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導くもの  作者: アカリ
始まりはお城から
9/23

*7 任務(1)


 「『子どもさらい事件』、ですか?」


 私が行かないといけないものですか。




 導くもの (Uma pessoa para conduzir *7)




 一級魔術師マーゴ・デ・プリメーラとして城で生活し始めてから1週間。

 ザール殿下に怒られたり、本の山に埋もれたり、リアンを引っ張ってきたり……。


 そんな中、殿下から言われたのは1つの任務だった。


 「そうだ。これは西で起きているものらしくてな、派遣されている白騎士(ホワイト・ナイト)からの

 協力要請が来ている。」


 そういって紙を渡された。


 帝国の西のある村で、先月から子どもが消える事件が6件起きている。

 時間はいずれも深夜。何日おきに、とかどこの家の子どもが次にいなくなる、というのは

 決まっていなく、規則性がわかっていないらしい。

 今月に入って2件。今月に入ってからは村の住民からの希望で騎士(ナイト)が見張っていたが、

 気がついたら朝になってしまい、子どもが1人消えてしまっていたらしい。

 白騎士(ホワイト・ナイト)の光・火・風使いでは効果がなかった、ということだ。


 「白騎士(ホワイト・ナイト)のバルタザール殿下のもとにこの任務が来たのはティーナが

  いるからですか?」

 「そうだ。俺たち3人と黒騎士(ブラック・ナイト)の数名が行くことになる。」


 ザール殿下に質問を投げかけたのはリアンだ。

 私との相性がいいので私と一緒にザール殿下直属の部下になりました。


 「……つまり、この事件では事件が深夜に発生していて、犯人は白騎士(ホワイト・ナイト)

  魔法使いを眠らせるほどの実力があります。闇使い、それも三級(テグナキヤ)二級(シグナティオ)ではなく

  一級魔術師マーゴ・デ・プリメーラが必要。この条件を満たすのが私、てことでしょうか?」

 「その通り。まあ、お前(ティーナ)の実力を見るのも兼ねているかもしれんが。

  もしかしたら黒騎士(ブラック・ナイト)だったら耐性があるかもしれないから

  俺が指揮官となって黒騎士(ブラック・ナイト)を連れて行くことになる。」

 「わかりました。じゃあザール殿下とリアンに連絡用の魔装具(ディアブロ・コーシー)作っておきますね。」


 通信機能と、魔法耐性。……魔力転送装置もつけたほうがいいのか?

 眠らないために下級魔術ポルニゴ・ステゴネリアができるようにしたほうがいいのかな?


 魔装具(ディアブロ・コーシー)について考えていると、2人が驚いた顔をしていた。


 「……やっぱり魔力転送装置までつけたほうがいいですかね?」

 「お前、本当に……付けられるだけ付けといてくれ。供えあれば憂いなし、てことで。」

 「規定外、てかんじですよね、殿下。流石魔導師(マイブル)候補……」


 俺自分の才能のなさが悲しくなってくるよ、とリアンがつぶやいていた。

 そんなことはないと思うのだけれど。急にどうしたのだろうか?



          ◆  ◆  ◆  ◆  ◆



 「これです。」


 西行きの馬車の中で殿下とリアンに魔装具(ディアブロ・コーシー)(指輪バージョン)を渡す。

 馬車は2台でそれぞれ4人のりだ。

 わたしが乗っているほうの馬車には殿下、リアン、私。

 殿下がいらっしゃるからか、こっちの馬車は3人でのっている。

 

 「魔装具(ディアブロ・コーシー)か。」 

 「はい。機能としては通信機能に魔力転送、魔法耐性、あ、あとここに魔力をこめると

  下級魔術ポルニゴ・ステゴネリアが発動するようになっていてですね、2つの魔術が入ってます。

  1つ目は<拘束(モデラフィオン)>、魔力をこめて作った闇の紐、見たいなものです。

  2つ目は<土の壁(スエロ・ウォール)>言葉のままですね。防御に使ってください。

  殿下は私の魔力を転送装置から使ってもらえればいいので。」

 「お前は魔力がなくなる、てことはないのか?」

 「ないと思うんですけど……、多分。祖母に『お前の魔力は底なしか』て言われたので

  大丈夫だと思います。」

 「……わかった。遠慮なく使おう。」


 2人は私の説明を聞いた後中指にはめていた。


 ちなみに私は一級魔術師マーゴ・デ・プリメーラの黒いマントを着ていて、リアンは二級魔術師マーゴ・デ・シグナディオの白いマント、ザール殿下は白騎士(ホワイト・ナイト)の正式衣装らしい、背中に帝国の紋章がついた団服を着ている。

 もう1つの馬車の黒騎士(ブラック・ナイト)さんとの違いを見るに、黒騎士(ブラック・ナイト)さんたちは一般騎士みたいだ。

 帝国の正式な制服には白黒しかないのだろうか?


 ……と。


 「殿下、魔物です。私が一気に退治しちゃっていいですか?」

 「そうだな……黒騎士(ブラック・ナイト)たちにお前の実力を見せるのがいいだろう。

  俺たちの目に見えるところで、退治してくれ。」

 「わかりました。」


 馬車をとめる。馬車の周りに2台とも守護の光魔法をかけておく。


 「リアン、馬車の守りよろしく。」

 「わかった。」   


 リアンに任せておけば大丈夫だろう。彼はまだ風魔法をやり始めたばかりだが、

 私を介して時々魔眼(ディアブロ・アイ)をやりながら修行をしていて上達が早い。


 黒騎士(ブラック・ナイト)さんたちは私の魔導師の試し(マイブル・プルーバ)を見ていない。

 いきなり一級魔術師マーゴ・デ・プリメーラと言われても新人だからあまり信用できないし、私の魔法を見なければいざというときの援護もできないだろう。

 殿下はそれを考えておっしゃったのだろうから。


 正面からイノシシみたいな魔物が3匹、上から鳥みたいなのが2匹、左右から狼みたいなのが4匹。


 「一級魔術師マーゴ・デ・プリメーラ新人(ルーキー)アルベルティーナ、推して参る!」


 すみません、ちょっと言ってみたかったんです。BAS○RA。


 まず狼(1番距離が近かったので)。右手で氷の刃を4つ作ってまっぷたつ。

 左手でイノシシの突進を防ぐために土の壁を出す。

 そして上から突っ込んできた鳥の攻撃をひょい、と避け、今度は火の槍を作って鳥に向かって投げる。

 お、ちゃんとあたった。

 鳥2体に火の槍があたったことを見てから土の壁だったものを変形させて土の檻に変える。

 水の剣を作ってイノシシをきる。


 戦闘終了、ですね。

 ……なんか、弱すぎません? 一発で終わりなんて。

 次からは黒騎士(ブラック・ナイト)さんたちに見せるつもりでもうちょっと時間かけるべきでしょうか。


 ちなみに魔物の死体は5分くらいすると消える。

 こういうところ、なんかRPGっぽいですよね。 



 馬車に被害はなかったことを確認してから、また西に向けて走り出す。


 「ティーナ、武器使えたのか。」

 「まあ、一通り。」


 祖母に対抗するために。と続ければ2人は不思議そうな顔をしていた。



 「剣使えるんだな? じゃあ帝都に帰ったらお前、俺の相手な。」

 「げっ、殿下の相手ですか? ……手加減は?」

 「なしだ! ていうかさっきのを見た限りだとお前のほうが強い可能性もある!」

 「……冗談ですよね? リアン、あなたがぜひ、かわりに!」

 「俺、剣使えないからな……ちょっとは練習すべきでしょうか?」

 「やっておいて損はないだろう。魔法当てるのとかに役立たないのか?」


 殿下に聞かれた。

 うーん。微妙ですね。

 

 「私の場合だと風で補正とかしちゃうので……あ、そうか。むしろリアン、

  風補正の練習する?風使いでもあるからさ。」

 「そんなことしてたのか。風補正なんて聞いたことな……全属性使い(オールユーザー)だもんな。

  できないことはないよな。あぁ、じゃあ帝都に帰ってからやるか。」


 「じゃあ殿下とリアンでペア組んだらどうです? 殿下は近距離、リアンは

  長距離ですから、それで慣れればいい線いくと思いませんか?」

 「お前1人で大丈夫なのか?」

 「はい。伊達に7歳のころから祖母に言われて山賊狩りしてませんよ!」


 そうやって言ったらひかれた。

 ……しょうがないじゃないですか、必要に迫られてですよ。必要に。


 その後も魔物が襲ってきたが、殿下が「お前だったら馬車止める必要ないだろ」とおっしゃったので(確かに馬車からでも十分倒せるほどでしたが)馬車を止めることなく、西に向かった。


 昼間に魔物の気配を感じるのは周りの森林と、風で感知するのが一番早い。

 魔物が馬車から50M以内に入ったら馬車の外に出、クナイの形にした氷や、火の槍を飛ばす。

 


 一回ちょっと手ごわい敵がいたので、走っている馬車を降りて魔物を倒してからまた走っている馬車に戻ったら驚かれた。


 「どうやって戻ってきたんだ? 今、一回停車しようと思ってたところだったんだが。」

 「精霊にちょっと風増ししてもらったんです。やろうと思えば私、馬車よりも早い

  速度で走れますよ?」

 「まてまて、色々聞きたいが取り合えず……精霊見せてくれ。」


 殿下がそうおっしゃったので精霊を呼ぶ。

 リアンも期待した目でこっちを見ていた。


 「<エーヴ>」

 「なんでしょう? 風向き変えます?」

 「や、そうじゃなくてね。こっちの方々に挨拶してくれる?」

 「ハイ。わかりました。はじめまして、ワタシ風の眷属でアルベルティーナ様と契約を

  結んでおります、<エーヴ>と申します。」

 「これ、は鳥、の形をとってるな。風の精霊はみんな鳥の形をしているものなのか?」

 「イエ、ワタシたち精霊はもとは<姿なき者(ズィ・イノセンテ)>。我が主の魔力と、イメージによって

  この形となりました。」

 「ティーナ、これ触ってもいいか?」

 

 リアンの目が期待に輝いている。精霊を見たことがなかったのだろう。


 「リアンは風使いだから触れると思うよ。<エーヴ>、リアンの腕に止まっていてくれる?」

 「ハイ。」


 そういってリアンの腕に飛んでいった。リアンは嬉しそうに<エーヴ>をなでている。

 

 <エーヴ>が言っていたようにこの世界で精霊は<姿なき者(ズィ・イノセンテ)>、言葉通り普通に生活していては見えないものである。

 私は魔眼(ディアブロ・アイ)で「視」ている。先天的に精霊を見れる人もいるらしい。

 私が<エーヴ>と契約を結んだのは5歳のとき。祖母の近くにいた水の精霊みたいに私にも契約を結んだ精霊がほしかったのだ。

 イメージで姿を作り出せることがわかったので、私は<エーヴ>を緑色の鳥にした。

 ちなみに私は闇の精霊とも契約しているが、闇の精霊の姿はポケ○ンのブラッキーだ。

 もし火の精霊と契約することになったら不死鳥の形にしようと思っている。

 

 たとえ精霊を私の魔力で具現化していても精霊に触れるのはその属性の魔法が使える人だけだ。

 だから殿下は<エーヴ>を触れなくてちょっと不満気だった。



 私は馬車の外をちら、と見た。今は夕方だ。

 目的の村につくまで、この調子でいくとあと3時間はかかる。


 「殿下、馬車の速度あげてもいいですか?」

 「ああ、そうだな。このままだとまだかなりの時間がかかりそうだ。

  ……1時間くらい短縮できるか?」

 「それ以上可能ですね。あと1時間でつくようにしましょう。 <エーヴ>」

 「は? あと1じか、」

 「ハイ。」


 <エーヴ>が返事をした瞬間に速度がぐんっと早くなる。

 殿下がこっちをにらんでいる。舌をかんだらしく涙目だった。……すみません。







やっと魔物を倒しました。精霊もちょこっとだけ。

「ファンタジー」っていったら、魔法だけじゃなくて色々出したいですよね!


明日からは1日1話の更新になると思います。

「任務」のところは1話1話を長くしていて大変なことになりそうです……。


お気に入り登録していただいた方、読んでくださっている方、ありがとうございます。

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