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爆弾岩!!

あの後私たちは特に何も無く3階に降りてきていた。出てくるモンスターは炭鉱ゾンビばかり。基本一方通行なこの横穴でツルハシやスコップなんか振り回しても壁に引っかかってるし、何より動きが遅い。もはや私たちの敵じゃないね。経験値もまずいから遭遇するだけ無駄な存在と認識しはじめてきたぞ？

「これって何階まであるの？」

『5階までみたいですね。私もここには来たことがありませんが、鉱石などが採れるのでそれなりに有名なところですので、そのぐらいの情報は調べればすぐにでますよ？』

「あ、そうなんだ...」

私ってば攻略法とかあんまり見ないからよくわかんないんだよね...だって分かりきった現象に挑むってなーんか面白くなくない？でも、今はメルちゃんたちがいるから本当に危ないところには事前準備がいるかもね...。【不気味な絵画】で魔石を使用して生き返らせれるとはいえ、私はこの子たちを死なせたくないし。

『んっ』

『メルティがナイフを投擲しました！！！爆弾岩に349ダメージ！！！爆弾岩が自爆しました！！！』

「メルちゃん.....？」

『？ぶい』

「やだぁ！！！可愛い！ゆるしちゃうーーー！！！」

いきなりメルちゃんが血魔術でナイフを投擲したと思ったらそれを爆弾岩に向けて放ったらしく、相手が自爆した。ログを見る限り突属性は効きにくいみたいだね。岩って言うぐらいだし打属性が特攻だろうなぁ...。

「ドロップアイテムも経験値もないかぁ...」

『自爆したらないそうですね。倒せば入手できるみたいですよ？』

「おお！では倒してみよう！爆弾岩だしなにか使えるものが手に入るかも！？」

「いた〜！！爆弾岩！なんか岩に顔が描いてあるんですけど！？ナニコレェ！ちょっと可愛い！！」

そう。爆弾岩にまた遭遇したんだけど、あの時はメルちゃんが遠くからナイフ投げちゃったから姿も確認出来てなかったんだ。そしていざ姿を確認してみるとなんと大きい岩に可愛らしいデフォルメされた目と口が描いてあるんですよ！！しかもそれがゴロゴロこっちに向かってきて動くんですよ！！え？嘘？こっち来てるね！？

「うわぁーーー！！！なんかきたぁ！逃げろォ！」

『炎(サラマンダー)！ファイアボール！』

『ナギが【ファイアボール】を発動。爆弾岩に効果はありません！！！』

「ちょっとーーー！？凪さん！？あなた攻略法覗いてたんじゃないんですかァ！？」

『おかしいですね...火属性を与えると爆発すると書いてあったんですが...』

『貫け、弾けよ』

『メルティが【ダークランス】を発動。合計245ダメージ！！！』

んんん？メルちゃんでもダメージ通らないね！？もしかして爆弾岩さんは打属性の近接武器じゃないと攻撃通らない系モンスターなのでは！？

「あ、やばい追いつかれるぅ！！逃げてーー！！」

『ここでボクが颯爽と打ち上げる！てーーーい！！』

『ユーラが爆弾岩を剣で打ち上げました！！！爆弾岩に5761ダメージ！！！爆弾岩を倒しました！！！経験値2495を獲得しました！！！』

うっそーーん？あなたどこまでぶっ壊れてるんですか？剣の腹で殴ると打属性になるんですね...あなた聖属性以外の全属性の魔法使えて、尚且つ剣で斬、突、打属性も出せるんですか？あなたなんで倒されたんです？私はこの人の倒し方教えて欲しいぐらいだよ...

『ふふーんっ！！どう！？このボクの剣さばきは！？』

「ス、スゴイデスネー」

『ここまでとは...』

『んっ。ユーよくやった』

『さすがですっ！』

知らない。私はこんなチート能力を持った勇者を錬禁術で生き返らせて従者にしてるなんてことは知らない...私は何を従者にしてしまったのだろう？いいや剥ぎ取りしよ。なんか剥ぎ取りスキル発動したらなんでも柔らかくなるし...

【爆弾岩】：モンスターの爆弾岩から採れる爆弾岩の欠片。そのままでも使用可能。

勢いよく投げて衝撃を与えると爆発し、辺りにいる敵にダメージを与える。

【火薬】：モンスターの爆弾岩が大量に含んでいた火薬。爆弾の素材として使える。

火薬の詰まった岩は何故かモンスター化して爆弾岩になると言われている。

うん。なんかそのままの名前のやつと火薬が取れたね。爆弾岩の方は手のひらサイズで投げてみたら普通に爆発した。凪に当たっちゃった。ごめんね？火薬の方はそのままだね。粉。テキストによると素材の火薬岩がモンスター化して爆弾岩になるらしいんだけどこれぞファンタジーって感じだよね！

「うんうん。満足だ！これは私に爆弾を作れと言っているようなものじゃないか！帰ったら錬金タイムだ！初めての投擲アイテムを作るんだァ！！もっと爆弾岩を倒そうぜぇーーー！！」

私は何もしないけど剥ぎ取りだけさせてもらうね？だって私剣しか持ってないもん。今はユーちゃんだけが頼りだ！

「ふはははははははは！！！！いいぞ！！充分に爆弾岩と火薬が集まった！！もはや我が手に爆弾が渡ったと言っても過言では無い！」

『祈はとても楽しそうですね』

『ねぇね楽しそう』

『これがアンノウン様の仰っていた錬禁術士...』

『爆弾岩倒す時はボクだけしか動いてないのにね？』

こらそこ！うるさいぞ！？今は闇の錬金術士ごっこをしているので邪魔しないように！！

『...と、これで最後のポータルですね。5階はボス部屋になっているそうです』

「ほう？素材じゃな」

『えぇ...ゴーレムらしいので気を引き締めていきましょう』

「おっけー！またユーちゃんの出番かな！？」

『任せてよ！』

『ん。メルも戦う』

『私も加勢しますっ！』

うんうん。みんなで倒そうね！いざ！参らん！！！

＿＿＿＿【岩の洞窟】ボスフロア＿＿＿＿

「あ、扉の前に出たね。いかにもって感じ？」

『ダンジョンのボスは基本的にはこのような扉の奥にいますよ』

「あ、そうなんだ。ではおじゃましまーーーす！！」

うおりぁぁーー！！って重いなこの扉！？ヘルプ！ひとりじゃ無理だァ！！

「へるぷみーーー！！！重くて開けれない！！」

『まったく...しょうがないですね...』

お？2人だとすぐ空いたね。しかし、後ろに立って私を両腕の間に入れて扉と凪にサンドイッチされて開ける必要はあったのか？

「おじゃましまーーーす！！なんかでっかい岩の機械みたいなのいる！！」

『あれがゴーレムですよ』

『よわそう』

『大きいですねっ！』

『ほら、みんな来るよ！！』

『ーーーーーッッッ！』

すごっ！？頭の辺にある赤い何かが光ったと思ったら、いきなり動き始めたよ！？

『ゴーレム（Lv35）が岩を投げつけました！！！砕けた衝撃で辺りに破片が飛び散ります！！！』

『イノリに合計124ダメージ！！！』

『ナギに合計136ダメージ！！！』

『メルティに合計24ダメージ！！！』

『モモに合計142ダメージ！！！』

『Miss!!ユーラは回避しました！！！』

ねぇ。ほんとに。ねぇ？なんであの飛んでくる無数の破片を良けれるの？メルちゃんでも当たってるのよ？てかピーちゃん瀕死だね...大丈夫かなぁ？

『ホーリーシールド！キュアラ！』

『モモが【ホーリーシールド】【キュアラ】を発動。300ダメージをカットします！！！また300以下のダメージを無効化！！！パーティーメンバーのHPが全回復しました！！！』

「ナイス！ありがとうピーちゃん！」

『はいっ！頑張ってください！』

『モモが【神の声援】を発動。パーティーメンバーの攻撃が1.5倍に上昇しました！！！』

ピーちゃんのサポートが相変わらずすごいね。今はみんなHPひくいからなのか回復力の低いパーティーの全体回復スキルでもHPが全回復するね。ピーちゃんもひょっとしてやばい...？

『お願い！炎(サラマンダー)！ファイアボール！』

『ナギが【ファイアボール】を発動。ゴーレムに245ダメージ！！！』

『ーーーーーッッ！』

『ゴーレムが【地ならし】を発動。地面がひび割れて衝撃が走りました！！！』

「うわぁ！？」

『ゴーレムがナギに248ダメージを与えました！！！』

何あれぇ...地面に向かって思い切りパンチしたかと思ったら地面を伝って衝撃波が飛んできたよ？しかもナギに向かっていったっぽいね。私は直線状じゃなかったから避けれたけど結構なスピードだ...

『キュア！』

『モモがナギに【キュア】を発動。ナギのHPが全回復しました！！！』

『ありがとうございます！モモさん！』

『貫け、弾けよ』

『メルティが【ダークランス】を発動。ゴーレムに合計329ダメージ！！！』

『ていっ！』

『ユーラがゴーレムに362ダメージ！！！』

『ダメだァ！固くて通らない！！』

うーん。爆弾岩にやってた剣の腹で殴るのもダメージ出てないね？やっぱりここのダンジョンは物理の打属性ありきが攻略法っぽいね？

『ゴーレムが【アーススピアー】を発動。メルティに117ダメージ！！！』

『モモに121ダメージ！！！』

『ユーラに136ダメージ！！！』

『キュアラ！』

『モモが【キュアラ】を発動。パーティーメンバーのHPが全回復しました！！！』

なんだアレは？ゴーレムは動いてないのにいきなり地面から土の槍が出てきた...攻撃したら反撃するタイプなのかな？現に私は一切手出ししてない...というかできてないので攻撃したらヘイトが向くっぽいね...

『ゴーレムが【アースウォール】を発動。ゴーレムの周りが土の壁で囲まれました！！！』

「え？ゴーレムが守りに入った？」

『ゴーレムが【アーススピアー】を発動。イノリに143ダメージ！！！』

『ナギに120ダメージ！！！』

『メルティに113ダメージ！！！』

『モモに112ダメージ！！！』

『ユーラに137ダメージ！！！』

はーーー！？つっよ！？ピーちゃんのホーリーシールドで300カットしてこれですよ！？これ無かったらユーちゃん以外全員即死してますからね！？なにが推奨Lv20じゃ！？レベル50ぐらいにしとこうよ！？

『ホーリーシールド！キュアラ！』

『モモが【ホーリーシールド】【キュアラ】を発動。300ダメージをカットします！！！また300以下のダメージを無効化！！！パーティーメンバー全員のHPが全回復しました！！！』

「ピーちゃんありがとう！！でもMP少なくなってるから温存してて！私も出る！」

『はいっ！』

ピーちゃんのキュアラはMPを1000消費する。そしてピーちゃん自身のMPは6500。その上ホーリーシールドやキュアも使っているので使えるのはせいぜいあと1.2回かな？パーティーメンバーのMPバーで確認したらピーちゃんだけやたら少なくなってるんだよね。誰もゴーレムに対して決定打を持ってないんだよね...しかもアースウォールとやらで自身を土の壁で守ってその内側からアーススピアーを撃ってくる鬼畜仕様...やばいかもしれないね。

『水(ウンディーネ)！ウォーターボール！』

『ナギが【ウォーターボール】を発動。アースウォールの耐久値が37%になりました！！！』

「ん？耐久値なのか...そして土は水に弱い...ユーちゃん！ウンディーネでおねがい！」

『分かった！水(ウンディーネ)！はぁぁーーー！！』

『ユーラがゴーレムのアースウォールを崩しました！！！ユーラがゴーレムに合計149ダメージ！！！』

『イノリ！壁以外には通ってないっぽいよ！』

水も通らないのか...ゴーレム自体は土属性じゃないのかな？ナギもだんだんMPが減っているし...メルちゃんは諦めたのかピーちゃんの横に立っている。ピーちゃんはMPの自然回復待ちで何も出来なくてユーちゃんは決定打になり得ない...打属性が弱点っぽいけど、どうしたものか...

『祈、打属性ではなくて爆弾ならどうでしょう？私のファイアボールは爆発するとはいえ、威力としては弱いです。ですが先程入手した爆弾とやらを使ってみてはいかかでしょうか？』

「！？それだ！凪！」

そうだ！！手のひらサイズの爆弾岩があった！これを投げればなんとかなるかもしれない！

「てーーーい！！」

『イノリが爆弾岩を投擲しました！！！ゴーレムに合計940ダメージ！！！』

「思ったよりダメージが少ない...？」

『ーーーーーー！！！！』

『ゴーレムが排除対象を設定しました！！！【アースウォール】を発動。ゴーレムの周りが土の壁で囲まれました！！！』

『ゴーレムが【アーススピアー】を発動。 Miss!!イノリは回避しました！！！』

なんですかァ！？排除対象！？爆弾投げたらなんかヘイトが私だけになったよ！？またこれぇ！？

『ゴーレムが【アーススピアー】を発動。 Miss!!イノリは回避しました！！！』

「それはッ！もう見飽きたねッ！！」

『イノリが爆弾岩を投擲しました！！！ゴーレムのアースウォールが崩れ去りました！！！』

『ゴーレムが【地ならし】【アーススピアー】【アースランス】を発動。イノリに合計418ダメージ！！！』

「はぁーーー！？痛いし強すぎでしょ！？なんで一緒に衝撃波と槍が地面から出てきたり飛んできたりするわけ！？」

『キュア！』

『モモがイノリに【キュア】を発動。イノリのHPが全回復しました！！！』

「ごめんっ！ピーちゃん！」

『いえっ！』

ゴーレムは爆弾とかの爆発系の攻撃を受けたらそれを行った人に完全にヘイトが向くっぽいね。ナギもユーちゃんも私に攻撃当たるから攻めあぐねてるし...火力が欲しいな...

「ほいっ！ほいっ！てい！」

『イノリが爆弾岩を投擲しました！！！ゴーレムに合計3475ダメージ！！！』

「まだなのか！？ここのボス強すぎでは！？」

『ゴーレムが【アースウォール】を発動。ゴーレムの周りが土の壁で囲まれました！！！』

「その次はッ...！！やっぱりアーススピアーだよね！？ほれっ！くらえ！」

『イノリはゴーレムの【アーススピアー】を回避しました！！！イノリは爆弾岩を投擲しました！！！ゴーレムのアースウォールが崩れ去ります！！』

「それ鬱陶しいねっ！」

ゴーレムと肉薄してるけど相手はノーモーションで魔法を打ってくるし、近づきすぎると手や足で薙ぎ払ってくる。こうも苦戦するとは...

「せっかく集めた爆弾岩の残りが少なくなるんですけどぉ！？」

『イノリが爆弾岩を投擲しました！！！ゴーレムに合計842にダメージ』

ちくしょう...私の貴重な素材がァ！爆弾岩が少ないぜ...ん？火薬？火薬を使えば更に爆発力が上がるのでは？戦闘中にアイテムボックス開いて取り出すのって中々しんどいね...おかげでちょっと行けそうな気がする。

「ピーちゃん！少しだけ拘束できる！？」

『はいっ！分かりました!!ホーリーバインド！』

『モモが【ホーリーバインド】を発動。ゴーレムが拘束されました！！！』

「ありがとっ！火薬を...ゴーレムの周りに撒いて...うぉぉと！？」

『ゴーレムが拘束から抜け出しました！！！』

「やっぱりボス系は拘束時間が短いッ！」

しかしこれでアイツの周りにアイテムボックスから取り出した火薬を撒き散らした。そして置き土産に火薬岩もいくつかアイテムボックスから出した！！これで勝つる！いけーーーー！

「飛んでけーーー！！」

『イノリが爆弾岩を投擲しました！！！爆発連鎖！！！爆発により火薬と火薬岩に引火しました！！！威力が上昇します！！！』

『ゴーレムに合計13,756ダメージ！！！ゴーレムを倒しました！！！経験値を10,874獲得しました！！！』

『ゴーレムからゴーレムの残骸がドロップしました！！！』

「よっしゃぁ！！！きたぁ！！！やったよぉ！！みんなぁ！！」

『さすがです！祈！ものすごく錬金術士っぽい戦い方でした！！！』

『ん。ねぇねすごい』

『やりましたねっ！イノリさんっ！』

『すごいね〜これぞ錬金術士！って感じの戦いだったね〜』

「ふへっ...ふへへへ？それほどでも？」

やったぁーーー！！あのデカブツを倒したぞ〜！！そして言われて気づいたけど自然とアイテムを使用して倒すというものすごく錬金術士っぽい戦い方をしてたね！？初めてこんなに戦闘で役に立ったきがする！！

『ダンジョンクリア報酬の宝箱が出現しました！！！』

「おっ、そういえば宝箱なんてものもあったっけな……どれ？金色だね」

『苦労しましたが宝箱にはあまり期待できませんね...』

「あ、剥ぎ取りわすれてた！！宝箱は凪が空けといて！！...ん？剥ぎ取りが出来ない？ドロップアイテムだから？あ、アイテムボックスに入るね？あれっ！？ゴーレムの全身だ！？」

なんとドロップアイテムの方が貴重なような気がしてきたんだ...。おかしい、おかしいぞ！？普通は宝箱の中身の方が良かったりするんじゃないのか！？ゲームだぞ！？

『ええっと...？アイテムが1つです...』

「はぁ！？なんということだ...こんなに苦労して倒したゴーレムの報酬はドロップアイテムより悲惨だなんて...トホホ...」

私はうなだれるように地面に倒れ込んだ...もうダメだァ！！！ボスの報酬が渋すぎるぞ！アークスオンライン！！！！

『ねぇね。元気だして』

「ふぇ！？うん！うん！ちょーーー！！元気でたァ！メルちゃんかわいいやったー！！メルちゃんの前では何者も無力だァ！！！ふァァァァァァァ！」

『あぁ...祈が壊れてしまいました...』

ふっ...何とでも言うがいいさ...私の苦労と素材を返して欲しいね...？あれぇ？でも、総合的に見たらアズライトクォーツとローズクリスタルなる珍しい水晶が手に入ったからこれはこれでいいのでは？

「それでは、帰ろうではないか我が村に...」

『うわっ、いきなり元気になるとそれはそれで怖いね...』

『ええっと...倒せて良かったですね！イノリさんっ！』

ユーちゃんが冷たいし、ピーちゃんに慰められちゃった...いいんだ...いいんだ！！ふんっ！！！私は帰って錬金をするんだ！！さぁ、帰るぞ！みなのしゅう!!!