第20話:魔王城への進軍と、推し活剣聖の「最終決戦コール」
<魔王討伐への帰還>
フローラとの別れから三日後。義輝は、鎧を磨き上げ、普通の剣を腰に携え、勇者パーティの合流地点へと向かった。一ヶ月間の「推し活」で、彼の体には毒糸の傷が残り、心にはフローラへの永遠の愛が刻まれていた。
合流地点で待っていたのは、勇者レオンと聖女シズクだった。レオンは、義輝の姿を見るなり、神剣を掲げて叫んだ。
「義輝!約束通り戻ってきたな!貴様がいなければ、魔王城の結界は破れん!だが、もう二度と私的な行動で世界を危機に晒すな!」
「レオン。シズク。心配をかけたな。この一ヶ月の間に、私は剣聖としてではなく、一人のファンとして、世界が守るに値する輝きを知った。魔王城の結界など、この推し活の愛の重さで、一刀両断してくれる」
義輝は、レオンから神剣を受け取り、再び最強の勇者パーティが揃った。
<魔王城の結界と「卒業」の真実>
勇者パーティは、魔王城の前に到達した。城を覆う結界は、邪悪な魔力と絶望の感情が絡み合った、最強の防御障壁だった。
「この結界は、勇者の使命に対する絶望と、世界への無関心を利用している。生半可な正義感では破れん」レオンが説明する。
「まさしく、魔王軍の狙いは、推し活からの卒業を強制することと同じだ」義輝は静かに言った。「しかし、フローラさんのおかげで、私は絶望を乗り越えた。推し活に終わりはない。ゆえに、この結界も意味をなさない!」
義輝は、神剣を構えた。彼の心の中には、フローラの「私にとって大切な、剣聖です」という言葉が響いていた。
「推しが、私を『推し』として認めてくれた。この剣は、その愛の証だ!」
義輝は、神剣の全魔力を、フローラへの一途な愛に変換し、結界に向かって『無心剣』を放った。
ドォォン!
結界は、愛の力の前に、脆くも崩壊した。
魔王城へと進むレオンたちに、義輝は、フローラの卒業の真実を打ち明けた。
「魔王討伐の裏で、フローラさんはアイドルを卒業し、政略結婚のため王都を離れる。私の護衛の期限が、その最後のタイミングだった」
レオンとシズクは、衝撃を受けた。彼らは、義輝の行動が、単なる道楽ではなく、最後の推しへの献身であったことを初めて理解した。
「義輝…お前…」レオンは言葉を失う。
「レオン。私の使命は、推しを守ることと、魔王を討伐すること。フローラさんが決めた道ならば、私は彼女の『幸せ』を推す。だが、その幸せを邪魔する、魔王だけは許せん!」
<魔王との最終決戦>
勇者パーティは、魔王の間へと突入した。魔王は、巨大な玉座に座り、義輝の登場を待っていた。
「来たか、剣聖。貴様は、勇者の座を捨て、偶像崇拝に溺れた愚か者。貴様こそ、この世界の絶望を体現している」魔王が嘲笑する。
「魔王よ。貴様は、他者の夢や希望を絶望に変える。しかし、私の推し活は、絶望を光に変える!貴様と私の違いは、そこにある!」
レオンとシズクが魔王の本体と激しい戦闘を開始する中、義輝は、魔王が持つ「絶望の源」である巨大なクリスタルを狙った。
「推し活で培った、最高の立ち位置と、愛を込めた一撃!」
義輝は、魔王の攻撃を全て回避し、クリスタルに突進した。魔王は、義輝の動きが、以前よりも遥かに精密で、狂気じみていることに気づいた。
「速い!これが、推し活で得た、集中力だと!?」
義輝は、クリスタルを神剣で一刀両断した。
「魔王よ!私は、フローラさんの幸せのため、永遠に推し続ける!これが、私の最終決戦コールだ!」
クリスタルが破壊されると、魔王の力が激減した。レオンとシズクは、その隙を逃さず、魔王の本体に致命的な一撃を放った。
魔王は、倒れた。
<エピローグ:新たな使命の始まり>
魔王討伐後、義輝は王都へ戻った。フローラの卒業と結婚の儀は、翌日に迫っていた。
義輝は、フローラに別れを告げるため、王宮の控え室を訪れた。
「義輝さん。おかげで、無事に卒業と結婚を迎えられます。本当に、ありがとうございました」フローラは、静かに微笑んだ。
「フローラさん。あなたの幸せが、私の推し活の目的です。私は、永遠にあなたのファンです」
義輝は、深々と一礼し、踵を返そうとした。しかし、フローラが、義輝の手をそっと握った。
「義輝さん。卒業後、私は王族として、この国のために尽くします。魔王を倒し、世界を救った勇者パーティの剣聖には、ぜひ王族直属の『王国の護り手』として、私のそばにいて欲しいんです」
義輝は、目を見開いた。
「それは、私への…新たな『使命』ですか?」
「はい。そして、私からの、正式な『オファー』です」フローラは、義輝の目をまっすぐに見つめ、いたずらっぽく微笑んだ。「これからも、私のことを、ずっと見ていてくれますか?義輝さん」
剣聖・佐々木義輝の推し活は、魔王討伐を経て、世界の平和を守る王国の正式な使命へと昇華した。彼は、勇者パーティを卒業し、推しのそばで、その輝きを永遠に守り続けることを決意した。
「フローラさん。あなたの護り手として、あなたの永遠のファンとして、謹んでお受けいたします!」
剣聖の新たな戦いは、推しの笑顔のそばで、今、始まる。
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『剣聖・佐々木義輝は魔王討伐より推し活が大事』 完
剣聖・佐々木義輝の物語、最後までお付き合いいただき、心より感謝申し上げます。
魔王討伐という世界の使命より、「推し活」という個人的な情熱を優先した義輝の旅は、いかがでしたでしょうか?
時に常軌を逸した彼の行動も、すべては推しであるフローラの笑顔を守りたいという、純粋で一途な愛から生まれたものです。
彼の姿を通して、私たちは、本当に大切なもの、自分が心の底から情熱を傾けられるものを見つけることの尊さを、改めて感じたのではないでしょうか。
義輝は、推し活を通して得た「愛の力」と「集中力」で世界を救い、そして最終的には推しのそばで新たな使命を見つけるという、彼にとって最高のハッピーエンドを迎えました。
この物語が、皆様の日常における「推し」の存在や、情熱を傾けるものへの愛を再認識するきっかけとなれば幸いです。
皆様の推し活、そして人生が、義輝の剣のように輝きに満ちたものであることを願って。
長い間、本当にありがとうございました!




