた。
「…ぉ…前…。」
いつの間にか口の中に押し込まれた布が取り除かれ、聞き取りにくい掠れた声が出る。
「ほら、水だ。」
「…ん…、あり…がと…。」
抱き起こされて水を口にした。少しだけ声が出せるようになり、小さく礼を言う。
「…心配した…、凄く…。」
俯き、押し出すように吐き出された京の言葉。響はただ、抱き起こさたままの状態で聞いていた。
どうなったのか分からない。暴漢達に襲われ、不意を突かれて捕まった。酷く暴力的で屈辱的な仕打ちを受けた気がする。
「…オレは…どうなった…?」
京に問い掛けて良い内容かは分からなかったが、今はそのような事を考えられる心理状態ではなかった。
「…大丈夫だ。何もなかった。だからおやすみ。もう遅いから。」
優しく告げられる。ボンヤリとした視界に、確かに夜の帳が下りていた。
「…そう…か…。」
温かく抱きしめられ、瞼が自然と重くなる。もう少しと思って目を開こうとしていたが、直ぐに安らかな寝息が聞こえ始めた。
「響…。俺は優しくはないんだ。」
懺悔するかのような独白。響を抱き上げた京の周囲は、崩れた家屋がある。そして赤黒い液体とまだ生暖かい破片。動くものは京だけだった。
※
賑やかな声が聞こえる。デジャヴュかと思って、まだ夢の中なのだと一人で納得していた。
「…あ…れ…?…これ…夢じゃ…ないんだ…。」
いつまでも覚める気配のない夢に、思い切って目を開けてみる。知らない、いや知った天井。知った匂いがそこにはあった。




