表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
1/1

「贅沢じゃけ!」

「これだけで千五百円?!」

「蛍がビールってめずらしいな」

「焼肉ならビールじゃけ」

「花もどんどんお食べ」

静香が、焼けた肉を全部花の皿に入れた。

楠木が、店員に「ハラミ」と言うと、静香が、「お兄さん!ビールも!」と言った。

「初めてじゃけ?」と、楠木が花に聞いた。

「初めてじゃけ!!」と、静香が答えた。

「たれが、上手いじゃけ!!」と、蛍も言う。

花は、静香が皿に入れてくれた肉を口に入れた。

楠木が気を取り直してもう一度花に言った。

「初めてじゃけ?」

「初めてじゃけ」と、ようやく花が蛍と静香の間で答える。


特に騒がしい音楽はないのだが、焼き肉屋の一角を借りての商談だった。

楠木からの条件は、花を自分の王子製紙の中の一角に囲いたいという、ある種の「連携」であった。

河原町からの花のファン以上である、楠木は、渋々花を、黒澤に渡した経緯がある。


「最近のSNSは、パパ活ならぬオフパコじゃけ」

皆伐は、本当のところ酒は苦手だった。

重要な商談とあらばなおさらなのだが、黒澤は、「あえて飲め」というので、仕方なく二杯目のビールに口をつけた。

「再三、商談を持ちかけた八坂が手を引いた。マフィアが動いとる、伏見は、喉から手が出るほど欲しかったが、泣く泣く手放したじゃけ。じゃが、花はやれない」

黒澤の手には、ビールではなくハイボールがあった。

ここ焼き肉屋の「藤寿」では、大手電機メーカーが幅を利かす、黒澤はそれを知りながらも、祇園との、ある種のコビを含め選んだ商談の場所である。


「そこでじゃが・・・」

皆伐が言うと、店員が、「ハラミお待ちです」と、肉を並べた。

女の店員が後ろから、「ビールです」と、全員分を持って来る。

「うまそうじゃけ!」と、蛍が肉を見て興奮している。

「どんどん焼くじゃけ!」と、静香が鉄板に肉を並べた。

じゅーという音とともに、煙が上がる。

「どうもじゃけ?高級な肉というのは、食べた気がしないじゃけ」

静香が言った。

「飯をもっと食ったらいい。サラダばかりじゃ飽き足らぬ」

蛍は、どうやら酔いが回り始めたようだ。


「SNSは、今後すだれて行くじゃけ。ただ、「京」と言いながら、時間ばかり過ぎて行く、森林伐採による紙不足も、茶番じゃけ。うちはそれより、舞妓たちをどうにかして欲しい。現実は、「楽」を求めるばかりではなく、金ではない、女が暴走する」

花の言葉に、一同がシーンとした。

深刻と茶番の狭間で、祇園はうごめく。

花の伝えたかったのは、現実という真実であり、救いの嘘という真理であった。


蛍は、ビールを一口飲んだ。

喉元過ぎれば熱さを忘れるとは、現実のことだろうと思いつつ、それをどうにか、笑いに出来ないだろうかと、深刻になり、それこそ、本末転倒だと思う。


「ハラミが焼けたじゃけ」

静香が、肉を皆に分配する。

とろけるような肉の味は、この世の真実だと思う。


「国産牛とは、なんとでも言える」

蛍は、深刻さよりたかがはずれる方を選んで、事なきを得る方がいいと思いつつ、ご飯をほうばった。


「美味しかった」

蛍が言ったのだが、花も静香も同じく満足だった。

楠木が会計をした。

「また、おいでやす」

楠木が、「おおきに」と言った。


花は、楠木をパトロンとし、黒澤はそれをOKした。

祇園は今後、舞妓を中心として成り立つならば、セックスにおいての倫理観をどうしようか?


そして、そのあとすぐに、花のひきいる祇園は繁盛するのである。

性批判は、男事情である。

けしてセックスしない娼婦、花は十六歳であるが、黒澤の妻としてそこにいた。


皆伐は、その後、祇園のトップに立つことで、この世界の変革をねらう。


この京都祇園では、花が十八になるまでの間、うなぎ上りに人気をえるのだった。


不穏な空気は、時に安心に変わる。

黒澤が花にむしゃぼりつく時、花は、安心しながらもあせりを感じながら、それでも至福であった。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ