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第一章 出会い
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ザワザワと賑やかな声が聞こえる。ここはサウンズの酒場。
サウンズはこの砂の大陸の中では大きい方の町だ。ちなみに、世界は五つの大陸で形成されている。砂の大陸グレダは、大陸の半分程を砂が覆っていた。昔はもう少し少なかったらしいが、徐々に砂のエリアが拡がっているらしい。
ギギィッ。
「いらっしゃいませ〜っ。」
軋む音を合図に、店員が声を張り上げた。入って来たフード付き黒マントに、従業員の女の子が営業スマイルを向ける。
「お一人ですか?何になされますか?」
「ぶどう酒一つ。後、適当に食べ物持って来て。」
声からして男。案内されたテーブルに腰掛けるが、頭から被ったフード付き黒マントは取らないようだ。
外は太陽が沈み、闇が迫って来ている。しかしながら酒場はこれからが商売。酒の入った男達は威勢良く、大声で仕事の話や噂話等を零していた。
黒マントは注文したぶどう酒、共にテーブルに運ばれたパンと骨付き肉を無言で口に運ぶ。周囲に無関心を装っているが、店内で交わされる噂話に耳を傾けているようだった。
酒場に来る人間は二種類。鬱憤晴らしの者と、情報収集を目的とする者である。黒マントはどうやら後者に当たるようで、自らが口を開くことなく探りを入れていた。
「…でよぅ、俺は見たのさ。空からピカッと光るもんが落っこちて来たのを。」
数個離れたテーブルで酒を酌み交わしていた男の言葉に、明らかに黒マントの動きが止まる。持っていたぶどう酒のコップをテーブルに戻し、そちらに耳をそばだてていた。
「ありゃ、星の雫じゃないかって思うんだ。」
「なぁに、言ってんだよ。あんなの、ただの伝説だろう?」
「けどよぅ、じゃあ何だって言うんだ?ベトムの町の方向に落ちて行ったんだけどよぉ。」
「夢でも見たんじゃないのかぁ?それより聞いてくれよ、うちの母ちゃんがさぁ…。」
どうでも良い話に変わった為か、黒マントは肉を手にして食事を再開する。だがその口元には、ウッスラと笑みが浮かんでいるようにも見えた。