目撃されし遊牧民族
____コライユ村____
あの後私はルッカのギルドハウスからこちらまでギルドポータルでワープしてきた。みんなはあそこに残って騎士たちの残党狩りをするそうだ。メルちゃんがものすごくはしゃいでたのが印象的だったね。私は話して直ぐに戻るだけだから役割分担としたら妥当なところかな?
「そんちょー!さん!至急!集会所に住民をあつめてください!今後についてとても重要なお話があります!これは神の使徒としてのお願いでもあります!」
『なんと!?かしこまりました!すぐに招集致しましょう!お前たち!聞いたな!?皆に集会所に来るように通達を!』
おぉ...割と言ってみるもんだなぁ。こればっかりは村の人達にも関係ある話だから重役の人だけに話してたら後々軋轢を生みかねないからね。オハナシダイジ。
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あれから少しして村の人達がこの酒場のような集会所に集まってくれた。もちろんナビちゃんもいる。手を振ってくれた可愛い!そこそこ広いので全員入れたけど結構キツそうな方もいるね...ここに+1000人だと改築が必要かも?
『これで揃いましたな!ささ、お願い致します!』
「うむ。ご苦労であった。皆の者よくぞ集まってくれた!...ごめんしんどいから普通に話しますね?ここから遥か北に行った場所に雪国のルッカと言う国があります!そこに私たちが行くと邪神様と縁がある大きな黒いお猫様が居ました!なんでも洗脳から解き放ってくれる力をお持ちのようです!」
『なんと...素晴らしい...』
『そんな猫ちゃんが?』
『幸運の猫...』
「そして、私たちはそのお猫様と接触をし聞いたところによると教会関係者をことごとく倒し、神殿をも潰した力をお持ちでした!」
『素晴らしい...』
『お猫様...』
『ぬっこ...』
『ぬこさま...』
「そして神殿が潰れたことから聖クリスティ教会の連中はあろう事か放置し、交易を絶った!そして無事に洗脳から解放された民達は苦しみに喘いでいる!そこで私はこのコライユ村に来ないかと誘致したところ承諾を得た!合計千人もの大所帯です!これが私が皆さんをあつめて聞いて欲しかった理由です!どうかルッカの民たちを...私たちと同じく邪神様を崇めている同士で手をとりあえませんか!?」
ここまではいい反応だった。私もあーちゃんとクリスマッマのために頑張るもんね?あれ?そういえば甘やかしてもらってないが?さては忘れているな?今度あったらわたしはあのボインボインのマッマに甘やかして貰うんだ!!
『千人ですか...それだと少し村を拡張したりしなければなりませんな...幸いここには教会の連中は入ってきません。最初のうちはその者達には苦労をかけることにはなりますが、何とかなりましょう。皆もそれでいいか!?邪神様を崇める同志が増えるのだ!』
『いいと思うよー』
『いいんじゃないか?』
『建築とは久々だなぁ!腕がなるねぇ』
『久々に俺ら木工師の大仕事だな』
ん?木工師とはなんぞや?初めて聞いたのですが...まぁ今はいいか...概ね大丈夫そうだね。なんてったってこの人たちは基本的に出身はバラバラだし邪神教ってだけで仲良くなれるような人達だもんね。そして私をこの世界で初めて受け入れてくれたいい人たちなんだ!私も少しぐらい恩返しをさせてくれ!!
『では、その者達をコライユ村までよろしくお願いできますかな?私たちは村の拡張などの仕事に早速取りかからせて頂きます。使徒様がよくいらっしゃるというアトリエはどういたしましょう?』
「えっ...?う、うーん。あそこは村の端っこだよね?できるならあの辺は今のままがいいかなぁ〜ってナビちゃんもそれでいい?」
『えっ?まぁ...いいけど?』
『では、そのように。私たちはこれで失礼させていただきます』
「うんっ!皆さん集まってくれてありがとうございまた!同志を連れてくるのでその間村の拡張や改築などをお願いします!!」
『おう!』
『任せときな!』
『はーい!』
うんうん。よかったよかった。これで何とかなりそうだ!しかもナビちゃんのアトリエの事まで気にかけてくれるとは...でもあそこは村の端っこだし拡張するには後ろに生い茂ってる木々をなぎ倒して開拓しなきゃならないからこれまで通り人が寄り付かない私たちのマイホームでいて欲しいんだよね。ナビちゃんにはちょっと悪いことしちゃったかな?
あの後商店の女将さんを捕まえて油を売ってもらい、ナビちゃんのアトリエに不法侵入し、私の髪の毛を混ぜて出来た油を作った。あの猫ちゃんが欲しがるかもしれないから一応ね?予備に作って持っていこうって算段。
____ルッカの街____
「ただま〜!!」
『おかえりなさい祈』
『んっ』
『イノリさんっ!おかえりなさい!』
『おっ、待ってたよ〜!教会関係者全員倒しちゃったよ〜?』
「うそ?はっや...まぁ、空を飛べるメルちゃんがいるしそれもそうか」
『いや、ほとんどナギが倒したよ?ボクはナギに教えた側だけどその才能に嫉妬しちゃうよ!』
『えぇ...闇の精霊魔術を使えば1発で倒せたのでやりました...そしたら【教会殺戮者】という称号が手に入りました。教会関係者に与えるダメージが上がるそうです』
「あなた実は結構凄いことするよね?」
この人称号まで獲得しちゃったらしいよ?しかも教会関係者に与えるダメージが上がるという...でもユーちゃんの7倍には届かないだろうけどね?
「住民の方はどう?まだかかりそう?」
『そうですね...その間に私たちはお昼ご飯を食べておくのがいいかと。徒歩でコライユ村に行くとなると相当時間がかかると思われます。そしてエルメスの街も迂回して進まなければなりません』
「そっかぁ...それもそうだね!メルちゃん達も何か食べておいてね!ギル渡すね!ごめんねー今の私じゃ料理できないんだ...」
『ん。大丈夫』
『はいっ!気にかけてありがとうございますっ!』
『コライユに戻って何か食べてくるよ〜ついでにこの街の人の食料も分けてもらってくるね?』
「お、そうだね!ありがとうユーちゃん!多めに渡しとくね!!」
私たちはビーストテイマーさんにここを少し離れると伝え1度コライユに戻りログアウトした。
____自宅____
「おねぇ何食べる?」
『そうだな...祈の作るものならなんでもいいぞ?』
「そっか。じゃあうどんでいっか!」
『いつもすまないな』
「いいっていいって。おねぇは料理出来ないし仕方ないよ」
姉もログアウトしてたみたいなので2人でお昼ご飯を済ましてしまおうということだ。姉は料理がダメだからね。本気を出せばいけるとか言ってるけど包丁の持ち方とか怖いし...
「それで私たちはルッカの街からコライユ村まで徒歩で行くことになったの」
『なるほどな...猫又も邪神関係だったのか。よし分かった。私たちのギルドが露払いをしよう。敵やプレイヤーが襲ってこないとは限らないだろう?そんな大掛かりな事柄だと間違いなくクエストが発生するはずだ。祈たちはルッカからコライユまでを歩いていくだけでいい』
「それは嬉しいけど...いいの?エルメスの街を迂回するから終わる頃には夜になるけど」
『今度のイベント...攻防戦にも影響がありそうだしな。それにコライユが発展するなら願ったり叶ったりだ。私達も教会に敵対される時とされない時がでてきたからエルメスも安全とは言いがたくなってきたのだ』
「それは...なんかごめん」
姉たちも教会に敵対されるようになっちゃったみたいだから拠点を移すか検討してるんだって。しかも次回のイベントは大きいものらしく報酬はいいものだというのが姉たちギルドの予想らしい。それならギルドメンバーたちが進んで護衛もやってくれるだろうと中々頭が切れますな?さすがギルドマスターだぜ!...さて食べ終わったしまたアークスオンラインにログインしますか...
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『なんだアレは?』
『なんでもまた神々の黄昏が何かやってるって噂だ』
『しかし、あんな大人数のNPCを護送?するなんてのはおかしくないか?』
『どこのNPCだ?』
『あぁ、どこに向かっていくんだろうな?』
彼たちプレイヤーの間では神々の黄昏がまた何かのクエストのようなものを受注したのかと話題になったらしい。あるもの曰くあの集団の人をキルするなら神々の黄昏が敵に回る。あるもの曰く数分だけ避けてくれるならアイテムをくれる。...という神々の黄昏のギルドメンバーが総出でフィールドでプレイヤーに交渉をしている所や辺り一帯のモンスターを狩り尽くす光景が見られたという...