悪魔の力の代償
処刑場から出ると、周りが森に囲まれた、小さな村であった。
村には人ひとりとしていない。
残りの人間は外出しているのか、もしくは全員俺の処刑を見にきていたというのか。
後者ではあってほしくないと思うが、あの村人たちの俺の見る目を思い出すと、きっとそうなのだと思ってしまう。
適当に入った家で見つけた黒いローブを見に纏う。
そしてしばらく歩いていると、「占い師」の家らしき建物を見つけた。
中に入ってみると、元の世界のタロットに似たカードや水晶玉が置かれていて
まさに占い師の家といった感じであった。
それらの置かれた机の端に、気になる本を見つけた。
その本のタイトルは『悪魔』。
手に取って、読み進めてみる。
『稀に、ごく普通の家庭から悪魔を宿した子が生まれることがある。』
『悪魔の子に憑いている悪魔は非常に強力で
大人になる前にその子どもを殺してしまうのがよいとされている。』
『悪魔の子は、悪魔と契約して体の一部を代償に強大な魔術を使用することができる。』
(体の一部を代償に…?そんなことをした覚えは……あっ……)
─そのためなら左目ぐらいはくれてやる!─
慌てて自分の目を確認する。右目を閉じると、視界が真っ暗になる。
左目の視力を、完全に失ってしまっていた。
この力を使うのは大切な時だけにしようと決意する。
自分の能力自体についてはわかった。
しかし、この世界についてもよくわからないまま
頼りにするあてもない中これからどうすればいいのか。
何をすべきか途方に暮れていたところ、どこかから微かに声が聞こえてきた。
「たす……く…さ…!だれ………けて!」
声の出場所を探るが、イマイチどちらから声が聞こえているのかわからない。
北でも、南でも、西でも、東でもないような…
………下?
俺は家中をくまなく探索する。
すると、本棚の裏に地下へと続く階段を見つけた。
俺は声の主の正体を知るべく、暗い階段を下っていくのであった。