第13話:異色の共闘と、推し活の「完璧な誘導」
<ヴァニタスの「ファッション・トラップ」>
魔王軍のデザイナー、ヴァニタスは、店内の生地や裁縫道具、マネキン全てに魔力を込めて、戦闘フィールドを構築した。
「さあ、勇者パーティ!私の芸術の前で踊りなさい!私の呪いの衣装は、触れる者に絶望を与える!」
ヴァニタスが指を鳴らすと、リリアとアリスの未完成の衣装が、まるで生きているかのように宙を舞い、義輝たちに向かって襲いかかってきた。
「義輝!あれが、貴様が持ち帰った素材の呪いか!」レオンは悔しげに叫び、剣を振るうが、衣装は高速で回避する。
「レオン!衣装に魔力を込めた攻撃はするな!素材が破損すれば、呪いの効果が店内に拡散するぞ!」シズクが警告する。
呪いの衣装は、回避しながら、魔力ジェルのネバネバした糸を吐き出し、義輝たちの動きを封じようとする。
義輝は、素早く状況を分析した。(ヴァニタスの狙いは、私たちを疲弊させ、衣装をフローラ様に押し付けること!この衣装は、リリア様とアリス様のライブ衣装だ。戦闘で汚すことは、推し活の敗北を意味する!)
義輝は、普通の剣を鞘に収めた。
「レオン!私に攻撃を任せろ!貴様の攻撃は、重すぎる!シズク、フローラ様たちをカノーと共に店外へ!」
<剣聖の「完璧な誘導」>
義輝は、推し活で培った「音響と空間認識」の能力を最大限に発揮した。彼は、生地が動く音、縫い針が空気を切る音、ヴァニタスの呼吸の魔力変動を全て把握し、衣装の軌道を予測する。
「レオン!魔導砲を床のこの位置に放て!」義輝が指示を出す。
「何だと?床を破壊してどうする!」
「いいからやれ!私の誘導を信じろ!推し活で培った、完璧な立ち位置の予測だ!」
レオンは不満そうだったが、義輝の異常なまでの真剣さに押され、床に魔導砲を放った。床が爆発し、瓦礫が舞い上がる。
その瓦礫が、ちょうど呪いの衣装の軌道と重なり、衣装は身動きが取れなくなった。義輝は、その一瞬の隙を逃さず、普通の剣の柄で衣装を叩き、魔力を鎮静化させる。
「素晴らしいわ、義輝!」シズクは感心した。
「義輝!貴様の動きは、まるでライブステージでの完璧なフォーメーション移動だ!無駄がない!」カノーも驚きを隠せない。
義輝は叫ぶ。「推し活とは、推しと周囲の状況を完璧にコントロールし、最高の瞬間を作り出すことだ!ヴァニタス!貴様の衣装は、私たちによって完璧に『振り付け』される!」
レオンは、義輝の指示通りに次々と攻撃を放ち、義輝はその攻撃が衣装の寸前で止まるよう、衣装を精密に誘導し続けた。衣装は、攻撃をかわすたびに、義輝の狙い通りの位置へと追い込まれていく。
<カノーの裏切りと、最大の危機>
義輝たちの連携が功を奏し、ヴァニタスは劣勢に立たされた。
「くそっ、勇者パーティとの連携だと!?私の芸術が汚される!」
ヴァニタスは、自らの身体から鋭利な糸を放ち、義輝たちの動きを止めようとした。
「レオン、シズク!避けて!カノー、フローラ様を頼む!」義輝が叫ぶ。
その時、カノーが突然、義輝の背後に立ち、手に持っていた高価な魔導カメラを、義輝の背中に突きつけた。
「義輝!非公式ボディーガードの座は、やはり私にこそ相応しい!貴様が推し活の邪魔をしたせいで、私はフローラ様への貢ぎ物を用意するチャンスを失ったのだ!」
カノーは、義輝の推し活への異常な執着に嫉妬し、再び裏切ったのだ。
「カノー!貴様!何を…!」
「義輝。私が、ヴァニタスを倒し、ロイヤル・アクアを救う真のヒーローになる!そして、フローラ様は私のものだ!」
カノーは、義輝の背後から魔導カメラのフラッシュをたき、ヴァニタスの顔に直接向けた。
ヴァニタスは、光に怯んだが、同時にカノーの動きが、義輝への攻撃のチャンスを生み出した。ヴァニタスは、カノーを無視し、義輝に向かって毒を帯びた糸を高速で放つ!
義輝は、背後からのカノーの裏切りと、正面からのヴァニタスの猛攻という、挟み撃ちの危機に陥った。毒糸は、義輝の鎧の隙間を狙って突き刺さろうとしていた。
「義輝!」レオンとシズクの悲鳴が響く。
絶体絶命の窮地に立たされた剣聖。彼の推し活は、ここまでの代償を要求するのか!?
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第13話 完




