覚醒
俺を貶む人間たちが憎い、許せないと思った。
その瞬間だった。
俺の中で、俺ではない何かが叫んだ。
(オ、オオオオ、オオオ!!)
それに呼応して、俺の左目から黒い何かが飛び出した。
それは老人の体を串刺しにして、老人を壁に磔にした。
それから、黒い棘が何本にも枝分かれし、周りで見ていた人間たち全員の心臓の中心を射止めていた。
俺を十字架に貼り付けていた縄も、ナイフのようにぶちりと断ち切ってしまった。
左目から黒いイバラが外れる。
その瞬間に、黒い棘は全て消え去ってしまい、壁に張り付いていた老人がどさりと落ちてきた。
もう、そこには穴だらけの壁と死体、そして俺しか残っていなかった。
理解が追いつかず、ただ立ち尽くす。
俺は、本当に、「悪魔の子」だったのか。
だとすれば、老人たちの言っていたことは本当だったのではないか。
猛烈に自責の念が浮かび上がる。罪のない人間を俺は殺した……
……いや、違う。あいつらは、俺が悪魔の子だからと言って蔑んだ。
他の人間と少し違うからなんだ。危害を加えなければ、こちらからだって何もしなかったのに。
俺を見世物にして、処刑するのを心から愉しんでいたではないか。
心の重荷がすっと取れる。
俺は、正しいことをした。
そう自分に言い聞かせて、俺は大量の「罪人」たちの刑が執行された処刑場を後にした。