表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
57/74

変わるものと変わらないもの

____凪沙の家____


『祈、起きてください。祈、もう11時ですよ!』

「ん…休みだしもう少し…」

『ダメです!休日ですが生活リズムはしっかりしましょう!』

「は〜い…」


めっちゃ眠い…しかも生活リズムうんぬんを言うのならもう少し早く起こしてくれても良かったのでは?11時とか昼前じゃないですか…寝たのは深夜だったから普通起きるのはこれぐらいじゃない? この2人寝ても大丈夫なベット…ふかふかでものすごく気持ちいい。あとなにか柑橘系のいいにおいがする。ニオイ、コレダイジ。


『ほら、早く起きてください。顔を洗って来てください…私が洗いましょうか?』

「んにゃ、いい…。洗面所借りるね…」





「だぁーーーーーー…眠い!」

『そんなことを言われてもですね…普段からしっかりしておかないとダメですよ!』

「ならもう少し早く起こしてよね!!」

『それは…その…少し…堪能していたので…』


ん?もしかして凪に抱きついて寝てた感じかな?申し訳なかったね…しかし事故は起きても構わんのだろう!?何となく柔らかいものに包まれていたような気がする。凪の胸部装甲は私と大差ないけどね?


『お昼はどうしますか?』

「んーーー。冷蔵庫見て考えよ〜」


ふんふん。金持ちの家の冷蔵庫って食材自体のランクが高いね…こんなの私が使っていいのだろうか…?


『お母様が祈が来るならと準備してくださいましたよ?』

「そっか!それなら遠慮なく!」


材料確認…ふむ。軽くパスタにしよう…カルボナーラでいいかなぁ。あの生ハム原木とラクレットチーズ使ってみたい!!!


____________________



「うわぁ…うまぁ!!」

『祈の料理はどれも美味しいですね!』

「いやこれはどう考えても材料でしょうが…!!」

『そうですか?材料自体はいつもと変わらないと思いますが…』


なんだとぉ!?普通からいいものを食べていたら分からなくなると言うが本当にだったのか…!!しかしこの子朝ごはんは食べたのだろうか?


「朝は食べたの?起こしてくれたらいやいや作ったけど…」

『むっ…いやいやですか…。 いえ、忘れていたというかなんというか…食べてませんね』

「そりゃあ、寝起きでご飯作れって言われたら気分は乗らないよねぇ。朝ごはん、ちゃんと食べなきゃダメだよ?」

『それは祈もですが?』

「そりゃそうだ!ガハハ!」


生活力は高そうなのにあまり家事が出来ないんだよねぇ。明日はちゃんと起きよう…お嬢様を預かってる身なんだ…何かあれば殺されるに違いない!!


『それで、昨日の夜はユーラさんとはお話できましたか?』

「まぁね。あの子もそれなりに思うことがあったってことよ」

『そうですか…差し支えなければ教えていただいても?』

「別にいいけど…」





『そんなことが…作り込みが凄いですね…アークスオンラインは…さすがゲーム会社の大手といったところでしょうか』

「そうだね!今となっては私も相当ハマってるからなぁ〜。可愛い子が多くてたまんないね!」

『祈…』


あーーーーー!!!ジト目の凪さんだ!これは何か怒ってる時だァ!凪ももちろん可愛いぜっ!!


『えっ…そ、そうですか!それなら問題ないですね!』

「うんうん!食べ終わった〜?あとちょっとしたらログインしよっか。今日は多分おきなちゃん達から連絡あると思うんだ〜。おねぇが言ってたんだけど何とかある程度形には出来たみたい!」

『それはそれは…私も是非見に行ってみたいです!』

「おっけー!一緒に行こうか!凪も素材持ってたもんね」

『はい!』



____ナビのアトリエ____



『祈…それは…?一体どういうことなんですか?』

「え?いやぁ…?その…わたくしも分からないといいますか…なんといいますか…」

『イノリ!イノリ!今日も一緒だね!』


そう。何故かユーちゃんにものすごく懐かれているのだ…。いやね?分からなくはないよ?だって昨日の今日だよ?さすがの私も気づくよ。 しかし…こんなに好き好きオーラを出されたら私も本気で好きになっちゃうよ?


『早く祈から離れてください!』

『いーーーやーーーだーーー!!!』

「ほら、私は別に平気だから。むしろ嬉しいというか」

『むむむ…』


そうだね。今私はユーちゃんにものすごく抱きしめられている。ハグと言うやつだ…いつもはする側だったんだけどされるのもいいかも?う〜ん…。しかし欲を言えばボインボインな人にこれをやって欲しかったな…大きなそれは夢と希望が詰まってると噂されてるのを聞いたことがあるんだ。私の周りってボインボインの人が少ないんだよねぇ。


『むっ…!ボクのじゃ不満?』

「いいえ?これっぽっちも?全く!寧ろ幸せでごさいます!」

『ふふん!見たかナギ!これがイノリとボクの仲なんだよ!!』

「そうだよ。凪、諦めて」

『はぁ…祈は…まったく…』


悪くないね…これも。今はまだ距離感が分かってないような感じだろうしそのうち収まると思うしね?ヨチヨチ歩きの子供みたいなものかな。 ユーちゃんは友達と言えるのは精霊…それも小さな精霊しかいなかったみたいだから接し方が極端なんだろうね。


『んっ。ユーなにかあった?』

『…?何か…憑き物が落ちたような顔ですねっ!』

「あ、メルちゃんにピーちゃん!こんちわー!」

『あのね?ここ私のアトリエなの。溜まり場ではないのよ?』

「まぁまぁ、そう言わずに…私たちの仲じゃない?」


メルちゃんとピーちゃんはアトリエに入るの動作が最早家のそれだった…。私もあんな感じなのだろうか?まぁ?ナビちゃんのアトリエって私の第2の家みたいなものだし?私とナビちゃんの愛の巣でもあるわけで?それなら私の妹であるメルちゃんやピーちゃんも家族同然ですから…


『イノリっちログインしてきたねー?お姉ちゃんと作業してたんだけど…ルッカのギルドハウスに少し来て貰える?』

「わかりました…っと」


わざわざログイン状況を確認してチャットをくれたみたいだね。別にログアウトしてても携帯経由で連絡できるからいいのに…そういう所律儀だよねおきなちゃん。



____ルッカのギルドハウス____




「たのもーーーー!!!」

『いやそんな叫ばなくても聞こえてるし…ていうかワープしてきてそれはどうなのよ』

「え?なんとなく…」

『まぁ、いいわ!とりあえず皆こっち来て』

「わーい!いくいくー!」


おきなちゃんに連れられて裁縫職人の作業場と化しているギルドルームに来たけど機織り機みたいなものとかミシンだとか色々あるね…。 私は裁縫とか出来ないタイプなので詳しくないごめんね…


『ここがアタシたちの作業場よ!どう?』

「…なんか女の人多いね。私ここに入り浸っても?」

『祈』

「はい!すみません!嘘です!ごめんなさい!!」

『あら、なんだか浮気がバレたって感じ?』

『そんな…夫婦みたいだなんて…』


んんんんん???私はフリーなのだが!?あなたと結婚したことは無い!ナビちゃんとなら結婚したけど!!


『女の人が多いのは単純に裁縫が好きだからってこと。現実では作れないような物が沢山あるからここで作ってインスピレーションを得てるのよ』

『生産職の方々は現実でも関わりのある仕事や趣味の方々が多いですからね』

「へーそうなんだぁ。確かに装備もオシャレだもんねこのゲーム」


しかもお姉さん方が多いような…?現実でアクセサリーとか作って売ったりしてる人たちなのかな?だって見た目がアパレルショップの店員みたいな人ばっかりだもん!!


『で、早速いいかしら?』

「あ、そうだった…。おねがいしゃす!」

『まず結果から言うと【ラズライトクォーツ】【ローズクリスタル】この2つは非常に難しかったけど何とか加工できるようになったわ。でも…装備できる制限が少しきつくなるのが問題なのよね…。これ、作ったやつなんだけどみてくれる?』

「ん?どれどれ…」


アクセサリー【耳】ラズライトイヤリング(エピック)スロット○

ラズライトクォーツを加工したイヤリング

素早さ+200 器用さ+100


ラズライトクォーツを加工し、より蒼く輝くようになった水晶はとても煌めいている。


装備条件:全ステータス100以上



「ほう…?確かに全ステータス100越えの人はなかなか居なさそうだねぇ」

『でしょ?前衛職だと魔力とか要らないし逆に後衛職だと力は要らなかったりするから全ステータス100以上って人はあんまりいないと思うんだよね…』

「まぁ、この子はその条件クリアしてるんですけど」

『えっ?そうなの?さっきからずっとイノリに抱きついてる子…?』

「そうだね。器用さと素早さは上げたかったけど装備できないなら仕方ないし…つけれる人いないなら貰っていい?ユーちゃんに装備させたい!」

『いいわ。アタシもどうしようか迷ってたし…』


ふへへへ!これでこの勇者がもっと強くなるぜ!…ほら、こっち向いて?私がつけてあげるから……いや、屈めよ!!イヤリング付けれないだろぉ!?なんでそこで抱きついてくるのよ!


『おお〜?なんか体が軽くなったような…?』

「うん!似合ってる!ユーちゃん可愛い!」

『ユーいい』

『綺麗ですよっ!』

『あ、ごめん。こっちはもっといい物ができたんだけど、条件が厳しいんだよね…』


アクセサリー【腕】ローズブレスレット(レジェンダリー)スロット○○

ローズクリスタルを加工したブレスレット。

MP+5000 魔力+2000 防御力+300 魔法防御力+500


ローズクリスタルとインゴットを巧みに加工したブレスレット。素材を活かした淡いピンク色をしている。


装備条件:魔力3000 防御力200 魔法防御力150以上



メルちゃんかピーちゃん用かな?いや、これピーちゃんだけ装備できるね?メルちゃんは防御力が足りないみたい…色的にもピーちゃんっぽいしつけてみよー!!ほらおいで!よしよしいい子だ!


『ありがとうございますっ!とても嬉しいですっ!』

「うん。今日のピーちゃんも可愛い!オールオッケー!!」

『ねぇねメルは?』

「ごめんごめん!おきなちゃんまだ何かあったりする?」

『ごめんね〜イノリっちー。今ので最後なのよ…』


なんだとぉ!?これじゃぁメルちゃんが仲間はずれみたいではないか!姉としてこれは見過ごせない!何かあるはずだ!


「何かまだあるはずだ!早く吐け!」

『祈』

「ごめんなさい」

『よろしい』

『……今のはお姉ちゃんの作品なのよ。イノリっちを呼んだのはこれから何が欲しいか聞くためなんだけど?アタシも装備が作れるようになったからね。少し時間がかかったけど水晶からでも糸を紡げるようになったわ』

「わーい!やったぁ!おきなちゃんすきーー!!」


あとは私の意見待ちだったって事かぁ!やだぁ!おきなちゃんすきーーーーーー!!


「まずはメルちゃんの何かとピーちゃんの何かとユーちゃんの何かそれでよろしく!」

『何もわからないんだけど?』

「メルちゃんにはMPや魔力が上がるやつ!ピーちゃんも同じような感じ!靴優先!ユーちゃんは力とか上がるやつ!」

『分かったわ。それで本人たちは何が欲しいの?服?アクセ?』

「なにが欲しい?なんでも言っていいよ!」

『ねぇね』

『なんでも大丈夫ですっ!』

『イノリ!』


困ったなぁ!?私が欲しいだってーーー?それは困っちゃったなーーーー!!!私の体はひとつしかないんだ諦めたまへ!!


『まともな答えがモモさんしかいませんね…』

『困ったわね…話が分からないの?』

「あ、すみません!装備1式欲しいです!この子たちほぼ裸同然の装備なので!!」

『そうなの?アバターだと思ってたけど…いや、別にいいわ。そうね…それだと明日に間に合うかしら…3人とも装備1式は確実に時間が足りないわ』


そうですよね…無理言ってごめんなさい…だって攻防戦イベントは確実に不利だと思うから少しでも強くしてあげたくなるじゃん…?姉として… ハッ!?これでは思考が我が姉となんら変わりなのでは!?


『そうね…ここにいる裁縫職人も含めて皆も協力してくれたら何とかなるかもしれないわ。足りないのは…やはりこの水晶に合う素材かしら』

「いけるんですか!?そして、その素材とは!?」

『まずはお姉ちゃんも使っていた鉱石類…イノリっちからも預かってたんだけど3人分となると数が少ないわね…』

「と、なると…また【岩の洞窟】行きかぁ…」

『いや、今回はエルメスの西にあるダンジョン【砂上の海】という所がいいわ』

「なぁにそれ。砂上?砂浜?浜辺?海?」

『そうね。海関係の物が多く取れるダンジョンよ。なんでも海面を歩けるダンジョンらしいわ。そしてこの水晶に合う素材として真珠や貝などを集めてきて欲しいのよ』

「合うって分かったの?」

『そうね。イノリっちがいっぱい水晶をくれたでしょ?だからみんなで試したのよ…そしたら【砂上の海】産の素材がよく合うのよね。ほら、このピアスとかも貝殻に水晶を加工したものなのよ失敗作だけど』

「ほんとだね…失敗作って書いてる。貝殻や真珠にコーティングする感じ?」

『そういう時もあるしそうじゃない時もあるわ。忘れたの?アタシたちは素材の純度が高ければ糸として紡げるのよ?』

「と、いうことは…真珠なんかはそれらに該当する…なるほど!」

『そ!そういうこと!どう?水晶も含めて余分に余った素材はこちらで受け取るという条件でなら受けていいわよ?裁縫職人の皆もそれなら協力してくれそうだしね〜』


もとより水晶はそのつもりだったし、私はアイテムボックスに水晶の2割残してあるからね。でも新素材であろう海の素材もかぁ…錬金素材がなぁ…


「私も新素材使ってみたいんですが…」

『錬金術士だったわね…それなら素材を少し余分に貰っていい?全部までとは言わないわ!』

「わかった!それで手を打ちましょう!この子達の装備をお願いします!」

『ふふん!任されたわ!早速行ってきてちょうだい?早くしないと明日の19時までに間に合わなくなるわ』

「かしこまりましたー!!」

『あぁ、それとほんとにアタシたちに装備を任せていいのよね?その子はゴスロリ風で天使っぽい子はそれに合わせて…イノリに引っ付いて離れないのはそうね…それっぽくいきましょうか。それでいい?』

「お任せします!みんなもそれでいいみたいなので!ではサラダバー!!凪も行くよ!」

『あ、私のもお願いできたりしますか…?』

『ナギっちのもかぁ…お?水晶持ってたんだぁ〜。へぇ〜?それならいいよ?今さら1人増えたところであんまり変わらなさそうだし。イノリっちと同じ条件でいいなら、ね?』

『はい!それでお願いします!出来ればこのローブ似合うような服にして頂けると…今は見た目が装備でちぐはぐですので…』

『そうね。絶望的センスだわ。なんなって上半身以外は魔術師風の見た目だものね…それに合わせるようにするわ。こちらもできるだけ早く取り掛かれるように糸なんかを準備して待ってるわ』

『ありがとうございます!では行ってきます!』

『気をつけてね〜』

「ほら、凪!行くよ!」


凪も装備更新かぁ…凪がヘンテコな格好してるのって珍しいから見納めとなると少し悲しいかも…まぁでも可愛くなるならいっか!では行くぞ!【砂上の海】だっけか?海面を歩けるダンジョンということで少しワクワクするね!しかも素材もいっぱいな予感!これはいても立っても居られないッ!はやくいくのだーーー!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ