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星の雫  作者: まひる
第一章
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1−19

響、またもや…。

第一章 出会い

19


「少し疲れるが、気分が悪くなるよりマシだな。」


 地図を布袋に入れて改めて出発する。が、又してもだ。


「…しつこいって言われない?」


 呆れて大きな溜め息をこぼす。


「俺達は狙った獲物を逃がさないのさ。…今日は一人だよな?」


 三度目の暴漢。(ヒビキ)本人に単独かを確認する間抜けさは憎めないが、ここは既に町の外だ。つまりは、生死にかかわる法律は適用されない。


「オレが一人だろうとパーティーがいようと関係ないだろ。ここは町の外だと分かってて、会いに来てくれたんだよな。歓迎するぜ。」


 対する響も、やられたらやり返すをモットーとしていた。頭を殴られた借りは、倍にして返さないと気が済まない。


「やっちまえ!!」


 暴漢も響に火の魔法球で痛い目をみているので、互いがギラギラと殺気立っていた。


「火の玉。」


 近付かれては体力の劣る響が不利になる為、暴漢達が戦闘体勢に入った途端に攻撃を開始する。響は火の魔法球が幾つも飛び交わせ、相手に武器を振るう隙を与えなかった。


 だが暴漢も対魔導師戦に慣れているらしく、それぞれが手にした武器で魔法球を叩き壊す。同時に五人と戦っている響は、一つ一つの魔法球に集中して操作が出来なかった。


 ジリジリと距離が縮まっていく。


「っ!」


 前方の暴漢の足に魔法球を当てた途端、背後から飛んできた鎖に首をカラめ捕られた。その勢いで後ろに引き倒され、思い切り背中を打つ。


 背中の痛みと首を絞められた事で息が詰まり、響は無意識に呼吸をしようと大きく口を開けた。


「んうっ!?」


 口の中に何かを押し込まれ、力強く横腹を蹴り飛ばされる。勢い良く転がり、首に巻き付いていた鎖が同様に全身に巻き付いた。


「どうだっ!これで身動き一つ取れまいっ!」


 暴漢のリーダーらしき背の低い男が高笑いをする。


「口には丸めた布、全身に巻き付いた鎖。いくら魔法の発動が早くても、これでは声も出せまい。ぁあ?魔導師さんよぉ。」


 顎を掴んで顔を近付かれ、響はギラギラとした瞳で呪う事しか出来なかった。


「…中々良い顔をしてるな。こりゃ、上玉だ。奴隷市場で高く売れるぞっ。その前に、俺達で味見させてもらうがな。」


 一斉に下卑(ゲビ)た笑い声がこだまする。最悪だった。

あぁ、芋虫状態です。

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